薬局経営コラム

    

編集部より

調剤報酬改定のたびにマネジメントの工夫が必要となる薬局や調剤併設ドラッグストア。「物」から「人」へのシフトが鮮明になり、地域の医療情報集積とコミュニケーションを担う役割も求められています。地域社会や患者さんのニーズを満たす新しい試みを続けていくためにも、薬局は安定した経営を続けていくことが必要と言えるでしょう。

 

今回は、医療DX推進体制整備加算について、大手薬局エリアマネージャー補佐の篠原さんが解説。医療DX推進体制整備加算の算定要件や施設基準を解説するとともに、算定における注意点やマイナ保険証の利用率を向上するための対策についてお伝えします。

 

執筆/篠原奨規 管理薬剤師 薬局グループ エリアマネジャー補佐

編集/メディカルサポネット編集部

  

タブレットを持っている白衣を着た女性  

2024年度の調剤報酬改定により新設された「医療DX推進体制整備加算」。医療DXへの体制整備やマイナンバーカードの健康保険証(マイナ保険証)としての利用推進など、さまざまな要件に対応する必要があり、算定に苦戦している薬局経営者もいるのではないでしょうか

とくに、施設基準となっているマイナ保険証の利用率が上がらずに悩んでいる方も少なくないでしょう。

 

本記事では、算定要件や施設基準、算定できる点数など医療DX推進体制整備加算の概要を解説するとともに、算定における注意点やマイナ保険証の利用率を向上させるための対策についてお伝えします。

  

   

1. 医療DX推進体制整備加算とは?

 

タブレットを見ながら会話をする医療従事者

  

医療DX推進体制整備加算とは、病院や薬局におけるオンライン資格確認等システムや電子処方せんなど医療DXに関する体制・取り組みを評価する加算のことです。

2024年度の調剤報酬改定によって新設された加算であり、算定するためには算定要件や施設基準などを正しく理解する必要があります。

 

はじめに、医療DX推進体制整備加算の算定要件や施設基準、算定できる点数について解説します。

算定要件

医療DXを推進するための体制として、後述する施設基準を満たしたうえで地方厚生局長に届出を行うことで、医療DX推進体制整備加算を算定できます。

調剤基本料の加算として患者さん1人につき、月1回のみ算定が可能です。

 

施設基準

医療DX推進体制整備加算を算定するには、以下の施設基準を満たさなければなりません

 

  1. 電子情報処理組織を使用した診療報酬請求を行っていること。
  2. 健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認(以下、「オンライン資格確認」という。)を行う体制を有していること。なお、オンライン資格確認の導入に際しては、医療機関等向けポータルサイトにおいて、運用開始日の登録を行うこと。
  3. オンライン資格確認等システムを通じて患者の診療情報、薬剤情報等を取得し、調剤、 服薬指導等を行う際に当該情報を閲覧し、活用できる体制を有していること。 
  4. 「電子処方せん管理サービスの運用について」に基づく電子処方せんにより調剤する体制を有していること。
  5. 電磁的記録による調剤録及び薬剤服用歴の管理体制を有していること。ただし、紙媒体で受け付けた処方せん、情報提供文書等を紙媒体のまま保管することは差し支えない。なお、 保険薬局における医療DXによる情報活用等の観点から、オンライン資格確認、薬剤服用歴等の管理、レセプト請求業務等を担う当該保険薬局内の医療情報システム間で情報の連携が取られていることが望ましい。
  6. 国等が提供する電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制を有していること。
  7. 医療DX推進体制整備加算を算定する月の3月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率(同月におけるマイナ保険証利用者数を、同月の患者数で除した割合であって、社会保険診療報酬支払基金から報告されるものをいう。以下同じ。)が、一定基準を満たしていること。
  8. (7)について、医療DX推進体制整備加算を算定する月の3月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率に代えて、その前月又は前々月のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率を用いることができる。
  9. 医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い医療を提供するための十分な情報を取得し、および活用して調剤を行うことについて、当該保険薬局の見やすい場所に掲示していること。具体的には次に掲げる事項を掲示していること。
    (イ)オンライン資格確認等システムを通じて患者の診療情報、薬剤情報等を取得し、調剤、服薬指導等を行う際に当該情報を閲覧し、活用している保険薬局であること。
    (ロ)マイナンバーカードの健康保険証利用を促進するなど、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいる保険薬局であること。
    (ハ)電子処方せんや電子カルテ情報共有サービスを活用するなど、医療DXに係る取組を実施している保険薬局であること。 
  10. (9)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。ただし、 ホームページ等を有しない保険薬局については、この限りではない。
  11. 最新の厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を参照し、また、「「薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」および「薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストマニュアル~薬局・事業者向け~」等について」 (令和5年10月13日付け医政参発1013第2号・医薬総発1013第1号医政局特定医薬 品開発支援・医療情報担当参事官・医薬局総務課長通知)の別添1、別添2及び別添4を活用するなどして、サイバー攻撃に対する対策を含めセキュリティ全般について適切な対応を行う体制を有していること。
  12. マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること。(医療DX推進体制整備加算3は対象外)

 

参照:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」

  

 算定できる点数

医療DX推進体制整備加算は、マイナ保険証利用率に応じて算定できる点数が異なります。

会員登録されている方のみ続きをお読みいただけます。

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP