2021.10.13
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なぜ、あの病院は「勝てる採用」ができたのか?――プロセス改善編

ケースから学び看護師採用の勝ち組になる! vol.3

 

編集部より

思ったように看護師を集めることができず、頭を悩ませている病院は少なくないでしょう。より効率的に、より確実に、より自院にマッチした人材を集めるためには、どんな取り組みが必要なのでしょうか。本シリーズでは、医療業界の採用に長年携わってきた株式会社ITA取締役副社長の吉本賢次氏に、実例を踏まえた看護師採用のポイントを語っていただきます。第3回のテーマは、採用期限まで時間がないケースから、スピード感を重視した採用プロセスの改善について考えます。

 

取材・文/中澤 仁美(ナレッジリング)

撮影/和知 明(株式会社BrightEN photo)

編集/メディカルサポネット編集部

 

 

【ケース(2)「3か月で40人採用」未達なら看護基準が維持できないS病院】

 

<ケース概要>

S病院は関西の都心部にある急性期病院。立地条件は非常に良好だが、その年は看護師の採用が思うように進まず、退職者も続出していた。ついには、あと3か月の間に40人を採用しないと10対1看護基準(看護師配置基準)を維持できない事態に至ってしまう。問題の背景には、採用担当者のスピード感の欠如があった。

 

 

「応募受付→面接設定」の遅さが致命的な打撃に

 

そもそもS病院の採用が鈍化したきっかけは、経営コンサルタントのアドバイスを受けて採用費を過度に減らしたことにありました。例年であれば4月の入職者が40人は見込めたのですが、この年は約20人に半減。人手不足から現場の業務が過重になり、退職者が増えていくという負のスパイラルに陥っていました。いよいよ看護基準の維持が厳しくなり、病院理事長が「10対1の維持は絶対」との方針を打ち出したことを受けて、弊社が採用業務をサポートすることになったのです。

 

 

 

しかし、たとえアクセス良好な都心部の病院でも、3か月で40人の看護師を集めるのは容易ではありません。複数の人材紹介会社の協力を得ることが必須だと考えた私は、各社の担当者にコンタクトを取りました。すると、皆さん口をそろえて「S病院さんは面接設定がとても遅く、応募者が他の病院に流れてしまう」と言うのです。

 

よくよく話を聞いてみると、S病院では応募者を受け付けてから面接日が決まるまで何日もかかるのが当たり前になっており、電話をかけても採用担当者がつかまらなかったり、メールへのレスポンスがなかったりすることも多いと分かりました。このスピード感の欠如こそが、採用活動における致命的な打撃となっていたのです。

 

そこで、このケースでは私自身が代打の採用担当者を務め、採用プロセスをスピーディーに回すことにしました。採用プロセスとは「採用計画の策定から入職に至るまでの過程」を意味し、具体的には以下の図に示すような要素で構成されます。

 

図 採用プロセスの構成要素

 

どのプロセスにおいてもスピード感は大切ですが、とりわけ重要なのが

 

 

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