2021年の改正薬機法など薬局の機能分化に対応を

【薬局編】コロナ禍で変化にさらされた医療経営の今とこれから

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、医療業界に重大なインパクトをもたらしました。それに伴い、薬局も大きな変化を余儀なくされた今、経営という視点からどんな対応が考えられるのでしょうか。日本経営グループのメディキャスト株式会社厚生政策情報センター事業部でセンター長を務める山口聡さんにお話を伺いました。

取材・文/中澤 仁美(ナレッジリング)
写真/山本 未紗子(株式会社ブライトンフォト) 
編集・構成/メディカルサポネット編集部

■オンライン服薬指導に本腰を入れるきっかけに

 

新型コロナウイルスが薬局にもたらした影響を考えるとき、まず挙げられるのが「受診控えに伴う処方箋受付枚数の減少」でしょう。医療機関を利用する患者さんが大幅に減ったこと、特に外来の受診控えが顕著になったことで、比例するように処方箋の受付枚数も減少しています。実際、日本薬剤師会の調査※によると、2020年4月の受付状況を踏まえた5~6月の処方箋受付回数の見込みが前年比で30%以上減少した薬局は、全体の27%に上ることが明らかになりました。

  

※新型コロナウイルス感染症が薬局経営等に及ぼす影響に関する要望書の再提出について(日薬発第39号)
https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/activities/20200521.pdf

 

加えて、不要不急の外出自粛が呼び掛けられたことで、長期処方を希望する患者さんが増えたことも、経営上のダメージになり得たでしょう。特に、状態が安定している生活習慣病などの場合は「60日」「90日」といった長期処方を希望されることが多く、患者さん1人当たりの調剤医療費が下がる要因となりました。こうした状況の中、業務量に対して薬剤師が過剰となる薬局も多かったはずですが、短期間で人員配置を変更するのは困難です。人件費がそのまま負担となり、経営を大いに圧迫したことは想像にかたくありません。ただ、今回のCOVID-19感染拡大の影響は地域差があること、また薬局によってはOTCや衛生用品の販売を強化していたところでは物販の売上が向上していることが分かります。

 

医療政策が専門のメディキャスト株式会社厚生政策情報センター事業部センター長の山口聡さん 

 

今後、新型コロナウイルスがさらに猛威を振るう可能性も指摘されています。患者さんが来局しづらい環境が当面は継続することを想定し、これからの経営方針を組み立てる必要があるでしょう。そこで検討すべきテーマの一つが「オンライン服薬指導」です。新型コロナ対応のための時限的な特例措置(0410対応)として先んじて解禁されていましたが、2019年に成立した改正医薬品医療機器等法(以下、薬機法)により2020年9月から本格的に施行されています。

 

ご存じの方も多いでしょうがおさらいしておくと、「薬剤服用歴管理指導料4」は、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合に、月1回まで43点を取得できるという内容です。これまではオンライン服薬指導に積極的な薬局とそうでない薬局の差が顕著だった印象ですが、改正薬機法の施行に合わせて複数のメーカーがオンライン服薬指導のシステムを販売するなど、環境面の整備もしやすくなってきました。

 

厚生労働省による「医療機関・薬局等における感染拡大等防止支援事業」では、「電話等情報通信機器を用いた診療体制を確保する」といった取り組みに対して、薬局の場合は70万円を上限に補助を実施しています。こうした支援制度があるうちに、オンライン服薬指導の体制を整えておくといいかもしれません。「患者さんの顔が見えるようなシステムの構築はハードルが高い」と感じるなら、特例期間中である現在、まずは電話での服薬指導からスタートしてもいいでしょう。現在のところ、「薬局における薬剤交付支援事業」により、薬剤を患者宅などに配送する経費も支援されています。

 

■「在庫管理」「感染予防」「情報発信」もキーワードに

 

もう一点、コロナ禍ならではの難しさがあるのは在庫管理の問題です。長期処方が増えるということは、一度に出す薬剤の量が増えるということです。店舗ごとに平常時より多くの薬剤を仕入・保管しておく必要があり、在庫管理そのもののコストが高くなりがちです。また、マスクやガーゼといった衛生用品については、そもそも品薄が続き、仕入れ自体が困難だった地域もあるでしょう。各店舗で必要なものを厳選し、余裕を持って入手しておくと安心です。調剤報酬に頼った経営から、衛生用品の販売やOTCの提案などを通じて患者との新しい関係を構築し、来局するきっかけを作っていくことが大事になってくるのではないでしょうか。

 

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