2024.04.01
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看護助手(ナースエイド)の離職を防ぐ!定着に向けた3つの施策とは?

            

編集部より

病院やクリニックで看護師が専門性を発揮し、質の高いケアを実施するためにも、看護助手(ナースエイド)は欠かせません。しかし、看護助手の離職率は29.9%と高く、定着しづらい施設もあることでしょう。看護助手の離職率を50%代から20%以下まで減少させた、実際に行われた3つの施策について看護師で医療専門ライターの西川さんが解説します。

 

執筆/ 西川 正太 (看護師、医療専門ライター)

編集/メディカルサポネット編集部

          

 

主に患者さんの世話や看護師のサポートなど、幅広い業務で医療現場を支える看護助手(ナースエイド)。今や、看護助手は、病院にとってなくてはならない存在です。しかし、看護助手は、人員不足や教育体制の構築の難しさなどの課題を抱えており、離職率も高い傾向にあります。実際に、筆者が勤務していた病院では、看護助手の離職率は50%前後で推移し、人員の定着が課題でした。重点的に取り組んだ結果、翌年には20%に減少しました。本記事では、筆者が勤務していた病院において、看護助手の定着に向けた3つの施策を解説します。

 

1.看護助手(ナースエイド)の現状

手を握る看護助手

        

看護業務の効率化を図り、看護師がより専門性を発揮するために、看護師と看護助手(ナースエイド)の連携が欠かせません。まずは、看護助手の現状について確認しましょう。

 

そもそも看護助手(ナースエイド)とは

看護助手とは、看護師の資格を持たずに病院や施設、クリニックなどで、看護師のサポートに従事する職種です。看護助手は、ナースエイドや看護補助者と呼ばれることもあります。日本看護協会によると、看護助手とは「看護が提供される場において、看護チームの一員として看護師の指示のもと、看護の専門的判断を要しない看護補助業務を行う者」とされています。

 

看護助手は、看護師や准看護師といった資格がなくても働けるため、無資格・未経験でも始めやすいといえます。ただし、医療資格がないため、採血や注射などといった医療行為はできません。看護師の指示を受けながら、手が足りないところのサポートが主な業務です。

 

看護助手(ナースエイド)の主な業務内容

看護助手(ナースエイド)は、基本的に看護師からの指示を受け、看護師の補佐役として業務をおこないます。看護助手の業務内容は、具体的に以下の3つが挙げられます。

  • 看護師のサポート
  • 患者さんの身の回りのケア
  • 病棟内の環境整備

 

看護助手は、医療器具の準備や片づけ、患者さんの診察室への誘導、検査やリハビリ室への誘導などをおこないます。ほかにも、ベッドメイキングや病棟内の清掃など看護助手の業務は多岐にわたります。病状が問題ない場合、食事介助や入浴介助といった患者さんの身の回りのケアも行うことがあります。

 

2.看護助手(ナースエイド)の離職率の現状

記録中の看護助手

      

医療現場では「看護師も人手不足だけれど、看護助手はもっと足りない」「看護助手の離職率は高い」といわれます。では実際にはどうなのでしょうか。続いて看護助手(ナースエイド)の離職率の現状をみていきましょう。

 

看護助手(ナースエイド)の離職率は29.9%

日本看護協会が公開した「看護補助者の確保に向けた日本看護協会の取り組み」によると、看護補助者つまり、看護助手(ナースエイド)の2020年の離職率は以下のとおりです。

  • 正規雇用:25.6%
  • 非正規雇用:32.9%

 

正規雇用・非正規雇用を平均すると、看護助手の離職率は29.9%となります。一方で、2020年の正規雇用の看護師の離職率は10.6%、全産業の離職率は14.2%です。ほかの職業と比較し、看護助手の離職率が高いことがわかります。

 

看護助手(ナースエイド)の有効求人倍率は3.54倍

厚生労働省の「厚生労働省職業情報提供サイト」によると、2020年看護補助者の有効求人倍率は3.54倍でした。看護師の有効求人倍率は2.05倍であり、看護師の状況と比較しても看護助手の求人倍率は高いのが現状です。看護助手は需要に対して供給が追い付かず、人手不足の状態であるといえます。

      

3.なぜ看護助手(ナースエイド)の定着率は低いのか

立ち上がろうとするミドルエイジの男性

      

看護助手(ナースエイド)の定着率が低い理由は、以下の4つの要因が考えられます。

  1. 雑務が多い業務内容
  2. 身体的な負担の大きさ
  3. 精神的な負担の大きさ
  4. 待遇への不満

 

それぞれ4つの要因を具体的にみていきましょう。

 

雑務が多い業務内容

看護助手の業務は、看護師のサポートであるため雑務が多くなります。医療の現場で働くことは「やりがいのある仕事」だと考えていたにもかかわらず、雑用ばかりでつらいと感じることがあります。なかには、看護師の使い走りと感じる場合があるかもしれません。さらに、おむつ交換や吐物の処理、吸引瓶の洗浄など見た目やニオイに慣れないことも看護助手を続けられないと感じる要因のひとつに挙げられます。

 

身体的な負担の大きさ

看護助手の業務は、身体的な負担が大きい内容です。というのも、基本的に立ち仕事であり、身体介護も含まれるためです。たとえば、看護助手は、検査室への搬送を繰り返したり、ナースコール対応したり、入浴介助したりするなど、肉体的に負荷の高い業務が多くあります。50歳代の方も多く、力仕事についていけない方や腰痛に悩む方も少なくありません。体力的に負担を感じ退職を考える方は多いでしょう。

 

精神的な負担の大きさ

看護助手の業務は、精神的にも大きな負担を感じがちです。医療資格を持っていないため、患者さんへの対応に、不安を感じるといった理由が挙げられます。「搬送中に何かあったらどうしよう」「入浴介助中に患者さんが倒れたらどう対応したらいいの?」など、強く不安を感じることがあるようです。さらには、

 

 

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