2024.03.18
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知っておきたいクリニック看護師の給料事情 ~看護師が給料を安く感じる4つの理由~

       

編集部より

看護師の給料は、全産業の給与水準と比較して安いというわけではありません。しかし、多くの看護師は業務のハードさや責任の重さに比べて給料が安い、と感じているようです。

本記事では、多数の医師や医療従事者向けの書籍、ウェブメディアなどで執筆を行っているNR・サプリメントアドバイザーで健康ライターの朝倉さんが、看護師が給料を安いと感じてしまう4つの理由と、クリニックで働く看護師の給料事情、給料以外のメリットについて解説します。

 

執筆/朝倉 哲也 健康ライター(NR・サプリメントアドバイザー)

編集/メディカルサポネット編集部

   

      

1.全産業平均と看護師の平均月収比較

棒グラフに見立てたコインの上に立つ人物イメージ

 

厚生労働省の調査によると、看護師の給料は全産業の給与水準と比べて働き盛りのピークではやや低め、逆に就業まもない新人のころと、定年を迎える60歳以降は高めとなっています。

   

看護師の年齢階級別平均賃金(役職者含む)(月収換算)

令和4年版厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保」(厚生労働省)より 

    

若いうちは高収入

看護師の給料は入職から10年ほどは他の産業よりも高い給与水準となっています。日本看護協会によれば、新卒看護師の平均的な初任給は税込み26~27万円くらいで、一般的な大卒初任給と比べてもかなり高いレベルです。これに夜勤手当や残業代が加わると全産業平均よりも6万円ほど高くなり、約32万円となっています。

 

働き盛りのピークは低め

一方で、入職後10年くらい経つと他の産業平均に逆転されてしまいますが、一般的な職業に比べて、

  • 基本給が安い
  • 賃金の上昇率が低い
  • 昇進の機会や管理職のポストが少ない

 

などの理由が要因と考えられます。

 

60歳以降はふたたび高収入

他の産業では、定年や役職定年を迎えることで60歳以降の給料は大きく下がります。同様に看護職も60歳以降の給与額は下がりますが、他の産業よりも高止まりしています。これは看護師が長く現役として活躍できる仕事であることを表しています。

 

2.  紹介してもらえる関係性を作る(リファラル採用、アルムナイネットワーク)

病院の暗いホール 

数字にも表れているように、他の産業では収入の伸びが大きい中堅からベテランの年代で、看護師の給料は頭打ちとなっています。しかし、看護師が給料を安く感じる理由はそれだけではないようです。

 

患者の生命を預かる責任の重さ

看護師は医師を助け患者のために尽くすことを使命としていますが、実際に医療現場で患者さんの生命を預かることの責任の重さに、大きなプレッシャーを感じずにはいられません。多くの看護師が、責任の重さに比べて給料が安いと感じています。

 

腰痛が職業病といわれるくらい重労働

看護職は基本的に立ち仕事であり、かつ患者の介助は力仕事で、腰痛が職業病といわれるくらいの重労働です。しかも、看護師を補助する看護助手(ナースエイド)は慢性的な人手不足で、中小規模以下の病院では看護師の負担がなかなか軽減されません。

 

夜勤と残業が多い

病棟看護師には夜勤がつきものですが、慢性的な人手不足により看護師ひとり当たりの負担が大きくなりがちです。また、急患や急変への対応、研修や会議の準備、引き継ぎなどにかかる時間や、先輩看護師より早く出勤しなければならない慣習による前残業など、一般企業の事務職などに比べて看護師はとかく残業の多い仕事です。

 

人間関係や仕事上のストレスが大きい

看護職はメンタル障害のハイリスク群といわれていますが、ストレスフルな職業であることも給料が安いと感じる理由のひとつです。責任の重さや身体的な負担に加えて、医師や他の医療スタッフとの人間関係、入院患者やその家族とのコミュニケーションなど、ストレッサーの多い職場環境におかれています。

 

   

3. 高い?安い? クリニック看護師の給料

令和5年に厚生労働省が行った調査によると、クリニックで働く看護師の平均年収は約400万円でした。一方、国税庁の調査による全産業の平均年収は男女合わせて458万円、女性だけでは314万円となっており、クリニック看護師の給料は決して安いとはいえません。しかし、前項であげた4つの理由から、多くの看護師は給料を安いと感じています。

 

ただし、外来診療がメインとなるクリニックでは軽症の患者が多く、急患や急変への対応はほとんどありません。生命を預かるプレッシャーを感じることも少なく、腰を痛めるような重労働もあまりありません。少人数のアットホームな職場環境で夜勤や残業も通常なく、強いストレスに悩まされることも少ないでしょう。

  

給料を安いと感じてしまう4つの理由はクリニックには当てはまらないことが多く、その点がクリニック看護師のメリットにつながっているようです。

 

クリニック看護師のメリット・デメリット

クリニックで働く看護師のメリットはなんといっても、毎週決まった休日があることです。日曜日を休診としているクリニックが多く、ワークライフバランスに悩むことも少ないでしょう。

 

<メリット>

  • 夜勤がなく身体的負担が少ない
  • 毎週決まった休みがある(特に日曜日)
  • 年末年始、お盆休みがある
  • 午後の休診時間が長いため中抜けできる
  • 残業が少ない
  • ストレスが少ない

 

一方、デメリットはやはり収入面でしょう。基本的に夜勤がなく、残業もほとんどないので手当が少なく、給料は病棟看護師よりも低くなってしまいます。

 

<デメリット>

  • 夜勤や残業がないぶん手当が少ない
  • 看護師が少ないので休暇が取りにくい
  • 受付や電話対応など雑用もこなさなければならない

 

クリニックの給料に地域差はある?

病棟勤務と違って、お金に代えられない豊かな生活を送れるのがメリットのクリニック看護師。とはいえ、お給料は多いに越したことはありません。そこで気になるのが勤務地による給料の違いです。同じクリニックの仕事でも給料に地域差はあるのでしょうか?

 

 

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