2021.08.06
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知っていますか?
貴院の本当の「採用力」

ケースから学び看護師採用の勝ち組になる! vol.1

 

編集部より

思ったように看護師を集めることができず、頭を悩ませている病院は少なくないでしょう。より効率的に、より確実に、より自院にマッチした人材を集めるためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。本シリーズでは、医療業界の中でも特に看護師採用に長年携わってきた株式会社ITA取締役副社長の吉本賢次氏に、実例を踏まえた看護師採用のポイントを語っていただきます。第1回となる今回のテーマは、看護師採用の基本となる考え方、そして採用力向上のために欠かせない視点です。

 

取材・文/中澤 仁美(ナレッジリング)

撮影/和知 明(株式会社BrightEN photo)

編集/メディカルサポネット編集部

 

 

「退職数のマネジメント」が採用計画に必須なワケ

 

「看護師採用」というテーマを大きな流れでとらえるとき、ターニングポイントの1つとなったのが「7対1入院基本料」の創設(2006年)でした。従来に比べて手厚い看護配置基準が設けられたことで人材の需給バランスが崩れ、いわゆる売り手市場の傾向が顕著になりました。その後、医療業界で人材紹介会社が積極的に活用されるようになったこともあり、かなりの病院が7対1基準を満たせる数の看護師を確保して、近年では少しずつ採用動向が落ち着いてきました。

 

一方で、それに伴って浮き彫りになったのが、病院による「採用力」の差です。「業界全体が人材不足」という状況から、「採れる病院は採れる、採れない病院は採れない」という状況に変わったともいえます。採用が地域性(立地)という条件に大きく左右されるのは事実ですが、決してそれだけですべてが決まるわけではありません。

 

 

そもそも、採用力とはどのような力を指すと思いますか?

 

 

こう質問すると多くの人が「たくさんの職員を採用できること」と答えますが、半分は合っていて、半分は間違いです。例えば、年間で30人を採用できるA病院と、10人しか採用できないB病院があったとします。一見、A病院のほうが採用力に優れると思いがちですが、年間退職者数がA病院で40人、B病院で8人だとしたらどうでしょう。トータルするとA病院は-10人、B病院は+2人となり、後者の採用力が上ということになります。入り口の新規採用数ばかりに目を向けて、出口の退職数をあまり意識していない病院は驚くほど多いのです。

 

 



つまり、採用力がある病院とは、人材が増える「採用計画」と、人材が減る「退職計画」の両方を踏まえ、しっかりとマネジメントできる病院のことを指すのです。

 

私が病院のコンサルティングに入るときは、「目標となる退職率を設定し、1年あたりの退職予測人数」を明確にした上で、月ごとや病棟ごとなどに、退職者数をできるだけ細かく振り分けます。「内科病棟で12月までに退職を許容できるのは2人まで」といった具体性を持って退職数を見ることで、PDCAを回して院内の課題を解決・改善していく意識が醸成されます。退職数を結果論でしか見ていない場合とは、見える景色がまるで異なってくるはずです。

 

退職数や退職率は、ほとんどの病院にとって「あまり見たくない数字」「触れられたくない数字」でしょう。しかし、そこから目を背けたままでは、いつまでたっても安定的な人材マネジメントにはたどり着けないのです。

 

 

 

採用力を評価するための20項目とは?

 

ここで、病院の看護師採用力を判断するために弊社が作成した、オリジナルの評価表をご紹介しましょう。これまでのコンサルティング経験を踏まえて特に重要だと思われる20項目を抽出し、それぞれ0~5点で評価することにより、A~Eの6段階で採用力を判定するものです。

 

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