2023.12.07
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院内SEが語る 病院クリニックのIT・システム担当者を採用するには~必要な基礎スキルと適性

       

編集部より

近年、医療機関のサイバー攻撃や事故が多発しており、その対応を含めた医療情報システムの安全管理に関するガイドラインの改訂も今年5月行われました。多くの病院が頭を悩ませている医療DXやサイバーセキュリティ対策の要は、病院のITやシステム担当者ですが、その担当者はどのようなスキルや資格、適性を持っている人を採用すればいいのでしょうか?

病院で情報システム担当・院内SEをしながら自部署の採用も担当する医療情報技師、診療情報管理士小坂佑士さんが、実際の経験を踏まえた中小病院の事例を中心に解説します。

面接での確認事項の例、システム担当者が持っていることが望ましい資格については、文中で具体的な質問例や資格名を挙げていますので、参考にしてください。

  

執筆/小坂佑士 医療法人社団久英会 情報システム担当

 (医療情報技師、診療情報管理士、医療経営士3級、応用情報技術者)

編集/メディカルサポネット編集部

   

笑顔で電話する病院のシステム担当者

   

 近年、ランサムウェアを始めとしたサイバーセキュリティ事故が多発していることから病院でもIT・システム担当者を採用しようという機運が高まっています。どの病院や組織でも、同じ名前で呼ばれる役割でも、実際の中身は異なることも多いと思います。病院の機能や規模によって役割が異なるので、病院のIT・システム担当者として働いている人であっても、ひたすらシステム開発をしている人もいますし、外部業者との調整のみしている人もいます。他の職種を兼任しながらシステム対応している人もいます。

 病院のIT・システム担当者を採用したい、または、職員の中から適正がある人を見つけて育てていこうと考えたときに目安となるスキルや素養について整理してみました。必ずしもこうでなければならない、というわけではないです。組織の方針と照らし合わせて目的に敵った担当者を見つけることができれば幸いです。また、これから病院のIT・システム担当者を目指そうという人は、本記事を参考に自分の考え方や働き方、現在のスキルや経験、資格を棚卸してアピールして頂きたいです。

 

机の上にパソコンを置き、資料を見る担当者

      

1.病院IT・システム担当者に必要なスキルその1 ネットワークの知識

 

働く側としては、勤務を始めたらまず自分の働く職場のどこに、どのような端末や機器がつながっているか把握することです。守備範囲の確認です。ネットワーク工事を行っているならば、完成図書と呼ばれる資料があります。完成図書からは、LANケーブルをどのような経路で配線をしているか、どこの何と接続しているのかが読み取れます。その他にも無線LANのアクセスポイントがどこに設置されているのか、電波の届く範囲はどの程度かの計測結果、ネットワークのスイッチと呼ばれる機器にはどのような設定がされているか記されています。また、サーバやネットワーク機器の設定はシステム開発や運用管理とはまた別のスキルになり、外部業者に配線工事や保守を委託することが多いです。どこまでを病院の職員で対応し、どこから外部業者を頼るか想定しておく必要があります。

【面接時の確認例】

 ・LANケーブルを作成したことがあるか

 ・どのメーカーの機器を使用してきたか

 ・ネットワークはどのように管理や把握をしてきたか

 ・業務でネットワーク機器のファームウェアを更新したことがあるか

       

2.病院IT・システム担当者に必要なスキルその2 プログラムを自分で書くことができる

 オフィスソフトの普及に伴い、ExcelでマクロやVBAと呼ばれるプログラムを作成する場面もあります。プログラムを組むことができれば、電子カルテの標準の機能にはない項目を集計するExcelを作成することができます。また、自動的に日々の入退院患者数や病床利用率、入退院予定者を画面に表示させることも可能です。電子カルテのメーカーにもよりますが、データベースを公開している場合にはプログラムを作成することで各種指標管理画面やダッシュボードを作成することができるでしょう。学会などでも独自に作り込んだ画面を発表されている病院もあります。手の届かないところに対応することができますが、作成した担当者だけしか修正や対応ができないような属人化した状況にはならないよう注意が必要です。

【面接時の確認例】

 ・SQLを使用したプログラムを作成したことがあるか

 ・ExcelVBAAccessを使った経験はあるか

 ・ツールを作成して業務を改善、効率化した経験はあるか

      

3.病院IT・システム担当者に必要なスキルその3 何かのシステムを構築したことがある

 電子カルテや各種業務システムもサーバの上で動作しています。無償で利用できるフリーソフトやオープンソースと呼ばれるソフトウェアを利用して、グループウェアシステムを立ち上げることで業務の効率化を行うことができます。中小規模の病院では、そのような取り組みが喜ばれることがあります。このような経験があるIT・システム担当者は環境を作ることができます。逆に、自分でサーバを構築しシステムを立ち上げる経験がない場合は外部業者に依頼しての業務が中心だった可能性が高いです。病院として、

 

 

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