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編集部より

病院の事務長藤井将志さんが、実務者目線で病院経営を時に辛口解説する今シリーズ。今回は多く医療機関の課題である「人材不足」について解説していただきます。特に中小規模の医療機関は採用活動がなかなかうまくいかないことも多いかと思います。その際、どのように取り組めば求職者に魅力的な病院だと思ってもらえるか、そのポイントをご紹介します。

  

執筆/藤井将志(特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志)

編集/メディカルサポネット編集部

  

  

1.まずはいろいろな採用方法を試す

 

病院へ出す履歴書のイメージ

 

医療機関における経営課題として、常に上位ランクインするテーマに「人材採用」があります。地域でそれなりにブランドが確立されていたり、学校などと強いパイプがあったりなどの医療機関でない限り、人材採用に募集枠以上の応募が集まり、買い手市場になっているところは少ないでしょう

また、一部の職種では充足していても、必要なあらゆる職種で人材採用かうまくいっているところは皆無に近いのではないでしょうか。 筆者の所属する谷田病院も例外ではなく、人材採用は最重要課題です。

 

根本的な解決策としては、国家ライセンス数をどうコントロールするかという政策のことですが、今回はミクロ的な採用の取り組みをお伝えします。 

 

医療機関の特徴や、地域における職種ごとの労働市場の需給状況、立地などによって、どのような人材採用方法が望ましいかは変わってきます。なので、大きな結論としては、「何でもいいから次々に結果が出るまでとにかくやってみる」ということです

それぞれの医療機関によって、うまくいった方法が正解であり、以下で伝える当院の取り組みが必ずしも答えではないでしょう。トライ&エラーをやり続けることが最重要です。

  

2.紹介会社や有料媒体は使うべきか

 

求人媒体のイメージ

 

谷田病院は熊本市から車で1時間くらい離れた田舎町で、急性期や高度医療は提供しておらず、地域医療を提供している99床の小規模医療機関です。そのため、病院の名前が知られていることはなく、がっつりとした学校とのパイプもありません。となると、ひとまず求職者に知ってもらわなければ話になりません

 

学校求人、ハローワーク、紹介会社など、採用されるまで費用がかからない媒体には全て求人を出すようにしています。求人をたくさん出すと、いつも人手不足のように見えるから、限定して出したほうがいいのではないか、と言う声もありますが、求職者がどの媒体を見るかは分かりません。その媒体で求人が出ていないと検索すらされません。 

 

有料の求人媒体はどう考えるべきでしょうか?これは、立地によると考えています。

ある程度人口がいるところでは有料媒体で情報を発信すると一定の求職者が見てくれ、マッチングされる可能性はあります。しかし、当院のように人口が1万人しかいない地域では、なかなか効果が出ませんでした

これまでに、紙媒体もウェブ媒体も、あらゆる有料広告を使ってきましたが、結果は皆無に等しかったです。しかし、都市部にある経営支援先の医療機関では、有料媒体で反応があります。ひとまずやってみて、効果がなければ止めるといいでしょう。 

 

また、紹介会社を使いたくないという声も聞きます。理由としては、手数料が高いことと、紹介会社から来る人材はすぐ辞めてしまう、というのが代表でしょう。紹介会社に頼らず採用ができているのであればそれでいいのですが、充足していないのであれば紹介会社も積極的に活用するのも手段のひとつだと考えています

 

エージェントの方にどんな病院であるか、どんな人材を欲しているか、逆に、どんな人材は求めていないのか、丁寧に伝えるようにしています。

外部にいる採用担当者だと思って、自院にあった求職者を見つけてくれるメンバーと考えるべきでしょう

 

3.SNSによる病院の雰囲気の発信

 

SNSを見て興味を持っている女性のイメージ

 

さて、こうした求人を掲載することの次のステップは、ホームページやSNSの充実です。求人票を見て興味を持ってくれた人のほぼ全てがホームページを確認します。そこで、どんな病院か?をイメージするのです。

 

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