2020.05.22
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0.5秒で検温!最先端のAI顔認証と体温測定技術が新時代の健康管理を実現
(センスサンダー)

【医療テックPlus】第10回/日本コンピュータビジョン株式会社

新型コロナウイルス感染症が世界的に大流行している今、発熱は感染の可能性を伝える手掛かりの一つとなっています。日本コンピュータビジョン株式会社(略称:JCV)は、AIのディープラーニングや画像認識といった最新技術を活用して体温測定するソリューション「SenseThunder(センスサンダー)」を提供し、医療機関や官公庁を中心に導入が進んでいます。濃厚接触者を出さずに体温測定が可能で、独自のアルゴリズムによってマスク着用時も顔認証ができます。コロナ禍を契機に入場管理のあり方が変わる今、センスサンダーの普及に尽力しているJCV営業本部の大熊一耕さんにお話を聞きました。
 
取材・文/秋山健一郎
編集・構成/メディカルサポネット編集部

【 医療テックPlus+】第6回 「腰用パワードウェア『ATOUN MODEL Y』」 株式会社ATOUN

 

    AIによる画像認識技術とビッグデータ活用が可能にする高精度の体温測定

    JCVはソフトバンク株式会社の子会社で、協業する中国・香港のSenseTime(センスタイム)社が保有する技術を生かしたAI画像認証ソリューションを日本で展開しているベンチャー企業です。20195月に設立し、その半年後には新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、迅速な対応で存在感を示しています。

     

    ――そもそもJCVはどのような経緯で設立されたのでしょうか。

     

    大熊:ソフトバンクグループ代表の孫正義が、中国・香港にあるAIのディープラーニングと、コンピュータビジョン(画像認識)のリーディングカンパニーであるSenseTime(センスタイム)社の技術を評価し、同社と商品の独占販売契約を結び、日本でビジネスを展開するために立ち上げたのがJCVです。中国ではカメラを使った治安対策などが進んでいて、全土に約2億台のカメラが設置されています。そうした中国政府の政策を支えているのが、センスタイム社が保有する世界トップクラスの画像認識技術です。私たちは、センスタイム社が持つ数多くのノウハウの中から、日本でも普及し得るものを探り展開していきます。中心となるのは、日本でもスマートフォンの普及で定着し始めている顔認証技術です。これまでに、オフィスビルの入館ゲートをIDカード式から顔認証式のものに置き換えるソリューションなどを提供してきました。

     

    ――設立から約半年後に新型コロナウイルス感染症が発生しました。そこで、顔認証に体温検知を組み合わせた製品「SenseThunder(センスサンダー)」の販売を始めたのですね。

     

    大熊:センスサンダーは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、センスタイム社が中国政府の要請を受けて開発した製品です。2つのカメラと8インチのモニターが付いたAI顔認証端末に、温度を感知する赤外線サーモグラフィカメラを組み合わせています。端末のカメラに顔を向けるとモニターに映った顔の画像をAIが瞬時に分析し、額の位置を検知してその部分の温度を赤外線サーモグラフィカメラで撮影し体温を測定します。

     

                             (日本コンピュータビジョン提供) 

     

    ――体温測定を行う製品は数多くありますが、センスサンダーの強みはどんなところでしょうか? 

     

    大熊:一番の特長は精度です。センスサンダーは額全体の最大11万点に対して測定を行い、その中で最も高い温度を検出します。体表温(身体の表面の温度)に加えて室温も測定して体温を推定します。一般的な検温方法だと寒い部屋では体表温が低めに出やすいため、体温が実際よりも低く測定されるのですが、センスサンダーはそういったズレが出にくくなっています。体表温と室温、そして実際の体温との関係を調べた約30万人分の測定データを用いて導き出しているので、±0.3℃という高い精度の体温測定が可能になっています。

      

     

    医療機関での体温測定の手間を減らし、濃厚接触のリスクも低減 

    センスサンダーは医療機関での導入も進んでいます。外来患者などに対する体温測定にかかる手間を減らすとともに、万が一感染者が訪れた場合の測定者の濃厚接触リスクも抑えることができるというメリットが評価を受けているようです。

      

    ――どのような場面でのセンスサンダーの活用を想定していますか?

     

    大熊:センスサンダーはアラームの設定ができ、設定値を超える体温が検出されたときや、マスクをしていない場合などに音で気づくことができます。医療機関の入り口や受付に設置し、入場の管理などに役立てていただきたいと考えています。病院の受付では赤外線を額に当てるタイプの体温計が使われていますが、測定する人と測定される人がある程度近づく必要があり、感染者が発生した場合、測定者が濃厚接触者とされることが多いんです。センスサンダーは設置しておくだけで体温測定ができますし、人が目視する場合も本体にHDMIケーブルを接続しておけば離れた場所からモニターで確認でき、測定者の感染リスクを下げられます。 

     

    ――看護師の方が体温を測定していることも多いそうですから、感染者との濃厚接触で現場を離れなければならなくなるケースを減らすことにもつながりそうです。

     

    大熊:現場の負荷を軽減し、医療崩壊を避けることに少しでも貢献したいと思っています。早い段階で導入していただいた医療法人北関東循環器病院では、外来患者やお見舞いに来られた方の検温を行っていますが、「実際は発熱しているのに、自覚症状がない感染者を瞬時に検知できる」と評価をいただいています。センスサンダーによって接触者を最小限に抑えられる段取りができたという声も届いています。医療機関のお問い合わせが増えており、最近も東京慈恵会医科大学附属病院に納品しました。

     

     センスサンダーを設置した北関東循環器病院の受付(日本コンピュータビジョン提供)

      

    オフィスなどではセキュリティと健康管理を同時に実現

    センスサンダーは、顔認証で個人を識別し、測定した体温の情報を紐づけることも可能。今回のコロナ禍での対策がきっかけとなり、オフィスビルなどの入館管理を顔認証で行うようになる時代も近いのかもしれません。

      

    ――ここまでは、不特定多数の来客に対する体温確認についてのセンスサンダーの活用をお聞きしましたが、医療機関などで働く人が自分たちの日々の体温管理にセンスサンダーを生かすことも考えられるでしょうか?

     

    大熊:専用ソフトを使うことで、「個人」と「体温」を紐づけて、継続的に記録を取っていくことも可能です。事前に、働く人たちの顔情報を登録すると、カメラに顔を写すだけで自動的にその人の検温結果が記録されていくので、個人による体温の申告よりも客観的で正確な管理を行えます。ちなみに、以前から顔認証での入館管理を行っていたソフトバンク本社では、センスサンダーの機能を組み込み、今では体温検知も行なっています。社員の登録があり、正常体温である場合のみゲートが開くという仕組みです。カードでの認証は紛失などのリスクがついてまわりますが、顔認証ならそういった心配はありません。そのあたりもメリットと感じていただけているようです。

     

                                            (日本コンピュータビジョン提供) 

     

    ――先進的ですね。先ほど、センスサンダーはマスクをしているかしていないかを見極めることができるというお話がありました。現在の画像認識技術であれば、そうしたことは比較的容易なのでしょうか?

      

    大熊:センスタイム社の顔認証技術は、AIに億単位の顔のデータをディープラーニングさせていますので全く問題なくできます。さらに、顔の画像登録はマスクをしていない状態で行いますが、その人がマスクをしていたとしても85%の確率で同一人物として認識することができます。

     

                                        (日本コンピュータビジョン提供) 

     

    ――医療機関やオフィスのほかでは、どのような場所でセンスサンダーの導入が進むと考えていますか?

      

    大熊:今後は、スポーツ施設や映画館、フィットネスジムや図書館などの解禁が進むと見ています。その際、体調不良者の入場・入館を避けるための手立てが必要になるでしょうから、そういった場面で活用いただけると考えています。1人あたりの体温測定は0.1〜0.5秒ほどなので、大規模なイベント会場などでも運用は十分可能です。

      

    ――センスサンダーのような測定機器は日常的に目にするインフラとなるような気がしてきました。顔認証技術も一気に普及するかもしれませんね。

     

    大熊:まずは新型コロナウイルス感染症が落ち着くことが第一ですが、いずれは顔認証技術が身近なものになり、入館管理や店舗でのマーケティングへの活用などにも生かされる未来をつくっていくための提案をしていきたいと思っています。

      

    新型コロナウイルス感染症を抑えるためには、さまざまな場面で生活を変える必要があると言われています。それを手助けするための「テクノロジーの普及」という観点では、転換点が訪れていると考えることもできそうです。「いまは、ほぼ社員全員総出で、センスサンダーへの問い合わせに対応している状況です」と熱っぽく話す大熊さん。その言葉からは、「技術の力で新型コロナウイルスと戦う社会に貢献していくんだ」という、使命感が伝わってきました。

      

     

    ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社

    日本コンピュータビジョン株式会社

    住所:東京都千代田区麹町2-5-1 WeWork 半蔵門PREX South 6F 
    URL:https://www.japancv.co.jp/

    2019年5月にソフトバンクグループの子会社として設立。中国・香港のコンピュータビジョン分野のリーディングカンパニーであるSenseTime社との協業のもと、画像認識技術をベースとした製品の開発及び提供を行う。オフィスビルへの入館やリテール店舗における顔認証ソリューションに加え、2020年3月からは、新型コロナウイルス感染症対策に大きな力を発揮するAI検温テクノロジー「SenceThunder」の国内販売を開始し、医療法人北関東循環器病院などの医療機関や官公庁、大手企業など30を超える施設(2020年4月末時点)で導入が始まっている。

    問い合わせ先:日本コンピュータビジョン営業本部 大熊一耕
    TEL:090-8489-9656 Email:ikko.okuma@japancv.co.jp

    メディカルサポネット編集部(取材日/2020年4月28日)

     

     

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