2024.11.11
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特定管理薬剤指導加算を増やすためには?調剤報酬改定における変更点や算定を増やすための具体策

利益を取りこぼさない 薬局マネジメント経営~Vol.16

    

編集部より

調剤報酬改定のたびにマネジメントの工夫が必要となる薬局や調剤併設ドラッグストア。「物」から「人」へのシフトが鮮明になり、地域の医療情報集積とコミュニケーションを担う役割も求められています。地域社会や患者さんのニーズを満たす新しい試みを続けていくためにも、薬局は安定した経営を続けていくことが必要と言えるでしょう。

 

この連載では、大手薬局グループのエリアマネジャー補佐 篠原奨規(しのはら しょうき)さんが、薬局で実際は行っているのに請求できていない報酬の把握や、見落とされがちな業務の工夫など、利益を取りこぼさないようにする薬局マネジメントについて解説します。

 

第16回は、「特定管理薬剤指導加算を増やすためには?調剤報酬改定における変更点や算定を増やすための具体策」です。

 

2024年度調剤報酬改定では特定管理薬剤指導加算に様々な変更が加わり、どのように活用すればよいか悩んでいる薬局関係者の方も多いと思います。そこでこの記事では、2024年度調剤報酬改定における変更点や特定管理薬剤指導加算の算定が難しい理由とともに、算定を増やすための具体策をお伝えします

  

執筆/篠原奨規 管理薬剤師 薬局グループ エリアマネジャー補佐

編集/メディカルサポネット編集部

   

  

薬に指を差し、患者さんに薬の説明をする薬剤師

  

近年、薬局薬剤師は対人業務の強化が求められています。国から評価される薬局になるためには、対人業務に関連する加算の推進が欠かせません。

特に「特定管理薬剤指導加算」は、2024年度の調剤報酬改定において、加算の新設や算定要件の変更が行われており、活用したいところです。しかし、積極的に算定ができずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

 

本記事では、特定管理薬剤指導加算を増やすために知っておきたい、調剤報酬改定における変更点や算定が難しい理由、算定を増やすための具体策について解説します

 

   

1. 特定管理薬剤指導加算とは

 

さまざまな形をした錠剤やカプセルの山

  

「特定管理薬剤指導加算」とは、特に安全管理が求められる医薬品や丁寧な説明が必要な医薬品について、薬剤師が薬学的管理や指導を行うことで算定できる加算です。2024年度の調剤報酬改定では「特定管理薬剤指導加算3」が新設され、特定管理薬剤指導加算1・2・3の3つに分類されました。これらの加算は、対象となる薬剤や点数、算定要件が異なります。

 

それぞれのポイントを詳しく解説します。

 

特定管理薬剤指導加算1とは 

安全管理が必要な医薬品を処方された患者さんやその家族に対して服薬管理・指導を行った場合に算定できるのが、「特定管理薬剤指導加算1」です。処方せん受付1回につき1回に限り算定できます。患者さんに安全管理が必要な医薬品であることを伝えるとともに、これまでの指導内容も踏まえて適切な指導を行う必要があります

 

特定管理薬剤指導加算1の対象となる医薬品の一例は、以下のとおりです。

 

  • 抗悪性腫瘍剤
  • 免疫抑制剤
  • 不整脈用剤
  • 抗てんかん剤
  • 血液凝固阻止剤(内服薬に限る)

 

特定管理薬剤指導加算2とは

「特定管理薬剤指導加算2」は、連携充実加算を届け出ている医療機関において、抗悪性腫瘍剤を注射された悪性腫瘍の患者さんに対して算定できる加算です。レジメン(治療内容)を確認したうえで患者さんに指導を行い、調剤後服薬フォローアップで経過を確認し、その結果を医療機関に情報提供することで、月に1回に限り100点を算定できます

 

特に悪性腫瘍の患者さんは副作用の発現や病状の急変が起きる可能性が高く、適切に薬物治療を進めるうえで薬局薬剤師によるサポートが必要です。本加算は、その取り組みを評価するものと言えるでしょう。

 

特定管理薬剤指導加算3とは

服薬指導の際、重点的に丁寧な説明を必要とするケースにおける加算として、2024年度調剤報酬改定で新設されたのが「特定管理薬剤指導加算3」です。以下のケースにおいて、患者さん1人につき、その医薬品を最初に処方された1回のみ5点を算定できます。

 

イ)特に安全性に関する説明が必要な場合として当該医薬品の医薬品リスク管理計画に基づき製造販売業者が作成した当該医薬品に係る安全管理等に関する資料を当該患者に対して最初に用いた場合

ロ)調剤前に医薬品の選択に係る情報が特に必要な患者に説明及び指導を行った場合

引用: 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」

 

「イ」については、 医薬品リスク管理計画(RMP)に関する情報提供資材を用いて服薬指導をしたときや、緊急安全性情報・安全性速報が新たに発出された際、安全性に関する情報提供を行った場合に算定できます

 

「ロ」は、後発医薬品のある先発医薬品において、一般名処方や銘柄名処方された場合に、選定療養の対象となる先発医薬品を選ぼうとする患者さんに説明を行うケースや、医薬品の供給不安定のために前回調剤された銘柄とは別の銘柄に変更せざるを得ない状況で患者さんに対して必要な説明を行ったケースが算定対象となります

  

2. 2024年度調剤報酬改定における特定管理薬剤指導加算の変更点

 

OLD WAY,NEW WAYと書かれた木製のブロック 

2024年度調剤報酬改定では、「特定管理薬剤指導加算3」が新設されたほか、「特定管理薬剤指導加算1」の算定要件見直しが行われました。

これまでは、対象となる薬剤が処方された患者さんに対して、安全管理に必要な指導を行った場合において算定が可能でした。しかし報酬改定後により、以下の2つのケースにおいて算定できる要件に変更されています

  

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