2021.04.13
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医療関係者の価値を最大化するための交渉術

裵英洙のマネジメントのちから~人事で悩むあなたへ~
vol.7

 

編集部より

医師で、医療機関コンサルティング会社、ハイズ株式会社代表の裵 英洙(ハイエイシュ)さんの連載「マネジメントのちから~人事で悩むあなたへ~」の第7回目。裵さんは勤務医時代に病院におけるマネジメントの必要性を痛感したことから、10年ほどの勤務医経験を経て、慶應義塾大学院経営管理研究科(慶應ビジネススクール)でMBA(経営学修士)を取得し、現在は各地の病院の経営アドバイザーとして活躍しています。病院経営で重要な「人事」を切り口に、組織マネジメントのポイントを毎月お伝えします。第7回は、第5回でもご執筆いただいたハイズ株式会社人材戦略部長の岩本 修一さんによるコラムです。「多部署・多関係者・多論点」の”3多(さんた)”の組織である病院経営における、交渉術のあり方について解説いただきました。各部署の主張を感情的な衝突や安易な妥協ではなく、客観的かつ論理的に進め、全員が納得のいく答えを出すにはいくつかのポイントがあるようです。外来診療における実際の事例を交えながら、交渉術を読み解きます。

 

執筆/岩本 修一(ハイズ株式会社 人材戦略部長、医師)

監修/裵 英洙

編集/メディカルサポネット編集部

病院運営で活用したい“交渉術”

働き方改革、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの大規模な組織改革の波が病院経営にも押し寄せています。特に2020年以降の新型コロナウイルス感染症の流行が、行政改革や感染対策を背景に一気に加速させたとも言えるでしょう。上記に挙げたような「多部署・多関係者・多論点」の”3多(さんた)”の組織改革では、異なる部署間の対立から合意に至らなかったり、せっかく決まった施策も現場の反発からうまく実行されなかったりすることも少なくありません。

  

異なる利害をもつ部署や関係者が集まり改革を進めていく場面で交渉術が役に立ちます。とくに病院経営においては、さまざまな人が自部署の立場や利益を背負っており、改革の合理性や意義だけで説得しようとしてもうまくいかないケースも多いものです。組織改革の旗振り役である管理職や経営者が交渉術を身につければ、その実効性は高まります。

  

 

 

「交渉は難しい」からの脱却

ここで、交渉に関する3つの「よくある誤解」に関してお伝えしましょう。

交渉と聞くと、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?

  

1.交渉は、口で相手を言い負かして勝利を勝ち取るもの

確かに、交渉は自分の利益を得るための手段です。しかし、勝ち負けを競うものではありません。なぜなら、交渉には「勝ち」と「負け」を分ける明確なルールがないからです。交渉では「勝ち」よりも「価値」に意識を向けることが鉄則です。交渉における「価値」とは、交渉の結果として得られる互いの利益や満足度のことです。そして、価値の最大化が交渉の目的です。勝ち負けにこだわると、相手とのわだかまりが残って、その後の協力や信頼を損ない、価値そのものが下がってしまうことになります。さらに、組織改革では協力や信頼は「実行」に大きく影響し、改革の成功確率を左右するでしょう。

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