2021.09.07
5

就業規則と職場のルールブックを活用しよう

今さら聞けない人事・労務のイロハ vol.5

  

 

編集部より

医療機関・介護福祉施設における人事・労務のお悩み解決を医療に強い社労士がサポートします。知っているつもりでも意外と知らないことがあるかもしれません・・・。第5回目は、労務管理の基本である就業規則の整備の重要性と活用方法について、職場ルールと合わせて知っておくべきイロハをお届けします。トラブルが起こってからではなく、事前に決められたルールや基準を整えておくことで、経営者もスタッフもお互いが快適に働ける労働環境が生まれていく、と皆川さんは話します。最近ではメンタルヘルス不調による休職が増えていることから、これからの時代、経営者・管理者はその対応も盛り込んだ就業規則の整備を進めることが大切です。

執筆/皆川 雅彦(特定社会保険労務士、社会保険労務士法人葵経営 代表社員、労働保険事務組合 葵経営 会長)

編集/メディカルサポネット編集部

 

就業規則とは、スタッフが職場で働く上で守らなければならないルールや労働条件に関する具体的な事項について定めた規則等の総称です。 職場において、経営者・管理者とスタッフとの間で、労働条件や職場で守るべきルール等についての理解がくい違い、これが原因となってトラブルが発生することが多くあります。このような事態を防ぐためには、労働時間や賃金等労働条件や職場で守るべきルール(服務規律等)をはっきりと定め、スタッフに明確に周知しておくことが必要です。 

 

就業規則には何を書く?

就業規則には、「必ず記載」しなければならない事項と「定めをする場合には記載」しなければならない事項があります。

 

必ず記載しなければならない事項 定めをする場合には記載しなければならない事項
①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
②賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切及び支払いの時期並びに昇給に関する事項(賃金規定)
③退職に関する事項(定年及び再雇用、解雇事由も含む)
①退職手当に関する事項(退職金規定)
②臨時の賃金(賞与)、最低賃金に関する事項
③食費・作業用品などの負担に関する事項
④安全衛生に関する事項
⑤職業訓練に関する事項
⑥災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
⑦表彰、制裁に関する事項
⑧その他全労働者に適用される事項

 

 

特に、医療・介護現場の視点で考えると、原則週休2日制ではなく1カ月単位の変形労働時間制を採用する場合、フレックスタイム制や事業場外労働みなし制を採用する場合には、就業規則はもとより労使協定書も別途作成することが必要となります。

 

注意点としては、退職金制度及び賞与制度は必須事項ではない(必ずしも支払われるものではない)ということです。ただし、退職金や賞与を支払うという「定め」をした場合には、記載する必要がありますし、お金に係る重要事項でもありますので、きちんとルール(対象要件、計算や査定の方法、支払い時期等)は詳細に整備しておくことをお勧めいたします。

 

 

 

就業規則の法的位置づけ

就業規則については、「常時10人以上労働者」を使用している事業場では、就業規則を作成し、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見書を添えて、所轄労働基準監督署に届け出ること」が義務となっています。この説明文の中で下線ひいた言葉がキーワードなので、解説しましょう。

 

会員登録されている方のみ続きをお読みいただけます。

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP