2024.03.07
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院内SEが語る 病院で一目置かれるIT・システム担当者になるには?必要な上級スキルと部下の採用

       

編集部より

近年、医療機関のサイバー攻撃や事故が多発しており、その対応を含めた医療情報システムの安全管理に関するガイドラインの改訂が去年行われました。また、地震など災害時にも、バックアップの有無やシステムへのアクセス可能か不可能かが患者さんの生死を分けることがあります。

今回は、病院で情報システム担当・院内SEをしながら自部署の採用も担当する医療情報技師、診療情報管理士小坂佑士さんが、実際の経験を踏まえた中小病院の事例を中心に、病院で一目置かれるIT・システム担当者になる方法とスキル、IT部門の部下の採用の仕方を解説します。 

 

執筆/小坂佑士 医療法人社団久英会 情報システム担当

 (医療情報技師、診療情報管理士、医療経営士3級、応用情報技術者)

編集/メディカルサポネット編集部

   

   

 前回まで病院のIT・システム担当者として必要となるスキルや適性を紹介してきました。スキルの部分では直接パソコンやシステムで動くものを作るスキルと、ネットワーク構築などのインフラや設備管理寄りのお話もしてきました。基盤となる設備が安定しないと、システムが動作しないからです。

大きな病院では設備担当の部署がある所も多いですが、中小規模の病院であればたいてい総務などの事務が兼任しています。

 

病院内にサーバ室を設置するとなると電源や電話回線といった設備がどうしても関係してきます。筆者が経験してきた病院でも施設内に回線がどのように設置されており、どのような契約になっているのか誰もわからない状態に対処しなければならなかったことがありました。このような場合覚悟を決めて、少しずつ経緯を確認しながら、不要な設備や契約を取り除き、必要なものを集めていきます。こういった部分も経営とITを橋渡しするためには必要な工程になります。組織で働いていると、誰のものでもない仕事も出てきてしまい、おざなりになっていた物事も出てくるでしょう。そこも整理していくことで、病院全体の経費も見直せ、不要な設備がなくなることで新たなIT設備のスペース確保にもつながります。このようなときこそ、全体最適に貢献していると考えて仕事を進めていきたいです。

 

システム担当者は病院の全職種と連携するイメージシステム担当者は病院の全職種と連携するイメージ

      

1.外部で情報収集を行う(勉強会への参加、事例・学会発表)

 新型コロナの影響で、勉強会や学会等のオンライン開催が増えました。この影響により全国各地で開催されていた勉強会がオンライン上で行われ、どこからでも参加できるようになりました。知識を得たり、人と知り合える機会が増えています。最近はやっと集合開催されるようになり、直接会っての交流の場が戻ってきました。

  

 外部での勉強会や自院の取り組みを学会で発表することで、新たな視点や刺激を得ることができます。発表のあとに、質問や名刺交換なども行われます。自院の取り組みや課題を共有し解決方法のヒントが得られることもありますし、懇親会の場などでシステム担当の採用を行っていると話を振ってみてもよいでしょう。過去にはシステム担当者の勉強会に事務長が参加して、どのような課題が話し合われているのか、どのような知識が必要なのかシステム担当者の採用や育成方法を学びに来ていたこともあります。

  

 勉強会や学会で発表するのは、どのようなことに取り組んでいる病院か知ってもらう機会でもあります。また、その場所には特定のテーマに関心がある人が集まります。自分の環境にはない分野の知識や経験のある人たちが集まっているところにこそ、求める人や出会いがあるかもしれません。

  

広島でポスター発表を行う小坂さん広島でポスター発表を行う筆者 

    

2.  紹介してもらえる関係性を作る(リファラル採用、アルムナイネットワーク)

 先述した勉強会に継続して参加し続けると自院のことを覚えてもらえるようになり、知人を増やしていけます。機会を見つけてはシステム担当者を紹介して欲しいと話を切り出してみましょう。勉強会ではメーリングリストやFacebookでグループを作っている場合があります。業務範囲や給与などの条件を示しながら募集を呼び掛けてみることを見かけます。このような場所では管理職についている人たちもいるため、多くの人脈を持っている場合があります。知人を紹介してもらえる場合は細かい条件や職場環境の情報など事前に提示したり、求職者が求める条件を確認できます。このように外部の知人や内部の職員からの紹介採用をリファラル採用といいます。ある程度の人となりを知っている人からの紹介であるため、どのような人物か知ることができます。実績・経験が豊富で、特定の職場とマッチした人と繋がれる機会を得られます。また、数回の面接だと見抜けない、人格的に一緒に仕事しにくい人を雇ってしまう危険性も減ります。

  

この方法を用いる場合の注意点は、不採用にする場合の配慮です。知人の紹介であることから、不採用とした求職者と紹介者の関係性が悪化する可能性があります。あくまでも紹介者の「信用」を使用していることを忘れないで欲しいです。紹介会社を利用する場合とは違うことを理解しておきたいです。

   

3. キャリアプランを整備する

 やっと職員を採用したとしても、プロジェクトが終了すれば終わりではなく、将来像を示しておきたいです。

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