2023.01.05
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古くからある慣習に歯止めを!「看護師の働き方改革」成功の舞台裏
ーーー板橋中央総合病院

看護部ビフォーアフターvol.4

古くからある慣習に歯止めを!「看護師の働き方改革」成功の舞台裏 ーーー板橋中央総合病院

 

 

編集部より

大きな声では言えないかもしれないけれど、どこの看護部もそれぞれに課題を抱え、頭を悩ませているもの。どのように課題と向き合い、乗り越えていくのか……。そこで組織としての真価が問われます。時間外労働の削減をはじめとした看護師の働き方改革に、病院全体で取り組んでいる板橋中央総合病院(東京都板橋区)。看護師が主体となって改革を推進していく過程には、さまざまな苦労や工夫がありました。看護部長、副看護部長、改革を推進した師長3人にご登場いただき、取り組みのきっかけや具体的な施策、その成果などについて伺いました。

   

取材・文/宮田 里依(ナレッジリング)

撮影/和知 明(株式会社BrightEN photo)

写真提供/板橋中央総合病院看護部 

編集/メディカルサポネット編集部

【お話を伺った方】

竹内 由美さん(板橋中央総合病院 看護部長/写真中央)
山内 瞳さん(板橋中央総合病院 副看護部長/写真右から2人目)
須藤 歩さん(板橋中央総合病院 看護師長/写真左)
藤咲 有珠さん(板橋中央総合病院 看護長/写真右)
青砥 倫子さん(板橋中央総合病院 看護師長/写真左から2人目)

   

「ワークライフバランス10条」で時間外労働削減!

――貴院で看護師の働き方改革に取り組むことになった背景を教えてください。

 

竹内:当院は急性期病院であるためベッドの回転率が高く、緊急入院を含めた入院や退院が頻繁にあります。その上、必ずしも十分でない看護師数、業務の煩雑さ、多重課題をこなす難しさもあり、長らく時間外労働が常態化していました。また、若く経験年数の浅いスタッフが多く、情報収集に時間がかかるため、始業時刻の1時間以上前から出勤してパソコンに向かうスタッフも少なくありませんでした。時間外労働が増えることで時間通りの勤務交代も難しくなり、日勤の看護師が夜の21時まで残っているような姿も見られました。

 

そうした環境に疑問を抱いて離職していくスタッフや、育児休業明けに「病棟に戻りたくない」と訴えてくるスタッフもいたため、看護部長として「なんとか状況を変えなくては……」という意識が芽生え、2014年に「ワークライフバランス10箇条」を策定しました。その後、2021年には当院で医師の働き方改革が始まり、同時に看護師の働き方に関する意見の吸い上げも行われました。こうした動きの中で、医師や看護部長を含む多職種メンバーで働き方改革推進のための委員会が立ち上がり、全院を巻き込んだ取り組みへと発展していきました。

   

看護部の働き方改革を指揮した竹内看護部長

    

――看護師の時間外労働をどのようにして減らしていったのでしょうか。

 

山内:「時間外労働を減らそう!」とスローガンを唱えているだけでは、状況を変えることは難しいものです。そこで、具体的な行動指針として「ワークライフバランス10箇条」を掲げ、努力や工夫の一つひとつの積み重ねが時間外労働削減につながるようにしました。だからといって、すぐに全員の行動が改まって目覚ましい成果が出るはずもありませんが、少しずつ現場に浸透する中で状況が変わっていった感覚です。

    

  <板橋中央総合病院の働き方改革10箇条>

■時間厳守するのも仕事のうち、勤務開始1時間前はフライング、退勤は30分以内に
⇒始業も終業も、業務時間内で終わらせる努力と協力をして、プライベート時間の充実を図ろう!

■ラウンド前にPHS(ピッチ)もバトンタッチ
⇒「自分の業務が終わるまでPHSを持っている」「引き継ぎ相手が先輩だと渡しづらい」そんなこと言ってたら仕事が終わらないよぅ……

■ナースコールなくすコールへ
⇒ナースコールを押さなくてもよい、行き届いた看護をしようよ!誰よりもナースコールの少ない看護師になろう!

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