2021.11.22
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日本で介護を「魅力的な仕事」に
~カギはICT-IoTの活用と育成戦略~

介護事業者インタビューvol.5 株式会社アズパートナーズ

 

編集部より

介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)やデイサービスなどを運営するアズパートナーズは、介護業務の効率化を目指し、ICT・IoTを一体活用した「EGAO link(エガオ リンク)」をメーカー4社と共同開発し、運営している全事業所に導入しています。開発の背景や、同社の採用・育成戦略について、植村健志社長にお話を伺いました。

 

取材・文/松崎 純子(元新聞記者/介護ライター)

撮影/穴沢 拓也(株式会社BrightEN photo)

編集・構成/メディカルサポネット編集部

 

 

植村 健志(うえむら・けんじ)

株式会社アズパートナーズ 代表取締役社長 兼 CEO 

早稲田大学卒業。上場デベロッパーにて共同住宅開発に従事。東証一部上場企業の常務取締役を経て、2004年アズパートナーズを創業、代表取締役に就任。首都圏を中心に、介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)などの高齢者ホームと在宅事業デイサービス等の運営を行う。(社)全国介護付きホーム協会 副代表理事も務める。

 

 

  

メーカー4社と共同開発したシステム「EGAO link」を導入

 

 

介護は本来、誇りを持てる仕事です。しかし、慢性的な人材不足などにより、職員の業務負担が増し、ケアすることが作業になってしまうケースも見受けられました。そこで、2014年からケアと作業の分業に取り組み、次に取り組んだのが、ケアスタッフの業務効率化です。ICT・IoTを一体活用し、メーカー4社と共同で開発した「EGAO link」の導入を始め、現在すべてのホームで活用しています。

 

 

 

 

職域ごとに、最も業務負担となっていることを聞き取った結果、記録業務、夜勤の巡視などを負担と感じているスタッフが多いことがわかりました。より効果的な「チームケア」を行う上で、記録やご入居者の状態把握などを1台の機器で管理し、職員同士がその情報を共有できる仕組みを構築する必要性を感じました。

 

このような思いを

 

「記録」(ケアコネクトジャパン)

「ナースコール」(アイホン)

「見守りセンサー」(パラマウントベッド)

「無線LAN」(住友電設)

 

でつなぐよう、4社と共有し、連携して開発したのが「EGAO link」です。

スマートフォン1台で記録の作成からご入居者の状態把握まで行えるようにしました。

 

 

 

――本システムの導入によってどのような成果が出ているのでしょうか?

 

記録業務が約7時間、巡視時間が約5時間、コール対応が約5時間削減でき、その結果、常勤2名を削減してもスタッフが安心して働ける職場環境を実現できました。

 

   

業務効率の向上により創出した時間で、個別ケアの時間が確保できるようになり、リハビリの質と量も向上介護保険本来のケアプランが作成できたことも大きく、利用者の状態改善という本来の介護の仕事に専念できるようになりました。

 

今後「EGAO link」を、音声入力や、ケアプランを加工して、ケアの最適化を図っていけるようにしていきたいと思います。AIと連携させ、ご入居者のビッグデータを活用して、様々な予測を立て、ケアの質を高め、効率化も促進し、さらなる進化を目指していきます。

 

ケアの予測も可能にすれば、新しいスタッフが迷った際も、スマホを見ればわかるようになっていくと思います。

 

「EGAO link」を利用したいという事業者には、導入サポートも行っています。行政と話をして、重要事項を変更することや、定期巡視をなくすための仕組み、例えば、夜勤4人を2人にした際の家族への説明方法など、オペレーションのノウハウも提供しています。導入費用は、1事業所で、

   

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