2018.11.21
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◆第1回 部下の信頼を得るために 其の一

野村克也の人生強化塾

名刺に書かれた「肩書だけ」のリーダーではなく、上司も部下も取引先すらも一目置く「真のリーダー」になるためには、たくさんの要素が求められます。

プレイングマネージャーとして采配を振るった南海にはじまり、ヤクルト、阪神、楽天とプロ野球チームの監督を務め、まごうことなきリーダーとして長年にわたって活躍してきた野村克也さんは、リーダーにとってもっとも必要なものを「人望」だと語ります。

その人望を得るためのポイントは、果たしてどんなものでしょうか。

構成/岩川悟(slipstream)、清家茂樹(ESS) イラスト/小西真樹

  

 

リーダーに必要なものはなんだろうか?

 

たとえばプロ野球の世界なら、野球に対する知識が豊富で見識が広いということになるが、どの仕事にも共通するのは「人望」だろう。人望とは、簡単に言うと、「この人についていこう」と思わせる力である。

 

リーダーは、選手や部下に必ずしも好かれる必要はない。なぜならば、嫌われることを恐れていては真のリーダーシップは発揮できないからだ。ただし、信頼されなくてはならない。そうでなければ、話す言葉に説得力が生まれない。説得力がなければ、リーダーとして選手や部下を育てることはできないだろう。

 

人を説得してなにかを納得してもらうには、言葉の力に頼る他ないが、その前提となるのは信頼である。

 

信は万物の基を成す――。

 

すべての基本となるのは信頼関係なのである。それゆえ、リーダーが日頃から取り組まなくてはならないことは、選手や部下との間にどうやって信頼関係を構築していくかということになる。信頼さえあれば、たいがいのことは上手くいく。

 

リーダーとしての信頼を端的に表すならば、「この人についていけば大丈夫だ」「この人の言うとおりにやっていれば間違いない」と思わせることである。

 

それが、人望というものだ。 

 

まとめ

どうしても「人に好かれたい」と思ってしまうことは、人として当然の願望かもしれません。もちろん、多くのスタッフを束ねるリーダーだって同様の思いでしょう。たしかに、リーダーと部下双方が好意を持った関係であれば摩擦は少ないですから、業務をスムーズに進められることもあります。

 

でも、そういう関係が悪い方向に働くことも。たとえば、本来であれば厳しく叱らなければならない場面で、相手の顔色をうかがってしまい叱れないということも起こり得ます。部下と「なあなあの関係」になってしまっていては、「真のリーダー」とは言えないのです。

 

今コラムは、野村克也著『野村四録 指導の書 リーダーの条件』(セブン&アイ出版)をアレンジしたものです

  

  

プロフィール

野村克也(のむら・かつや)


1935年、京都府に生まれる。京都府立峰山高等学校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。3年目の1956年からレギュラーに定着すると、現役生活27年にわたり球界を代表する捕手として活躍。歴代2位の通算657本塁打、戦後初の三冠王などその強打で数々の記録を打ち立て、MVP5回、首位打者1回、本塁打王9回、打点王7回など、タイトルを多数獲得。また、1970年の南海でのプレイングマネージャー就任以降、延べ4球団で監督を歴任。ヤクルトでは「ID野球」で黄金期を築き、楽天では球団初のクライマックスシリーズ出場を果たすなど輝かしい功績を残した。現在は野球評論家として活躍中。

【書籍紹介】

野村四録 指導の書 リーダーの条件

(リンク先)http://urx.red/Pczt

 

 メディカルサポネット編集部

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