Vol.2 時間外労働削減と看護職員の定着に向けた取り組みとは?

5分で読めるポイント解説 看護師労働実態調査 

働き方改革関連法の目玉となっている、時間外労働の上限規制。労働基準法が改正され、残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間となり、特別な事情がなければこれを超える残業はできなくなりました。(大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から施行/医師は2024年3月まで施行猶予)
法律により時間外労働の上限が定められたことで、どのような対策を講じるべきなのでしょうか。

「マイナビ看護師」のご登録者を対象に、労働実態などのアンケートを実施し、その調査結果をまとめた「看護師白書2019年度版」のデータをもとに、看護師のリアルな声や時間外労働を減らす取り組み事例についてご紹介します。

編集・構成/メディカルサポネット編集部

 

時間外労働(残業)の状況

以下は「看護師白書2019年度版」における、時間外労働(残業)に関する調査結果です。

 

1ヵ月間の時間外労働時間は?

 

 

1 ヶ月間の時間外労働(月平均、申告していないサービス残業時間なども含む実質の時間)は、6割近く(57.7%)が月10時間未満と回答し、概ね時間通りに帰宅できている職員が多いように感じます。

一方、40 時間以上が1割弱(8.2%)あり、時間外労働の上限規制:原則月45 時間を超える可能性がある職場が見られます。

 

時間外労働はいつ発生していることが多いですか?

 

時間外労働がいつ発生しているかというと、「日勤の終業後」が92.8%と突出して多いことがわかりました。

すべての勤務時間帯において、それぞれの終業後に時間外労働が発生していることが多い一方で、始業前に働くいわゆる「前残業」の発生も多く見られます。

 

 

時間外労働の主な業務は「看護記録」が64.3%と最も多く、次いで「患者対応・診療補助」54.3%、「患者情報収集・申し送り」32.8%と、看護業務のメインである看護実践に関する内容が上位に挙げられています。

 

 

時間外労働のうち、すべて賃金が支払われているとの回答は全体の21.7%にとどまり、78.3%で賃金が支払われない労働(サービス残業・早出など)があります。

サービス残業・早出などが常態化している職場が多いことがうかがえます。

 

時間外労働(残業)に関して、看護職員からは次のような意見が挙がりました。

▶業務中に記録ができる余裕がないから、定時を過ぎてから記録に取り掛かり残業になる。

就業時間外での事務作業が多い。そのことに対して残業手当はない。また就業時間前の準備なども時間外手当の発生はなく、業務量だけが増えていく。  

人員不足や患者様の急変など、残業自体はやむを得ないと思うが、残業時間を働いた分そのまま申請せず月20時間までに収めるように上司から指示されている。職員のモチベーションを下げている要因であり課題だと思う。

残業したのにもかかわらず、管理職が残業時間を減らして申請をするため、きちんとした残業代がもらえない。

とにかくサービス残業を減らして欲しい。前残業が当たり前の世界なので、せめて勤務時間後の残業は給料を出して欲しい。

時間外労働削減、と言って上の人たちは早く帰るよう呼び掛けているが、人件費削減で人も足りず、業務は増える一方。結局は時間外がつけられずにサービス残業が増えただけ。

 

業務量に見合った人員が確保されず、やむを得ず時間外労働が発生しているケースや、時間外労働をしているにも関わらず、手当が支給されていないケースが多いようです。

 

この状況を打破するためには、どのような取り組みが必要になるのでしょうか。

「看護白書2019年度版」に寄せられた回答から、業務改善に繋がった事例をご紹介します。

 

時間外労働への対策とポイント

生産性向上のための役割分担

▶PNSの活用(※)

 (ペアの看護師と)1時間の時差出勤シフトを組み、退勤時に、先に出勤した職員は後から出勤した職員に残務を託して帰ることで、残業時間が削減できた。

(※パートナーシップ・ナーシング・システム。2人の看護師がペアを組んで複数の患者を受け持ち、互いに補完・協力して業務を行う看護方式。

▶他職種との連携

 体位変換などの介護業務は介護士に依頼することで看護師の業務を減らすことができた。

 患者サポートセンターや、入院オリエンテーションや問診などを行う事務職員、フリー業務担当が配置されていたため、業務がとてもスムーズだった。

 

時間外労働を発生させない仕組みづくり

勤務・業務体制の見直し

 日勤の前残業がなくなるように、出勤時間が固定された。

 ⇒朝の申し送りの時間を遅くし、情報収集のための始業前残業をなくす取り組みがなされていた。

時間外労働削減の対策

 日勤帯に研修や会議を行って、残業をさせないようにした。

 ノー残業デーを設けた。

 

発生した時間外労働に対する適正な評価

▶労働時間の適正管理

 ⇒残業を申請しても却下されることが無くなった。

 ⇒時間外労働がオーダリング端末ログイン状況から算出されるようになった。

▶労働時間の解釈の適正化(割増賃金の適正支給)

 ⇒固定チームナーシングのまとめや研修に参加したことでも残業代が出るようになった。

 ⇒休みに委員会や病棟会に出てきても時間外手当がきちんと出る。

 

まとめ

「残業代が認められないことは、行った看護に対しての正当な評価がされていないと感じ、モチベーションの低下につながる。忙しい場合であっても残業代がきちんと支給されるだけで頑張ろうと思える。」

上記は、「看護師白書2019年度版」に寄せられた回答の一つです。

 

時間外労働の上限規制の本来の目的は、生産性を向上させ、働き手を増やすことにあります。
特に人手不足感が強い医療・介護業界においては、生産性を上げることに加えて、「働き方改革」による職場づくりが重要です。
職員が働きやすい環境を整えることで、生産性がアップし、人手不足解消や事業者の利益につながると考えられるからです。
労働者や管理者へ労働時間の短縮を強制するだけでは本来の目的を果たすことはできません。
「働きやすい職場づくり」→「人材の確保」→「生産性の向上」→「利益増」の好循環をつくるためにも、「働き方改革」を進めてみてはいかがでしょうか。

 

↓全調査結果は、こちらよりダウンロードできます↓

 

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