2020.04.06
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【読者アンケート結果発表!】3月のテーマ:新型コロナウイルス感染症への対応

「日本医事新報社」読者アンケート

メディカルサポネット 編集部からのコメント

日本医事新報社が読者アンケートを行い、日本政府の新型コロナウイルス感染症への対応について聞いたところ、初期対応について65%が「不満」と回答しました。コメントでは「患者対応・院内感染への不安」「マスク・消毒液など物資の不足」「国民への情報発信のあり方」「検査体制への要望」などについて率直な意見が記されています。

 

3月は、中国・武漢で発生し世界規模のパンデミックに発展、収束のメドが立たない新型コロナウイルス感染症について、日本政府の初期対応に絞ってご意見をうかがいました。初期対応の評価では、「大いに不満」「どちらかと言えば不満」を合わせ実に読者の65%が「不満」と回答。「高く評価する」とした方はわずか5%でした。

特に不満が集中したのは①入国制限の判断の遅さ、②検査体制、③クルーズ船対応―の3点。「武漢が話題になった頃、中国全土からの入国を停止すべきだった」(東京・開業医)、「PCR検査に高いハードルが設定されていることについて現場に納得できる説明がない」(神奈川・勤務医)、「クルーズ船を寄港させて早めに感染者と非感染者を分けて下船させるべきだった」(東京・開業医)などの意見が寄せられました。「すべての対応が後手」(東京・開業医)といった全体的な対応の遅さへの批判、「『高齢者を守る』という大義を掲げ、科学的根拠もなく子どもの生活を制限するのは理解できない」(静岡・勤務医)といった全国一斉休校への疑問も目立ちました。

医療現場で困っていることでは、「発熱や咳のある患者が受診した時の対処法がわからない」(愛知・開業医)、「マスクなど必要なものが確保できない」(大分・勤務医)など、発熱患者・疑い患者への対応、職員を含めた院内感染のリスク、マスク・消毒液等物的資源の不足に悩む声が多数寄せられ、感染拡大に伴い不安・混乱が増大している状況が浮き彫りになりました。

以下、医療現場で困っていることや国への要望について全国の医療現場から寄せられた声の一部を紹介します。

 

【患者対応・院内感染への不安】

●臨床医に対する指針が全く示されていない。発熱や咳のある患者さんが受診した時の対処法がわからない。(愛知・開業医)

●医療・介護現場でPCR陽性者が出たら(症状の有無にかかわらず)通常業務はできなくなる。(静岡・老健施設長)

●地域によっては「PCR検査を受けたい」と患者が押し寄せていると聞く。患者を増やさないことも重要だが、死者を増やさないことの方が優先順位は高い。軽症者の医療機関受診の抑制は急務である。医療体制の崩壊が生じないよう、専門家会議の提言によく耳を傾け、慎重な政策決定をお願いしたい。(静岡・勤務医)

●軽症患者が多く、通常の風邪と区別がつかないため、実際にはもっと多くの感染者が潜んでいる可能性はある。早期のワクチン開発が望まれる。(和歌山・開業医)

●通常の患者と感染者の区別に困っている。医師が感染した場合の休業期間は14日でないとダメなのか。今後のサーベイランスによって適切なものにしてほしい。(埼玉・勤務医)

●一般外来に新型コロナウイルス感染者が紛れ込むのは避けられない状況。診察した医師、看護師等がすべて濃厚接触者扱いされては日本の医療は破綻する。封じ込めはほぼ失敗。前回の新型インフルエンザ同様に扱い、重症者を出さないようにすることが大事ではないか。(埼玉・開業医)

●日常の診療において発熱患者が入り込むことでトラブルがかなり発生している。発熱患者はすべて決められた病院のみで受け入れるということを徹底してもらいたい。(埼玉・勤務医)

●風邪症状は自宅で静養し、4日以上続く場合はまず相談センターに連絡を、との国の方針である。にもかかわらず、現場では患者さんが平気で風邪症状で直接来院するので、そのまま診ざるを得ない状況が続いている。もっと住民に対し受診ルールを徹底してもらいたい。また、クリニックで使える簡易キットを早く作ってほしい。(愛媛・開業医)

●DMATを活用して疑い患者のトリアージができないか。(福岡・開業医)

●コメディカルが疑心暗鬼になっていて困る。(兵庫・勤務医)

●診療所での対応は感染予防管理体制上無理がある。空調設備、予防衣、個室が完備されていない場合があり、他の患者、職員に感染させる可能性がある。(千葉・開業医)

【マスク・消毒液など物資の不足】

●検査が保険適用になっても一般の診療所では対応できないことを徹底して国民に知らせるべき。国民も闘っているが医療現場の人間もビクビクで、マスク、アルコール消毒液も減ってきている。(東京・開業医)

●マスクは現時点で週1枚使用に制限されている。こうなったら台湾に倣って保険証をICカード化し、それを利用してマスクを配給制にするしかないのかもしれない。(大阪・勤務医)

●マスクや消毒液等、施設運用上必要な物品が入手できない。医療機関に傾斜的に多く配分するなどの対応が望まれる。検体採取にあたっては、現状では防護服、ゴーグル、マスク、手袋などの資材が必要となると思うが、それらの評価が保険点数に盛り込まれるかが気になる。(静岡・病院開設者)

●マスクの枯渇が近い。医療機関には優先的に届くようにしてほしい。災害対策の備品があるなら放出してほしい。(東京・勤務医)

●マスクや消毒薬などは政府が確保して配給するようにしてほしい。(静岡・保健師)

●マスク等必要なものが確保できていない。必要物資を国がもっと早めに買い上げて必要な所に供給すべきだった。(大分・勤務医)

●マスク不足、夜間の隔離室の不備、マンパワー不足に困っている。保健所と医療機関の役割の明確化がなされていないため、患者がどうしたらよいか分からず、飛び込み受診する問題がある。(大分・看護職員)

●マスク不足に困っている。情報番組で医師でもない「医学博士」がいい加減な知恵を与えるものだから厄介な患者が増えている。患者は希望すればPCR検査をしてもらえると思っている。昨今の権利意識の高まりもあり、トラブルが起きている。(東京・開業医)

 

【国民への情報発信のあり方】

●接触者・帰国者外来の病院名の情報を公表しないことの不合理さを感じている。日医や病院協会は政府に対して強く意見を進言すべき。専門家会議の議事の内容ももっと透明性があっていい。(神奈川・勤務医)

●自称専門家の百家争鳴にうんざり。現場でPCR検査を行う方などのご苦労をお察しします。(神奈川・開業医)

●マスコミが「希望者全員にPCR検査を」という馬鹿げた発言をして現場を混乱させている。偽陽性が多いこの検査はとても全員に検査できるものではない。(新潟・開業医)

●PCR検査がどれほど大変なのか、鑑別診断にどれだけ神経をすり減らしているのか、感染症病床が実際にどのような運営なのか─などの医療従事者の訴えを積極的にマスメディアに広報してほしい。(愛知・勤務医)

●簡易キットができれば一般診療所でも測定できる可能性があるが、現行の方法では検体採取は防御服を着て完全武装で行う必要がある点を一般の人々に知らせておくべき。インフルエンザ迅速テストのように受け止められると誤解されてしまう。(東京・開業医)

●厚労省レベル・国立感染症研究所レベルの判断と医療現場の認識に大きな乖離がある。厚労省・研究所からの情報発信が正しく、かつ、強力・十分に伝わっていないのが原因と考える。我々の敵は「新型コロナウイルス」。国民、医療提供者、行政がそれこそワンチームにならなくては勝てない敵と認識すべき。国民一人一人が自ら正しい行動をしなければ勝利できないことに気付くことが重要だ。国は、今後また来るであろうパンデミックを見据えて対策に尽力していただきたい。(福島・勤務医)

【検査体制への要望】

●疑わしい患者は医師の判断でPCR検査を迅速に行える体制にしてほしい。(東京・開業医)

●PCR検査を早く一般病院でやるべきだ。(東京・勤務医)

●医師の判断でPCR検査ができないのは問題。(愛知・勤務医)

●PCR検査をどんどんやっていかないと正確な発症率を算出することができない。発症率が分からなければ、今後の感染者数の増加を予想することは不可能であり、どのような予防方法が有効なのか議論することもできない。重症者だけではなく軽症者にも積極的に検査を受けさせるようにしてほしい。(東京・勤務医)

●発熱専門の外来を各地域ごとに決め、疑わしい人は肺CTを撮り、それからPCR検査をしたほうが効率的に感染者をピックアップできるのでは。(群馬・看護職員)

【その他】

●いきなり電話再診で処方箋を出していいと言われても混乱する。(京都・開業医)

●保健所の動きが悪い。(三重・勤務医)

●医療現場では現時点で支障はない。国には、感染症学・公衆衛生学的な見地を踏まえた対策を希望する。最高のワクチンは「教育」である。(島根・勤務医)

●厚労省から独立した権限を有する対策班を設置し、全国の病床の全数把握やコントロールを含め一定規模以上の医療機関の一時的な統制を検討するのもいいのではと思う。(東京・勤務医)

●米国の専門機関のように迅速に対策を提案・実行できる機関をつくってほしい。(神奈川・看護職員)

 

出典:Web医事新報

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