2018.05.02
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結果報告(1)~地域における病院の役割~

【2017年 病院看護実態調査】

日本看護協会は2017年10月1~16日にかけて全国の病院8,396施設の看護部長にアンケートを依頼、4,134件を回収しました。2017年は、例年実施している看護職員の離職率や給与の状況とともに、地域包括ケアシステムの構築が進む中で、地域における病院の役割に関する意識や、病院の看護人材の地域での活躍状況などについて調査が行われました。メディカルサポネット編集部でその結果をまとめてみました。

▼目次

1.地域における病院の役割

 (1)現状の役割と2025年に向けた役割

 (2)2025年に向けた役割を果たすための看護管理上の課題

2.看護人材の地域での活用

 (1)病院の看護人材が地域で活躍する取り組み

 (2)病院の看護人材が地域で活躍する取り組みについての考え

3.看護職員の離職率

 (1)正規雇用看護職員、新卒看護職員の離職率の推移

 (2)病床規模別・設置主体別の看護職員離職率

 (3)設置主体別の看護職員離職率

 (4)都道府県別の看護職員離職率

4.看護職員の労働条件

 (1)夜勤形態

 (2)夜勤手当

 (3)給与の状況

 (4)基本給の決定基準・要素

 

1. 地域における病院の役割

(1)現状の役割と2025年に向けた役割

 1947~1949年生まれの団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護需要がピークとなる2025年に向け、看護管理者が考える「地域における自院の役割」について、現状と2025年に向けた役割についての調査結果です。

 

まず、

 ■C 急性期や回復期、慢性期等複数の機能をもち、地域のニーズに幅広く対応する

が、現在の役割として28.9%、2025年に向けた役割として28.1%と、いずれも最多を占めています。

 

次に、現状の役割と2025年に向けた役割とを比較してみると、役割意識に変化が見られます。中でも、

 ■B 主に急性期疾患で入院医療が必要な患者や、比較的軽度な急性期患者に対応する

 ■E 長期にわたり療養が必要な疾患・障害のある患者に対応する

に関しては、現状よりも7ポイント程度減少しています。

 

一方、将来に向けて、役割を果たしていきたいという割合が現状よりも大きくなっているものとしては、

 ■D 急性期病院の後方支援やリハビリテーションの機能をもち、在宅復帰をめざす患者に対応する

 ■F 訪問診療や訪問看護を提供し、在宅療養する患者に対応する

で、それぞれ現状よりも4ポイント程度増えています。

 

近年の、地域医療構想の策定などを受け、将来に向けて回復期や在宅療養の強化を意識していることがうかがえます。

 

  

(2)2025年に向けた役割を果たすための看護管理上の課題

2025年に向け、自院が役割を果たすための看護管理上の課題としては病院の役割に即した人材育成(78.1%)」が最も多く、次いで看護職員のモチベーションの維持(71.4%)」、「多職種との連携・役割分担(68.5%)」の割合が高くなります。

 

将来的な自院の役割を見据え、人材育成に課題を抱えている看護管理者が多いことがわかります。自院の役割や環境が変わっていく中で、看護管理者が課題解決に向かえるような支援、そのための看護職員のモチベーションに関わる要因分析が今後の検討課題といえます。

 

2025年に向けた役割の違いによって、その役割を果たすための看護管理上の課題に差異があるかを見たところ、A 高度専門的医療を目指す病院(n=440)では地域の訪問看護、介護保険施設の看護師との連携(70.9%)」、「専門看護師や認定看護師の活用(68.9%)」の割合が高く、E 長期療養に対応を目指す病院(n=458)では看護職員の不足(71.6%)」など、他とは異なる傾向があります。

 

2025年に向けて、多くの病院で「病院の役割に即した人材育成」を課題としています。また「看護職員のモチベーションの維持」を課題としている病院も目立ちます。一方、「看護職員の余剰の発生」を課題視しているところは少ない結果となりました。「人材の育成」と「モチベーション管理」がいずこの病院でも課題と言えるでしょう。

  

 

 

「E 長期療養に対応」「G かかりつけ医」「H その他」「I わからない」以外は、「病院の役割に即した人材育成」を最たる課題としています。

「A 高度専門的医療」を目指す病院では、「病院の役割に即した人材育成」「多職種との連携・役割分担」と並んで、「地域の訪問看護、介護保険施設の看護師との連携」が上位の課題3つに入ります。

病院の目指す機能によって課題が異なることがわかります。

   

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1.地域における病院の役割

2.看護人材の地域での活躍

3.看護職員の離職率

4.看護職員の労働条件

 

 

【参照】公益社団法人 日本看護協会 「2017年 病院看護実態調査」 結果報告

メディカルサポネット編集部

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