病院の職員の主体性を引き出す

    

編集部より

病院の事務長藤井将志さんが、実務者目線で病院経営を時に辛口解説する今シリーズ。病院では、勉強会や地域イベントへの参加など、さまざまな企画が行われることがあります。しかし場合によっては、職員の参加率が低かったり、職員のモチベーションが低くうまくいかないケースもあるのではないでしょうか。

 

今回は、病院の企画やイベントに、職員が主体的に関わってもらえるようになるためのポイントを紹介します。自主的な職員の多い職場は働きやすく、人間関係も良好になるでしょう。

筆者の勤務する病院の例を、ぜひ自院での取り組みの参考にしていただければと思います。

  

執筆/藤井将志(特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志)

編集/メディカルサポネット編集部

  

  

1.職員を病院のイベントに強制参加させるのは正解か?

 

悩む看護師 

筆者の勤める谷田病院では、マルシェを開催したり、スポーツしたり、勉強会したり、祭りに出たり、いろいろなイベントを行っています。

そうするとよく言われるのが、

 

・職員を駆り出して不満でませんか?

・嫌々参加する人いませんか?

・強制してるのですか?

 

といった質問です。

 

筆者も昔は必要性を説いて、地域貢献のために参加すべき!といったことをやってました。

そうすると、確かに、業務命令なので参加数は高まります。

 

しかし、やはりネガティブな気持ちで参加する人もおり、仕事が忙しいのに、なんでこんなことしないといけないのか、といった気持ちを抱く人もいます。

お恥ずかしながら、そうした声を無視して、それでも地域貢献としてやるべき!と思って、それこそ、参加を求めていた時期があります。

 

今はどうかと言えば、よほど病院方針で徹底したい!とか、法定で決まっていること以外は自由意思に任せるようにしています。

企画するのも参加するのも思いがある人がいるかどうかで決めています。

 

そのような方針転換が起きたのは、コロナ明けの忘年会企画がきっかけでした。

    

2.忘年会マルシェを初開催してみたら…?

コロナ前は市内のホテル会場を借りて盛大に(?)忘年会を開催していました。コロナ禍になり、もちろん開催はできなくなりました。

落ち着いてきた2024年に、再開したかったのですが、その年も感染メンバーから許可が得られません。

 

そこで、病院駐車場を使って、キッチンカーを呼んで、屋外でマルシェをやるのはどうか?という提案をしました。

それなら良いだろうと許可をもらい、準備に取り掛かりました。

 

当初はキッチンカーを呼んで、キッチンカーの人たちに管理をしてもらい、職員の手間をかけないようにしようと思っていました。

しかし、思いつきで実行委員メンバーを募集したところ、20人を超える職員が手を挙げてくれました。

一般的には各部署から代表者を出すように、みたいなことをするのでしょうが、その時は完全に自由にしました。

集まらなくても、キッチンカーの人たちに助けてもらえば実現できるかなと思っていました。

 

さて、自主的な20人が集まると大変でした。

住民にも声かけよう、割引チケットは院長のキャラクターのお札にしよう、職員の出店も許可しよう、会場は院内にもつくろう、ステージを準備しようなどなど、企画がどんどん盛り上がっていきます。

 

これまで、指示してホテル忘年会をしていた時には、やらされで準備し、毎年同じようなことをやっていましたが、その時とは大違いです。

そんなにいろいろなことをやったら運営とか大変だし、もっと手を抜いて良いのでは?と管理者側から言ったくらいです。

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