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2021.12.28
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訪問看護×訪問介護がサポートする医療的ケア児と家族の成長

多職種連携ものがたりvol.5

多職種連携ものがたり vol.4 多職種連携ポジティブ検討会【後編】

  

  

編集部より

医学・医療の発展に伴い、低出生体重児や極低出生体重児の生存率が上昇した昨今、NICUを卒業した多くの医療的ケア児が地域で生活しています。彼らを在宅医療や行政・学校など多職種が関わりサポートしています。中でも日々のケアや医療処置にあたる訪問看護・訪問介護サービスは要と言えます。全国に約2万人いると推計される在宅医療的ケア児。厚労省は医療的ケア児を「医学の進歩を背景として、NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のこと」と定義しています。(「医療的ケア児について」より)

今回、医療的ケア児の1人である、ハルくんの日々を支える小児に特化した訪問看護ステーションHUGとケアステーションHUGの訪問看護師とケアスタッフに密着し、多職種が連携しながらハルくん家族を支える日常を取材しました。

 

取材・撮影・編集/高山 真由子(看護師・保健師・看護ジャーナリスト)

 

 

 

<サービス利用児> 

ハルくん(5歳)

1歳から自宅で生活

必要な医療ケア:人工呼吸器、経管栄養、吸引、吸入

利用サービス:訪問看護・訪問介護(居宅介護)・通園(児童発達支援)・相談支援


<訪問スタッフと訪問目的> 

訪問看護師:青山 美穂さん 訪問看護ステーションHUG勤務 退院直後からの関わっており、今日は久しぶりの訪問

ケアスタッフ:岡田祐子さん ケアステーションHUG勤務 勤続13年のベテラン

訪問目的:入浴、排痰、吸入、発達支援、口腔ケア

 

訪問数日前に、家族旅行を終えたばかりのハルくん家族。お母さんが青山さんと岡田さんに旅行中の写真を見せながらハルくんの様子を話し、旅行を振り返るところから今日の訪問が始まった。

 

 

14:40 排便コントロール

 

自力での排便が難しいハルくんは、浣腸で排便を促してから入浴している。

青山:「最近1本使っています?」

母:「半分かな」

青山さんが浣腸液を注入していく。


 

注入後お母さんがハルくんの腹部を圧迫し排便を促す。

 

青山:「座ってみよう。腹圧で出るかな?あれ、出てない!もう1回」

 

グイグイ腹部を押し始めるお母さん。その様子は「こんなに押して大丈夫?」と思ってしまうほどだ。

 

青山:「お母さんしかこんなに強く押せない(笑)。あ~ガスしか出なかったね。もう1回」


 

 

14:20 入浴

 

この間に岡田さんは浴室とリビングを何度か行き来してお湯や着替え、タオルなど入浴の準備を整えた。青山さんとお母さんの様子をさりげなくうかがいながら、ちょうどいいお湯の温度と湯量で入れるようにタイミングをはかる。岡田さんがハルくんを抱っこし、大好きなお風呂タイムが始まる。


 

気管切開をしているハルくんは、昼夜問わず痰の吸引が必要となる。持ち運びできるよう手提げバッグに収納された吸引セットを浴室に持って行き備える。この日は出番がなかったが、入浴中に吸引することもしばしば。


 

入浴は、ハルくん用の湯船を洗い場に設置し、ハルくんを中心にその横に岡田さん(洗い場側)と青山さん(浴槽側)が座り洗っていく。ハルくんがつかる湯船は、ベビーバスを2まわりほど大きくしたようなものだ。

 

母:「皆さんがいろいろアイデアをくださって、今はこれを使っています。でもこのサイズはもう売っていなくて・・・もう少し体が大きくなったらシャワーチェアか、キャンプ用のメッシュタイプのイスを活用しようかなと考えているところです」

 

成長に伴い、使用する物品も変わっていく。成長に合わせて、ケアスタッフや看護師が、ハルくんには、どれがいいかをご両親と一緒に考えていく。ほかのご自宅で使っているものを紹介したり、あらゆる情報を調べたり。まだまだ、在宅医療ケア児を対象とした福祉用具は充実しているわけではなさそうだ。その子の発達や身体の状況、お家の環境、家族のニーズに合わせ、福祉用具だけにとらわれず、プールで入浴したり、シャワーチェアの代わりにキャンプチェアを活用したり、といった広い視野での提案も求められる。

 

湯船につかるハルくんの表情が、明らかに心地よさを表している。

岡田:「お風呂で気持ちよくなって寝ちゃうことがあるんですけど、そのままお風呂からあがってしまうと、そのあと目が覚めた時に『あれ?ボクまだお風呂に入ってないよ!』という意思表示をするので、そういう時は『もう1度入ろうか?』と言って入り直すこともあります」


 

青山さんがシャワーをかけつつハルくんの様子を観察し、岡田さんが洗髪を進める。

 

 

入浴後は念入りに保湿ケアを行う。

岡田:「ハルくんは肌が敏感なので、入浴前後は肌のトラブルがないか全身くまなく観察するようにしています」

 

青山:「ちょっと足の指先が赤くなってますね」

母:「旅行中靴はいたからかも」

青山:「ハルくんは靴はくとすぐ赤くなっちゃうのよね」

母:「ここに水いぼみたいなのができてて・・・だいぶよくなったんですけどアズノール塗っておいた方がいいですかね?」


 

 

ダイニングテーブルに置かれたケースにふと目をやると、お母さんが手描きでドラえもんなどのキャラクターを描いた、胃ろうチューブ固定用のテープがしまわれていた。


 

母:「看護師さんにすすめられた『肌に優しい』というテープをいろいろ試したんですけど、それでも肌が荒れてしまってなかなか合うものがなくて・・・ようやくこのテープにたどり着きました。このテープを使う時も下地をぬってからでないと赤くなってしまうんです。」


 

今日は取材対応のためお母さんは自宅にいたが、訪問看護師とケアスタッフで訪問する場合、この時間はお母さんが外出する時間となる。日によって、ケアスタッフだけが訪問する時もあるが、その際はケアスタッフとお母さんがペアとなり、ハルくんの入浴を行う。そして、入浴が終わる頃に訪問看護師が訪れハルくんとお留守番。訪問看護師が

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