2021.11.29
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真に地域に選ばれる薬局に必要な教育・能力開発&人事評価制度

令和の薬局スタンダード ~コンサルティング会社が語る薬局経営~ vol.5

この薬局がすごい!  第15回「地域密着」地域に根ざすコミュニティ薬局の取り組み 株式会社アペックス

 

 

編集部より

持続可能な経営を目指し、真に地域に選ばれる薬局になるために取り組むべきことを、経営コンサルティング会社である株式会社ネグジット総研に解説していただきます。第5回は人事評価制度に関する解説です。真に地域に選ばれる薬局であるために経営者に求められることの1つに、採用したスタッフの育成・定着があります。社員・スタッフが自律した行動をするために、どのような体制づくりが必要なのでしょうか。教育・能力開発と人事評価制度の視点から解説いただきます。

 

執筆/中野 康三(株式会社ネグジット総研)

編集/メディカルサポネット編集部

 

持続可能な薬局経営の実現に求められる、自立&自律型人材の育成

本連載も5回目を迎え、前回までに以下の方向性での課題推進について考え方やポイントをお伝えしてきました。

 

①業務効率化の推進
②エビデンスに基づいたアウトカムの明確化
③保険外収益も含めた顧客の囲い込みによる顧客関係性の強化

 

 

いずれもが持続可能な薬局経営を目指すためのビジネスモデルの転換のために重要な課題であることは論を待ちません。しかし、これらの課題をただ掲げるだけの「絵に描いた餅」ではなく、着実に”実行”し、持続可能な薬局経営を実現するには、経営資源である「ヒト」を中心(要)に据え、その他の経営資源をいかに効果的・効率的に活用できるかが肝と考えています。第1回に記したような経営環境変化が進み、ビジネスモデルの転換が求められる中、この「ヒト」は頭数としてではなく、主体性を伴った “自立&自律型人材”であることが求められています。

 

 

 

 

“自立&自律型人材”の創出には、マインド&スキルの醸成および仕組化を
~教育・能力開発体制の整備・構築が必要不可欠~

さて、この”自立&自律型人材”については、さまざまな捉え方があるものの、少なからず「他者に頼らず独立して仕事ができ、自らの意思と責任をもって行動や判断できる人材」と押さえていただければ差し支えありません。「周りは誰もやっていないから・・・」「会社でルールがまだ決まっていないから・・・」と行動をまったく起こさない人材ではなく、時には自らの判断を周囲・組織に確認し、着実に課題を前進させていく人材といえます。

 

このような自立・自律型人材の創出には、マインドとスキルをバランスよく醸成することが必要です。(図1)組織の課題を推進するための問題解決力やコミュニケーション力といったスキルの習得、さらには主体性や高いチャレンジ精神といったマインドをバランスよく醸成していくことが求められます。

 

 

 

例えば、患者からのクレーム発生時に必要となるのは、医薬品の知識だけではありません。相手が言葉にしづらい要求を適切な質問により引き出し整理するコーチング、2次クレームを発生させないための正しいビジネスマナーや接遇、そして、相手に心から寄り添うホスピタリティマインド等々が併せて求められます。

 

しかしながら、これらのスキル習得・マインド醸成は一朝一夕で身に付けることは容易ではありません。だからこそ、キャリアアッププランや年間研修・トレーニング等の「理解」「実践」「振り返り」等を繰り返せる体制・制度を構築し、仕組み化することが必要となるのです。

 

例えば短期的に、ある非常に優秀な人材を採用できたとしても、種々の理由により継続勤務が叶わない場合があります。また、仮にその人材が特有の知識や能力を発揮し成果を上げることができたとしても、それは“属人的な成果”であり、“組織力・体質で生み出した成果”とは言い難いものとなってしまいます。持続可能な薬局経営を目指し続ける限り、経営資源の中心に据える”自立&自律型人材”の創出は、短期的・散発的な育成ではなく、継続的な体制や制度による仕組化が必要不可欠と言えます。

 

 

“自立&自律型人材”の活性化に貢献する、「やった人に報いる」人事評価制度の存在

持続可能な薬局経営の実現に向け、この”自立&自律型人材”を経営資源の中心(要)に据えるには、もう1点欠かせないポイントがあります。それが「人事評価制度」です。これは、本質的に「中期ビジョンや経営理念の達成」を支える制度であることを忘れてはいけません。

 

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