編集部より

新人指導をする時には、本人が成長できるようにと、威厳をもって論理的に指導しようと思う看護師が多いもの。しかし、意に反してこわい先輩・上司と思われたり、追いつめて離職させてしまったり、パワハラ認定されてしまうこともあります。そのため、指導に当たる人、特に管理職はコロナ以降がらりと変わった生活様式の世代がいることを念頭に、その特徴に十分配慮して指導することが大切です。

今回の『「こわい先輩」はNG!新人看護師を指導するコツとは?特徴や離職理由を分析』では、10年以上看護師として勤めた木村さんが、電話が苦手など、比較的若い世代の看護師の傾向と対策を解説します。

 

執筆/木村 美穂 医療ライター(看護師資格保有)

編集/メディカルサポネット編集部

   

           

新人看護師が入職し、指導係を任されると「どのように指導しようか」「新人とうまくコミュニケーションがとれるかな」など、不安を感じる先輩がいるのではないでしょうか。この記事では、最近の新人看護師世代の特徴や指導のコツ、離職の理由などについて紹介します。新人の特徴や、指導のコツを理解して、新人看護師の成長を促しましょう。

      

1.現代の新人看護師(Z世代~)の特徴3選

タブレットやパソコンを使用している若い女性のイメージ

    

近年、新卒で入職する看護師には、1990年代中頃〜2010年代はじめ頃に生まれた若者層【Z世代】が増えています。個々の性格の傾向だけでなく、Z世代の価値観や特徴なども理解したうえで対応しましょう。Z世代の若者には、以下のような特徴があるとされています。

   

1.インターネットを使いこなし電子機器に強い傾向

2.要領がよく勉強ができ、知識を業務に活かせるケースが多い

3.嫌だと感じた業務はやらない。すぐに辞めてしまう可能性がある

   

それぞれの特徴について、詳しく解説します。

     

1.デジタルネイティブでインターネットに強い傾向

総務省が発表した「平成30年版情報通信白書 インターネット利用の広がり」によると、Z世代は中学生頃からインターネットを利用している割合が90%を超えており、インターネットとともに成長してきたデジタルネイティブ世代といえます。SNS等の活用も得意で、インターネットを通じた文字でのコミュニケーションに長けています。

     

2.主体的に要領よく勉強できる

インターネットの活用に長けているZ世代は、分からないこともすぐに検索して調べる傾向にあります。先輩看護師に「調べておいてね」と言われたことは昼休み中や当日中にでもすぐに調べられるでしょう。その点では、主体的に要領よく勉強できるという長所といえます。しかし、論文や書籍、インターネットまで多くの情報に手軽にアクセスできる一方で、根拠の乏しい情報にも触れやすいことによるリスクも抱えています。

   

3.嫌だと感じたらすぐに辞めてしまう

Z世代は、仕事を通じて「嫌だな」と感じる出来事があると、すぐに辞めてしまう傾向があるようです。その背景として、以下の2点が考えられます。

       

● 怒られ慣れていない

● 多様な価値観を持っており、ひとつの職場に縛られない

    

Z世代の両親は共働きが多く、子どもの頃から身の回りのことは自分でやらなければならない環境になりがちです。幼い頃から自立した生活を過ごし、主体性が発達しており、自身の考えをしっかり持っている印象があります。同時に、「周囲に迷惑をかけないように」と考えて、社会的に許容される行動を選択しがちなところもあり、叱られた経験が少ないかもしれません。怒られ慣れていない新人看護師は、社会に出て先輩に指導を受けると、驚くとともに自尊心が傷ついてしまうでしょう。

     

また、Z世代はインターネットを通じて様々な価値観に触れ、多様な考えを持っています。広い視野を持つ一方で、「嫌だと感じた職場に勤め続けるよりほかに自分に合った職場がある」と考え、あっさり辞めてしまうかもしれません。

         

指導者側との世代間ギャップを理解しておこう

ここまでZ世代の特徴をお伝えしましたが、指導者側にも世代的な特徴があります。新人指導に当たる先輩看護師は、30代後半から60代までの層を指す【X世代・Y世代】に該当します。X世代・Y世代には、以下のような特徴が見られることが多いと思います。

        

X世代の特徴(40代~60代) Y世代の特徴(30代後半~40代)

●書類は紙が基本

●メールや電話でのやり取りが主流

●デジタルの発展に貢献している

●終身雇用が当たり前、ひとつの会社に勤め続けるのが当然という風潮がある

●携帯電話からスマートフォンへ、デジタル時代への進化とともに育った

●社会や企業のためより、個人のキャリアアップや働く環境が心地よい職場への転職を求めている

    

新卒で入局するZ世代を指導するには、指導者側であるX・Y世代との違いを理解し、対応する必要があるでしょう。

     

2.新人看護師の特徴を踏まえて指導する5つのコツ

人差し指を立てて、注意を示す笑顔の女性看護師     

Z世代の新人看護師の特徴を踏まえて、指導をするときに意識したいことを5つ紹介します。

     

1. 新人看護師に伝えたいことは具体的に伝える

2. 忙しいときでも穏やかな対応を心がける

3. 先輩から質問するときは新人が答えやすいように具体的に伝える

4. 新人看護師のよいところはその場で褒める

5. 会話でのコミュニケーションが苦手そうだと感じた場合は手紙やLINEなどを活用する

        

上記のコツを意識することで、新人看護師と信頼関係を築き、新人・先輩双方の成長につながります。

    

新人指導のコツ1:病棟の決まりごとや新人看護師に求めていることを具体的に伝える

上述したように、Z世代は自分の考えをしっかり持っており、理由が明確ではない決まりごとには納得できないと考える傾向があるかもしません。しかし、新人看護師が配属された病棟には、それぞれ独自の決まりごとがあるでしょう。

例えば「長い髪の毛は結ぶ」という決まりごとがあったとします。その決まりごとを伝える際には、

 

 

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