2021.11.09
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次世代介護情報連携プラットフォーム「SCOP」で現場をもっとスマートに!

【医療テックPlus】第16回/社会福祉法人 善光会

【 医療テックPlus+】第6回 「腰用パワードウェア『ATOUN MODEL Y』」 株式会社ATOUN

 

 

編集部より

ITの導入で業務効率化を図れることは言うまでもありませんが、介護事業所の多くは中小規模であり、IT化のコストを捻出することは簡単ではありません。そのため、業界全体としてIT化の遅れが指摘されてきました。国は補助金制度を設けるなどして介護のIT化を後押ししており、今後の展開が期待されるところです。ここでは、介護のIT化を実現する強力なツールの1つとして、業界初となる機能を備えた介護情報連携プラットフォーム「SCOP」に注目し、開発に携わった方々にお話を伺いました。

 

取材・文/中澤 仁美(ナレッジリング)

撮影/和知 明(株式会社BrightEN photo)

編集/メディカルサポネット編集部

 

 

【お話を伺った方】

【写真左】佐藤 拡史さん(社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所 兼 事業戦略室)

【写真中】和田 真央さん(社会福祉法人善光会特養フロース東糀谷 ユニットリーダー)

【写真右】遠藤 丈文さん(社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所 兼 事業戦略室 兼 総務)

 

 

介護情報連携プラットフォーム「SCOP」概要>

SCOP(smart care operating platform)とは?
「最も使いやすく」「最も安く」をめざし、善光会サンタフェ総合研究所がAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)と共同開発した介護情報連携プラットフォーム。他社システムとの連携を可能にし、情報を一元管理できる点が業界初となる。現在、SCOP HomeとSCOP Now、2つのサービスを提供している。

・SCOP Home
現場のニーズから生まれた介護記録向けのiPadアプリ(科学的介護情報システムLIFEにも対応)。携帯用のIT端末を使えばリアルタイムで簡単に記録作業を行うことができ、スタッフ間の情報共有や連携もタイムリーに行うことができる。

・SCOP Now
転倒・転落予防の見守りや排泄予測といった介護現場で利用されるセンサー機器等の情報を集約し、現場の状況やアラート情報などを一元管理できるiPhoneアプリ。現場スタッフが必要とする情報をすぐに確認・活用できる。

 

 

 

「記録問題」に終止符を打つため難題に挑戦

     

    ――SCOPを開発することになった経緯を教えてください。

     

    遠藤:介護記録の作成が2重3重の負担になって現場を圧迫しており、どうにか改善したいと思ったことがきっかけです。多くの現場では、まだ携帯用のデジタル端末が普及しておらず、「いったん紙にメモした内容を、後であらためてパソコン入力する」という効率の悪い状況が続いています。

     

    こうした環境では、受け持ちの利用者数が多ければ多いほど、メモする内容が多くなって混乱しやすくなり、記録の入力漏れや入力ミスにつながる可能性が高まります。また、時間が経過すればするほど記憶が不鮮明になっていくので、思い返すのに時間がかかります。他の業務をすべて終わらせてからメモを見返して記録していくのであれば、時間がかかって残業が発生してしまう懸念もあります。テクノロジーの力を活用すればこれらの記録問題を改善できると信じ、システム開発に乗り出しました。

     

     

     

     

    ――SCOPの特徴やこだわりを教えてください。

     

    遠藤:介護スタッフの年齢や国籍は幅広く、ITや言語に不慣れな方もいるので、誰もが使いこなせるようにさまざまなアイデアを詰め込みました。例えば、とにかく使いやすさを重視し、初めて触れる方でも分かりやすい画面設計にしています。

     

    具体的には、必要な情報を一画面に集約して閲覧できるようにし、画面を切り替える必要を最小限に抑えました。簡単な内容であれば端末のタップ入力でササッと記録できますし、定型文などを組み合わせてより詳しい内容にすることも可能です。利用者さんに対応しながらリアルタイムで操作すれば、「バイタルサイン測定→食事量の観察→睡眠状況の確認」といった業務の流れに沿って正確な情報を記録することもできます。

     

     

     

     

    開発にあたっては、現場の声を十分に取り入れるため、各階層(施設長・副施設長、フロアリーダー、ユニットリーダー、一般スタッフ)ごとにヒアリングを徹底的に行いました。その結果、「管理者は全体の情報を一目で把握したい」「スタッフは利用者さん1人ひとりの情報を確認したい」というように、階層ごとのニーズが浮き彫りになりました。また、「当日の入浴予定者が体調不良になった場合、すぐに該当する利用者さんの情報に画面を切り替えてほしい」という現場ならではの意見も出ました。これらを踏まえて仕様の改善を繰り返し、現場が満足できるシステムに仕上げていったのです。

     

    佐藤:IT導入補助金制度に伴い、介護事業所での情報管理システム導入の動きは活発になっています。複数の製品を比較してどれを選ぶか頭を悩ませている管理者の方もいらっしゃるかと思いますが、選定時のポイントは間違いなく「現場の使いやすさ」でしょう。使いやすさに優れていれば、スタッフがシステムに慣れるまでの負担を軽減できますし、そこにかかる教育コストの抑制にもつながります。

     

     

     

     

     

     

    こだわり抜いた製品を低価格で提供するわけ

       

      ――実際の開発の過程で、特に困難だったことは何ですか。

       

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