2023.04.24
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ミッション:食事介助の質を上げろ!

熱血!特養常勤医師1,825日の挑戦 ~特養での穏やかな日常を目指して~ vol.6

熱血!特養常勤医師1,825日の挑戦  ~特養での穏やかな日常を目指して~

    

 

編集部より

特別養護老人ホームや有料老人ホームをはじめとする高齢者施設は、施設長を経営トップとして、介護職・事務職・看護職・外部機関など多職種の関わりによって日々の業務が進められ、高齢者の生活が保たれています。一方で、多職種が関わるからこそそこで生じる問題もさまざまで、解決には多職種の関わりが必要となるため大きなエネルギーを要することも多いのではないでしょうか。本コラムでは、大阪の特別養護老人ホームで「常勤医師」として働く堀切康正さんに、同施設における5年間の挑戦をつづっていただきます。「入居者様が穏やかに過ごせる施設」を目指し病院から特別養護老人ホームに活躍の場を移した堀切さんは、介護の現場で何を感じ、誰とどのように改革を進めてきたのでしょうか。

 

第6回は介護施設などで高齢者の嚥下力が落ちているときどのように食事介助をしたらいいのかのポイント、です。

ポジショニングや機材、食事内容の変更をしたうえで、介護者の食事介助技術自体で改善できることとは?今回は本文下部に理解に役立つYoutube動画やイラスト図も掲載しました。

 

執筆/堀切 康正(社会福祉法人 永寿福祉会 永寿特別養護老人ホーム 永寿診療所 管理医師)

編集/メディカルサポネット編集部

 

  

  

   

   

嚥下障害対策としての食事介助

食事介助に対する私の取り組みは、2つの出来事がきっかけで始まりました。

1つ目は、同じフロアで誤嚥性肺炎が連続して起こったことです。これらの方は誤嚥リスクが非常に高いと事前に予想できていました。しかし、当時の私は十分な予防の手立てを取ることができませんでした。その時の後悔が、食事介助への介入の原動力になっています。

2つ目は、スタッフの中で飲み込みを確認していない人がいると分かったことです。

   

この2つの出来事の後から、嚥下が不安定になった人に対しては、私が食事介助を行い評価する流れを作りました。現在の状態を評価した上で、フロアスタッフにお願いするのか、私や栄養士などの特定のメンバーのみで一定期間フォローする必要があるのかという判断を行いました。フロアスタッフに依頼する場合は、嚥下障害の状況とその対応の仕方について説明し、情報共有と教育を行いました。このような取り組みを2年弱ほど続け、また咽喉マイクの導入など道具の力も借りることで、食事介助の質は上がり誤嚥性肺炎の発生件数はさらに減らすことができました。

    

今回、これらの経験を踏まえて、食事介助時の気をつけるべきポイントを紹介します。この記事が皆さまの誤嚥性肺炎対策にお役に立てれば幸いです。

     

   

食事介助時の3つのポイント

では、さっそく食事介助時のポイントを3つご紹介します。

1、飲み込んだか

2、喉に溜まっていないか

3、食事後の唾液を飲み込めているか

   

3つのポイントの説明が始まる前に、 是非、引用①②の動画をご覧下さい。初めてご覧になる方は、「こんなことになっているのか!」と驚かれると思います。

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