2023.02.21
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管理職研修とは?医療機関・介護施設の管理職の役割や研修を徹底解説

良いリーダーは良い組織をつくる

医療機関・介護事業所における管理職に求められるスキルや研修を解説

 

編集部より

医療機関や介護施設を運営する上では、チームや部署のリーダーとして職員をマネジメントし、現場と経営陣との橋渡し役にもなる管理職の存在が欠かせません。しかし、新人研修に比べ管理職研修は手薄になりがちで、管理職の教育・育成に悩みを抱えている病院や介護施設も多いようです。

ここでは、医療機関や介護施設の管理職の役割や求められるスキルのほか、管理職研修を行う目的と具体的なカリキュラムについて解説します。

             

編集/メディカルサポネット編集部

 

 

管理職研修の目的とは?

管理職の仕事は、チームの方針や目標の設定から、業務の進捗管理、チームメンバーの育成と仕事に対する動機付け、現場と上層部の橋渡しまで、多岐にわたります。しかし、一般職員が管理職に昇進したとしても、すぐにリーダーとして活躍できるわけではありません。目標設定がうまくできない、チームメンバーとのコミュニケーションがうまくいかないなど、課題を抱えている場合も少なくないでしょう。

 

そこで、管理職が自身の役割を再認識して現状を見直し、課題解決のために不足しているスキルを学ぶために、管理職研修が必要とされます。

管理職研修とは、管理職が自分の役割を把握し、組織やチームのマネジメントを行う上で必要なスキルを習得するための研修です。とはいえ、管理職研修の最終目的は管理職者本人のスキルアップだけではありません。管理職のマネジメントの良し悪しは、チーム全体、組織全体にも影響を及ぼすため、研修の効果も広範囲に広がります。管理職研修の具体的な目的は、下記のとおりです。

      

組織全体の生産性向上

医療・介護業界で生産性を上げる、すなわちコストを抑えながら質の高い医療を提供していくには、限られたリソースを最大限に活用することが重要です。チームを管理する立場の管理職がマネジメントスキルを身につけることで、適切な目標設定、確実な業務進捗管理、チームメンバーの成長・モチベーションのアップなどが果たされれば、最終的には組織全体の生産性向上につながります。

  

従業員エンゲージメント向上

従業員エンゲージメントとは、従業員が企業や組織の目指す方向性に共感し、自発的に企業に貢献しようとする意欲や熱意のことです。以前は、終身雇用や年功序列の報酬体系が従業員の組織への帰属意識や忠誠を支えていました。しかし、近年ではこのような制度は少なくなり、働く人の価値観や働き方が変わったことで、従業員に組織のためにがんばろうという思いを持ってもらうには、新たな動機付けが必要です。

管理職がマネジメント力を高め、部下の多様な働き方や価値観に対応できるようになれば、組織全体として働きやすい風土ができ、従業員エンゲージメントの向上や人材の定着率アップが期待できます。

     

 

管理職研修の主なプログラム

管理職研修は、対象者や身につけてほしいスキル別に、いくつかのプログラムに分けられます。ここでは、代表的な管理職研修を4つご紹介しましょう。

     

新任管理職研修

新任管理職研修は、役職を与えられたばかりの管理職向けの研修です。「管理職の役割」「基本的な労務管理の知識」「部下との効果的なコミュニケーションの方法」「目標管理・業務管理の方法論」など、管理職としてマネジメントを行う上で、基本的なスキルを学びます。

 

チームビルディング研修

チームビルディング研修は、チームメンバーで目標を共有し、それを達成するために共同作業を行う「チームワーク力」を高めるための研修で、ゲームを用いた研修がよく見られます。また、業務管理や目標管理の方法、部下の多様な価値観に対応する方法など、人材を適正に管理し、継続的に成果を上げるチームづくりに必要なスキルを学ぶことも目的です。 

  

管理職研修

管理職研修は、中堅管理職向けの研修です。管理職としての行動基準や「組織」「業務」「カネ」「人」を適切にマネジメントするノウハウを学びます。内容は、部下のキャリア形成を支援する方法や効果的なフィードバックの方法、リスクマネジメントなど多岐にわたり、個々人の抱える課題に合わせて行われます。

  

上級管理職研修

上級管理職研修は、管理職からさらに上層の組織経営の中核を担う役職者になる人向けの研修です。経営者視点で、リスク管理や経営数字の捉え方、組織マネジメントの手法などを学びます。

   

     

管理職の役割

効果的な管理職研修を実施するには、大前提として組織における管理職の役割を把握し、管理職に求められる能力を知っておく必要があります。続いては、大きく分けて3つある管理職の役割について見ていきましょう。

  

全体を見通した業務管理

チーム全体、さらに組織の業績も見据えた上で、チームメンバーである職員の業務の進捗管理や、チームの進捗管理を行います。そのためのチームの目標設定や業務計画の策定、チームメンバーの適性に合わせた仕事の割り振り、スケジュール管理、メンバー一人ひとりのフォローなどは、管理職の大事な仕事です。必要であれば、方針変更を行うこともあります。

また、人件費のほか、業務に関わる費用について把握し、無駄がないか、改善の余地はないかといった検討もします。

  

部下の育成・マネジメント

人材の採用や正しい人員配置のほか、一人ひとりに能力開発・キャリア開発支援を行って部下を育てることは、管理職の重要な仕事です。それぞれの職員の強みや弱みを把握して適切な配置を行い、良いところを伸ばして、キャリアアップを図れるような目標設計・サポートを行います。

部下の悩みに応えてキャリアプランのアドバイスをしたり、時にはねぎらいの言葉をかけたり、手本となるような業務をいっしょに行ったりすることもあります。

   

経営側と一般職員の橋渡し

管理職は、経営側と一般職員とのあいだに位置するポジションです。両者の橋渡しとしてあいだを取り持つ役割もあります。組織の理念や方針、目標を一般職員に伝え、目標実現のためにチームを導いていくことが、組織の業績アップにつながります。

同時に、一般職員の立場に立って経営側に現場の状況を正確に伝え、問題があれば相談して、解決方法を探っていくことも必要です。

     

管理職に求められるスキル

管理職に与えられた「全体を見通した業務管理」「部下の育成とマネジメント」「経営側と一般職員の橋渡し」といった役割をしっかりと果たすためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。管理職に求められるスキルは、下記のとおりです。

   

マネジメントスキル(管理能力)

マネジメントスキルとは管理能力のことで、チームを構成する職員のほか、さまざまな業務や物品、お金の流れについて管理する能力のことです。日々の業務を進めていく上で不可欠なスキルで、適切な目標設定や進捗の管理、チームメンバーの育成など、具体的に行うべきことは多くあります。

管理職は、このスキルによってチームの目標の実現のためにより良い体制を作り、チームを運営していくことが求められます。役職によっては施設の運営業務を担うこともあり、行政への必要な届け出や管理、外部広報などを担当することも。

 

課題解決能力

課題解決能力は、何が問題になっているのか、解決策はあるのか、今必要なことは何なのかなど、経験と知見にもとづいて施策を検討し、スピーディーに実行していく力をいいます。管理職はチームや部署における責任者なので、適切な判断を行いながらチームや部署の課題を解決していかなくてはいけません。役職によっては、チームだけでなく施設全体を俯瞰しつつ、細かな課題にも気づける繊細さと、経営陣に解決策を伝える提案力も重要になります。

  

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力とは、チームメンバーはもちろん、患者や利用者、外部の関係者と円滑な意思疎通ができ、良好な信頼関係を結ぶことのできる資質のこと。チームがひとつの目標のために進んでいくには、職員間の円滑なコミュニケーションは欠かせません。リーダーである管理職は、チームメンバーや患者、利用者、外部業者とのやりとり、および相談対応を行うことが多いので、どのような立場の人にも誤解を与えないスムーズなコミュニケーション能力は重要なものといえます。

 

管理職は、経営者側と一般職員とのあいだに挟まれるポジションのため、両者の板挟みになることも。そんなときにどちらかを優先するのではなく、どちらの立場にも立てるような器用さと、丁寧でこまめなコミュニケーション能力があれば、経営者側と相互理解した上で、職員にとっても働きやすい職場を作ることができます。

   

強い責任感

管理職は、チームのリーダーとしてチームを管理し、チームメンバーに寄り添ってその成長を助け、問題が起きた場合は解決のために率先して動いていく必要があります。経営陣に対してみずから課題の解決方法を提案するような場面もあるため、困難に負けずに業務を推進できる強い責任感や、自分の意思を貫いて現場の改善に取り組む姿勢が求められます。

 

これらのスキルがどのレベルで必要になるかは、管理職の役職や担当している仕事によって異なります。管理職研修の内容を決めるには、管理職の役割と求められるスキルを踏まえた上で、受講者の役職や不足しているスキルに合ったものにすることが大切です。

効果的な管理職研修が組織力アップにつながる

医療機関や介護施設を運営していくためには、チームや部署を統括し、組織全体の目標を共有してチームや部署の舵取りをしていく管理職の存在は欠かせません。適切なタイミングと内容で管理職研修を行い、管理職のスキルを高めていくことは、組織力の向上につながり、ひいては質の高い医療・介護サービスの提供につながります。管理職研修は、新人研修に比べると軽視されがちですが、組織として力を入れて取り組んでいくことが大切です。

 

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