2020.06.08
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【識者の眼】「地域における医師と看護師の連携・協働〜認定看護師・専門看護師・特定看護師とは」石橋幸滋

メディカルサポネット 編集部からのコメント

先日の「診療所看護師の役割」編に続き、今日は専門性の高い看護師、認定看護師・専門看護師・特定看護師について述べています。看護師は「診療の補助」と「療養上の世話」という法の中で専門性を高めてきましたが、昨今注目されているのが「特定看護師」です。2015年に創設された「特定行為に係る看護師の研修制度」によって、医師の包括的な指示のもので患者の状態に応じた治療を特定看護師自身が選択し、患者を健康へと導いていくことが可能となりました。今後在宅医療等において、医師と共に歩むパートナーとして活躍が期待されています。

 

 看護師の役割は様々であるが、今までは医師の補助という立場として認識されていた。しかし、現在様々な認定・専門看護師が誕生している(表参照)。彼らの臨床能力はきわめて高く、医師のサポート役として頼りになるだけでなく、患者にとって心強い味方になっている。

 

 

しかし、我々医師はどこまで彼らの存在や能力を認識しているだろうか。専門看護師が、看護師の免許を取得した上で、大学院修士課程以上の学歴を持ち、5年以上の臨床経験(特に専門分野で3年以上)があり、仕事をしながらその分野の専門教育(38単位)を受け、難しい試験を突破してやっとその資格を得ていることを多くの医師は知らない。認定看護師も同様で、修士課程以上の卒業資格という項目を除いた以外は、600時間の講義を含め専門看護師に負けない経験と勉強をしなければならない。

 

加えて、日本では彼らのような優秀な人材が十分な能力を発揮していない。それは、待遇面はもちろん、医師の細かい指示がなければ注射一本できないという医療法の規定があるためである。この状況を改善するために、「特定行為に係る看護師の研修制度(いわゆる特定看護師制度)」が2015年創設され、この研修を受けた看護師は、医師の包括指示のもとに患者の状態に応じた治療を自分で選択できるようになった。それでも米国のナース・プラクティショナーのように、医師の指示なく医療行為ができるわけではないし、できることもかなり限られている。しかし、今後このような臨床能力の高い看護師が、医師のパートナーとして身近に存在するようになれば、病院だけでなく地域の医療の質もさらに向上すると思われる。

 

【文献】

1)日本看護協会:専門看護師・認定看護師・認定看護管理者

   [https://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/]

 

石橋幸滋(石橋クリニック院長)[多職種連携・協働]

  

 

 

出典:Web医事新報 

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