2020.03.04
5

★映画レビュー★「仮面病棟」
~病院が占拠された・・・密室からの脱出ミステリー~

―現役医師が描くベストセラー小説、待望の映画化―

勤務する病院が突然、凶悪犯に占拠されてしまったら・・・。そこに勇敢に立ち向かう若き医師の姿をスピード感ある展開で描いた映画「仮面病棟」。ドラマ「コウノドリ」での新生児科医師役が好評だった坂口健太郎が、映画初主演を務める話題作です。
原作は現役医師である知念実希人が執筆し、シリーズ累計発行部数110万部を超える大ヒット小説。ミステリー作品の演出家としても定評のある木村ひさし監督によって、ハラハラドキドキする謎解きミステリーでありながら、今の日本が抱える医療の問題を考えさせられる作品に仕上がっています。3月6日の公開を前に、その見どころをお伝えします。

取材・文/ライター 廉屋友美乃
編集・監修/高山真由子(看護師・保健師・看護ジャーナリスト)

仮面病棟 メイン画像

現役医師が描く病院ミステリー

舞台は東京都八王子市の田所病院。療養型病院として、長期療養の高齢者のケアはもちろん、身元不明の患者も積極的に受け入れ、社会的役割を果たしています。ある夜、ピエロの仮面を被った凶悪犯がコンビニ強盗ののちに病院を占拠。ピエロに撃たれた女子大生の川崎瞳も人質として連れられ事件に巻き込まれます。病院にいたのは、先輩医師の代理として一夜限りの当直を任された外科医の速水秀悟(坂口健太郎)と院長、看護師2人、そして満床の入院患者。そこに銃を持って立ちふさがるピエロ。仮面を被っているため、その目的はまったく読みとることができません。病院からの脱出を目指し、最後まで手に汗握るハラハラドキドキの始まりです。

 

現役医師でもある原作者の作家、知念実希人が生み出す医療現場のリアリティが注目ポイントです。知念氏はこの映画で脚本にも参加。医療を扱う作品は、医療監修の手腕でその引き立ち方が左右されますが、現役医師の知念氏が参加したことで「本当に病院で起こるかもしれない」という臨場感を観客に与えています。

 

 仮面病棟 画像2

木村ひさし監督がこだわった“リアル”

映画に出てくる病院は本物。セットでは決して作り出せない独特の雰囲気が、映画を盛り上げます。これには木村ひさし監督のゆずれないこだわりがありました。木村監督曰く、「病院そのものが持つ空気感がこの映画には絶対に必要だった」と。さながら病院のニオイまで伝わってくるような演出は、映像作品ならではといえるでしょう。

 

それだけにスタッフはギリギリまで全国を探し回り、奇跡的に見つかったのが、福岡県北九州市にある病院。老朽化により移転するタイミングもあり、ロケ地として使われることになりました。もともとの病院の構造を活かしつつ、美術チームによって鉄格子や、古びた外観と大きなギャップを感じる最先端の手術室などが作られ田所病院へと生まれ変わり、より物語の展開にリアリティを持たせています。

 

また、ほとんどセリフを発することのない入院患者もまた、映画にリアリティを添えています。静かに横たわりつつ、時に大声をあげる高齢者。療養型病院の日常をストーリーの端々に見てとることができます。

 

仮面病棟 サブ1

速水が背負う過去を通して描かれる人間性

映画では、原作にはない速水の悲しい過去も描かれています。恋人を事故で亡くし、その時の緊急搬送を拒否された病院が、一夜限りの当直を担当することになった田所病院であるなど、バックボーンを取り入れることによって、速水を1人の人間として描き、観る者の心を引きつけるのです。

 

また、永野芽郁演じる川崎瞳の傷を縫合するシーンは、本物の医師そのもの。手洗いに始まり、手袋の装着、患者である川崎瞳への声かけなど、細かな場面から坂口の徹底した役作りの姿勢が伺えます。知念氏も「医療器具の持ち方ひとつひとつ全ての手順が本当にしっかりしていて、本当のお医者さんのようでした」と絶賛したほどです。

 

院長たちがひた隠す”秘密”とは

密室と化した病院から脱出したいと考える速水は、警察への通報を訴えるものの、かたくなに拒み続ける院長の田所三郎。看護師らと何かを隠しているのではないかと考えた速水は秘密を探り始めます。本来、起こるはずのない事件によって、その秘密は予想をはるかに超えた大きな問題へと発展し物語はクライマックスへ。ピエロの仮面を被った人物は誰なのか。そして本当の目的とは。病院が持つ裏の顔<衝撃の真実>は一体・・・。

  

ハラハラドキドキの脱出ミステリーでありながら、ラストは人の命とは何かを考えさせてくれる、医療者も存分に楽しめる作品です。

 

仮面病棟 サブ画像

 

 

作品情報

仮面病棟 ポスター

  

『仮面病棟』

http://wwws.warnerbros.co.jp/kamen-byoto.jp/

3月6日(金)より全国公開

出演:坂口健太郎、永野芽郁、内田理央、江口のりこ、朝倉あき

   丸山智己、小野武彦、鈴木浩介、大谷亮平、高嶋政伸ほか

原作:知念実希人「仮面病棟」(実業之日本社文庫)

主題歌:UVERworld「AS ONE」(ソニー・ミュージックレーベルズ)

監督:木村ひさし

脚本:知念実希人、木村ひさし

脚本協力:小山正太、江良至

音楽:やまだ豊

©2020映画「仮面病棟」制作委員会

Twitter:https://twitter.com/kamenbyoto

 

 


 

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP