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2022.01.14
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採用に苦戦する病院の典型的パターン
――(1)離職率が高い

ケースから学び看護師採用の勝ち組になる! vol.6

 

編集部より

思ったように看護師を集めることができず、頭を悩ませている病院は少なくないでしょう。より効率的に、より確実に、より自院にマッチした人材を集めるためには、どんな取り組みが必要なのでしょうか。本シリーズでは、医療業界の採用に長年携わってきた株式会社ITA取締役副社長の吉本賢次氏に、実例を踏まえた看護師採用のポイントを語っていただきます。今回からは「採用に苦戦する病院」をテーマに取り上げます。第6回は離職率が高い(特に早期退職者の多い)職場を改善させる管理職の振る舞い方に関するお話です。皆さんはスタッフの「辞めたい」に早く気付けていますか?そして、新しく入職したスタッフに「ここでやっていけそう」と感じてもらっていますか?

 

取材・文/中澤 仁美(ナレッジリング)

撮影/和知 明(株式会社BrightEN photo)

編集/メディカルサポネット編集部

 

 

仲間の退職が「日常化」していく恐怖

 

「離職率が高い」という状態をどう定義するかは難しい問題ですが、これまで100以上の病院のコンサルタントをしてきた私の経験上、離職率20%という数値が1つの目安になると感じています。もちろん、病院の立地や特性などによっても異なるのですが(例えば、一般的には地方のほうが離職率は低い)、都心部にある急性期病院で常に離職率が20%を超えているようなら、強い危機感を持つべきでしょう。

 

もう1つ、参考になる指標が「退職の申し出から退職日までの期間」です。看護師採用に苦しんでいる病院の多くは、この期間が3か月以内と短く、不定期に人が辞めていく傾向にあります。毎月のようにパラパラと退職者が発生する病院では、どのタイミングで何人を補充すればいいか見通しを立てづらく、常に採用問題に悩まされることになります。

 

 

 

 

また、周囲の誰かが辞めていくことが看護師の間で「日常」になり、現場の負担感が増したりネガティブな雰囲気が蔓延したりすれば、さらなる退職につながる悪循環が起こりかねません。

 

そこで重要なのが、退職予防の働きかけに加え、退職日交渉にも力を入れることです。退職者は3月末のみに発生する「非日常」で、年度の区切りにのみ人材が入れ替わる――というのが理想的ではありますが、民間病院ではなかなか難しいもの。できれば半年、せめて四半期ごとにまとめて退職者が出るように調整できれば、中途採用での補充がよりスムーズになります。

 

もちろん、すでに転職先と交渉が進んで入職日が確定している場合、後からそれをずらしてもらうのは困難でしょう。できるだけ先手を取れるよう、日ごろからスタッフとコミュニケーションを図っていきたいものです。

 

  

 

退職を考えている看護師が発する「危険信号」

 

一般的に、職場で「辞めたいです」と意思表明するのはハードルが高いことで、上司に向かって最も言い出しにくいことの1つです。だからこそ、管理職がスタッフの非言語的な部分での変化を察知することが大切です。私の経験上、看護部長にまで昇進する人の多くはこうした「察知力」に長けており、実際に病棟で「あの子、最近ちょっと変じゃない?」などと退職の徴候を指摘するケースを多く見てきました。

 

スタッフが前向きに働いているときは、いわばシフトレバーがドライブに入っているようなもの。これがニュートラルやバックギアに切り替わると、必ずと言っていいほど表情や行動に変化が出てきます。退職を考え始めたスタッフが発信するこうした「危険信号」を、いかにキャッチするかが問われるでしょう。経験を重ねないと見えてこない部分もありますが、誰にでも分かる具体的な徴候もあります。例えば、以前より出勤時間が遅くなる、提出物の期限がギリギリになる、勉強会や業務外のイベントなどへの参加率が下がる、といったことです。

 

 

 

 

平均レベルの意欲や能力を持った中間層に該当するスタッフには、特に注意を払いたいところ。優秀な上位層はコミュニケーションに積極的なことが多く、あまり問題も起こりにくいでしょう。逆に、業務上の課題が多い下位層のことは管理者も心配しているので、目配りされていることが多いです。一方、あまり意識することのない中間層は放置されがちで、それだけに「突然の退職」も起こりやすい傾向があります。上位層・中間層・下位層の割合は2:6:2とも3:4:3ともいわれますが、中間層が最も多くのボリュームを占めることに違いはありません。何も言ってこないから大丈夫だろうと思い込まず、中間層に対してこそ意識的にアンテナを向けるべきなのです。

 

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