2021.07.19
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出産、育児、介護をしながら働き続けるために

今さら聞けない人事・労務のイロハ vol.4

  

 

編集部より

昨今、育児・介護と仕事の両立は男女問わず大きな課題となっていますが、育児休業取得率は依然として男女で大きな差があり、介護による離職は今後一層増加していくことが予測されています。こうした中、家庭と仕事を両立できる雇用環境の整備を促進するため、育児・介護休業法が改正され、2017年1月より施行されています。今回は、出産や育児・介護というライフイベントを経ながら継続して働くために知っておくべきことについて解説します。

執筆/皆川 雅彦(特定社会保険労務士、社会保険労務士法人葵経営 代表社員、労働保険事務組合 葵経営 会長)

編集/メディカルサポネット編集部

育児休暇と介護休暇の狭間で

育児休暇・介護休暇制度は各医療機関・介護施設等で導入され浸透しつつあるものの、実際に現場でどれほど活用されているのでしょうか?また、どれだけ周りのスタッフが理解し支援しているのでしょうか?

 

弊所には勤務する方や経営者の方から以下のような問い合わせが日々寄せられていることから、各休暇の理解や活用が進んでいるとは言い難い現状が見えてきます。

 

<よくあるご相談>

●出産・育児・介護に関する支援について、就業規則や育児介護休業規程等に記載しているが、スタッフが内容を理解しているか定かではない。

●産休取得後に、「子供と離れたくない、しばらくは育児に専念したい」と退職を申し出る女性スタッフが多い。特に第2子誕生を機会に退職するケースが顕著である。

●育休取得後に短時間勤務で職場復帰をしていたが、保育園の呼び出しに対応して早退することが多く、「職場に迷惑をかけるから」と退職してしまう。

●両親の支援によって仕事と子育てを両立していたが、父親が要介護となったために退職を申し出た。

●地方に住む親が要介護状態となり退職を余儀なくされた。

  

まず、妊娠、出産に伴う産休についてですが、これは労働基準法第65条に、「産前産後休業」として位置づけられています。産前休業は出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合には14週間前)から、産後休業は出産日の翌日から8週間と規定されています。産前の場合にはあくまでも本人が請求した場合であって、請求がない場合には取らないこともありえます。

 

一方、産後については、事業主は原則として産後8週間を経過しない場合には就業させてはならないとなっています。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合で、その者について「医師が支障がない」と認めた場合には、業務に就かせても差し支えないとなっています。

 

産前産後休業とも、法的には「無給」でも可となっていますので、通常社会保険に加入している場合には、健康保険の出産手当金を活用するケースが多いでしょう。(ただし、医師国保や歯科医師国保に加入している場合、出産手当金という制度が原則ありませんので、ご注意ください)。

 

 

あなたも取れる!産休&育休 (厚生労働省) より引用

 

育児・介護休業法による両立支援策

皆さんもご存知と思いますが、育児・介護休業法の中に、育児休業、育児に配慮した働き方、看護休暇、ハラスメント防止措置等が位置付けられています。以下に制度をまとめましたので、改めて確認しておきましょう。

 

【育児・介護の両立支援制度まとめ】

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