2023.04.25
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医療現場の働き方改革とは?テレワークの導入など今後の展望を解説

医療現場にもリモートの波!

医療現場の働き方改革とは?テレワークの導入など今後の展望を解説

 

 

編集部より

2024年4月1日に、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が施行されるのを受けて、医療現場の働き方を見直すことが求められています。

この記事では、医療現場の働き方の現状と働き方改革の必要性のほか、テレワーク導入の課題についてご紹介します。

 

編集/メディカルサポネット編集部

 

目次

  • 1.  医療現場での働き方改革の現状
  • 2.  医師の働き方改革とは?
  • 3.  看護師の働き方改革とは?
  • 4.  医療現場でテレワークはできるのか?
  • 5.  医療現場の働き方はPDCAサイクルで改善を
  • 6.  メディカルサポネットには医療現場の勤務環境改善のヒントが満載

 

医療現場での働き方改革の現状

医療現場では、医師、看護師、保健師、助産師、准看護師など、幅広いスタッフが関わるため、働き方の見直しも計画的に行う必要があります。医療現場の勤務環境改善の取り組みは、2019年に働き方改革関連法が施行される前から行われてきました。

 

2014年には、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布され、これに伴う医療法の一部改正で、医療機関がPDCAサイクルを活用して体系的かつ継続的に勤務環境の改善に取り組むための仕組み「医療勤務環境改善マネジメントシステム」が導入されました。

現在の医療現場の勤務環境改善は、この医療勤務環境改善マネジメントシステムを活用して各医療機関が自主的に取り組むことで進められています。

 

 

医師の働き方改革とは?

医療現場の勤務環境は、2024年4月に「医師の時間外労働の上限規制導入」という大きな変化を迎えます。

2019年より「働き方改革関連法」が順次施行され、時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金などが進められましたが、医師の勤務環境改善には長期的な見通しが必要とされたことから、医師に対しての適用は5年間の猶予期間が設けられていました。この猶予期間が2024年4月に切れるため、各医療機関はそれまでに勤務環境を改善する、「医師の働き方改革」に取り組むことが必要です。

 

この変化に対応するため、2021年5月に国会で「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が成立し、2024年4月以降の医師の時間外労働の上限規制や、医療機関が備えておくべき措置等が示されました。その内容は多岐にわたりますが、時間外労働の上限規制と健康確保措置については下記のとおりです。

 

■2024年4月から適用される医師の時間外労働の上限規制と健康確保措置

2024年4月から適用される医師の時間外労働の上限規制と健康確保措置

 

時間外労働の年間上限時間は、原則としてA水準となります。ただし、その医療機関が所在する地域の医療提供体制を確保するため(B水準)、または医療機関が医師の派遣を通じてその地域の医療体制を確保するため(連携B水準)、または技能の習得・向上を集中的に行わせるため(C-1水準、C-2水準)に年960時間をやむをえず超えてしまう場合は、都道府県が各医療機関の労務管理体制を確認して医療機関の指定を行うことで、上限を年間1,860時間とできる仕組みです。

 

これに伴い、医師の健康を確保するために、時間外労働時間が月100時間以上になると見込まれる医師への面接指導が義務とされ、休息時間の確保が義務または努力義務とされています。

 

医師の働き方の現状

医師の働き方改革が進められる背景には、医療が医師の長時間労働によって支えられている現状があります。進歩する医療技術やICT(情報通信技術)への対応、救急搬送を含めた診療時間外の患者への対応なども長時間労働の原因となっており、特に20~30代の若い医師が長時間労働を余儀なくされているのが実情です。

医師の働き方改革は、そんな現状を変え、持続可能な医療を維持するために必要不可欠なものです。

 

医師の働き方改革については、こちらの記事もご覧ください。

医師の働き方改革は医療の質を上げるチャンス ーーー2024年4月の施行を前に本質を理解する

 

 

看護師の働き方改革とは?

医療現場の勤務環境改善においては、看護師の働き方改革も非常に重要です。

公益社団法人日本看護協会は、「看護職も生活者であり、その個人としての生活が成り立たなければ看護職の継続就労や、ひいては専門性の向上は望めません」として、看護職のワーク・ライフ・バランスの重要性を提言。ワーク・ライフ・バランス実現のための医療機関・施設向け手引き書として、「看護職のワーク・ライフ・バランス推進ガイドブック」を発行するほか、各都道府県の看護協会と連携しての活動などを進めています。

 

看護師の仕事と生活の両方が充実すれば、仕事のへのモチベーションアップや心身疲労・ストレスの軽減に直結。離職・病気休暇などの減少や医療サービス利用者へのケアの質向上につながります。

その結果、医療機関側は優秀な人材を十分確保できる、施設の評判が上がる、患者さんの満足度が上がるといった良いことがあり、Win-Win-Winとなることが期待できます。

 

看護師の働き方の現状

看護師のワーク・ライフ・バランス実現を求める声は、看護師のワーク・ライフ・バランスが実現されにくい現状から生まれたものです。

看護師の勤務は時間外労働が常態化しており、日本看護協会が行った「2021年 看護職員実態調査」によると、「超過勤務をした」と答えた看護師は全体の78.4%に上っています。内訳は、6時間以下が54.5%、6~12時間が20.8%、12~24時間が15.9%で、超過勤務時間と申告時間の差があったとの回答は79.7%にも上りました。

看護師のワーク・ライフ・バランスが整えられにくい理由としては、前残業、持ち帰り業務が前提のシフト管理や夜勤の多さ、長期休暇が取りにくいことなどが挙げられ、大きな課題となっています。

また、結婚・出産・育児などのライフイベントの際に仕事との両立が困難であることや復職の難しさが、看護師不足の一因にもなっています。

 

 

医療現場でテレワークはできるのか?

働き方改革の一環として、医療現場でもテレワークを導入する動きもあります。

テレワークを導入するには、うまくICTを活用することがポイントです。オンライン診療も普及してはいますが、人を看る医療サービスでは、一般業種に比べればテレワークの導入のハードルは高めです。テレワークの導入にあたっては、業務を俯瞰して考えできる範囲で導入していくことが、組織としては必要になります。

テレワークでできる業務、できない業務の例は、下記のとおりです。

 

<テレワークでできる医療業務>

・一部の認められたオンライン診療

・オンライン上の健康相談や指導

・画像やビデオ解析が可能な業務

・電子カルテによる情報管理

・カルテ登録やレセプト業務

 

<テレワークでできない医療業務>

・医療的処置や診察などの直接患者と接する業務

・機材や医薬品などを扱う業務

 

 

医療現場の働き方はPDCAサイクルで改善を

医療現場の勤務環境改善は、2024年4月の新ルール導入への対応、看護師のワーク・ライフ・バランスの実現、テレワークの導入とさまざまな課題はありますが、医療勤務環境改善マネジメントシステムを活用して進めていく原則に変わりはありません。

医療勤務環境改善マネジメントシステムはPDCAサイクルが基本となっており、各医療機関がこのサイクルにもとづいて、働き方改革を実行することが求められています。

 

基本的な進め方としては、現場のスタッフからの聞き取りなどを通じて現状把握を行った後、状況を分析して課題を抽出。院長以下各部門の責任者やスタッフが集まって協議を重ね、改善計画を策定。それをPDCAサイクルで回していくという流れになります。

 
 

メディカルサポネットには医療現場の勤務環境改善のヒントが満載

医療現場では働き方改革が喫緊の課題であり、働きやすい職場を整えることこそが現場スタッフのライフワークバランスにつながります。

メディカルサポネットでは、医療現場の働き方改革のポイントや勤務環境改善やテレワーク導入のヒントを数多くご紹介しています。また、具体的なご相談には、専門スタッフが直接アドバイスすることも可能です。医療現場の勤務環境改善をお考えなら、ぜひメディカルサポネットにご相談ください。

 
 

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