編集部より

誰かの助けになりたいとこの仕事を選ぶ看護師が多い中で、残念ながら離職してしまう人も多いのが現状です。看護師にとってはどんな職場が働きやすく、人材定着する職場なのでしょうか?実際に大病院でも中小規模病院でもナースとして勤めた紺田さんが、原因を分析して解説します。職場や管理職に求められる労働環境整備とは?

 

執筆/紺野麻紀子 准看護師

編集/メディカルサポネット編集部

  

    

青い空を背景に手に青いファイルを持った笑顔の女性看護師

     

専門職である看護師のニーズは高く、資格を取れば「職に困らない」とよく言われます。しかし、看護師が定着しづらい職場も数多くあり、結果として人手不足が生じています。限られた人数で業務をこなす現職スタッフの負担が増大し、その不満からさらに退職者を生み出す原因となることもあります。

では、看護師が定着し、長く働きたいと思う職場とは、どのような職場なのでしょうか。

1.ほかの職種と比べて、看護師の離職率は高いのか?

看護の現場は、常に人手不足のイメージがあり、実際に慢性的に人手不足となっている職場も多いようです。毎年多くの新人看護師が誕生しているはずですが、なかなか看護師が充足した実感がないかもしれません。その理由の1つとして、離職してしまうスタッフが多い点が挙げられます。では、看護師の離職率の平均はどのくらいなのでしょうか。

   

公益社団法人 日本看護協会が実施した「2022年 病院看護実態調査」によると、2021年の新卒看護師の離職率は10.3%で、10人に1人が退職している結果でした。これは、2005年以降、最も高い離職率です。また、正規雇用看護師の離職率は11.6%と例年よりもやや高く、いずれも前年度より増加しています。

   

病院看護職員の離職率の推移2005年度から2021年度の新卒、既卒の病院看護師の離職率の推移について調査

出典:公益社団法人日本看護協会広報部

    

この数字は一般の企業と比べて、決して高いわけではありません。厚生労働省が実施した「令和3年(2021年)雇用動向調査結果」によると、一般労働者の離職率は11.1%であり、大きな差はありませんでした。しかし、超高齢社会を迎え、看護師の供給が追い付いていないことから、看護師のニーズは高まる一方です。看護師に長く働いてもらうために、「看護師が働きやすい環境とは何か」を考えていく必要があるでしょう。       

2.看護師が退職を決める理由

スケジュール帳の上に置かれたペンと退職届と書かれた封筒   

2011年に厚生労働省が実施した「看護職員就業状況等実態調査結果」によると、退職理由として最も多かったのが、「出産、育児のため(22.1%)」でした。また、「結婚のため(17.7%)」という回答もあり、上位にはプライベートに関係する理由が見られることから、「結婚後、もしくは出産後は今の職場では働けない」と考えている看護職員が多いと考えられます。ただし、上記の資料は、看護師・准看護師だけでなく保健師や助産師も含む看護職員が対象であり、あくまで目安です。

   

実際に、看護師の仕事は、夜勤や残業、休日出勤があり、シフト勤務によるハードな労働環境にあります。そのため、結婚や出産・育児といった家庭との両立を不安に感じ、退職を考える人が多いのも当然かもしれません。

   

一方で、「他施設への興味(15.1%)」という回答もあります。「看護職は続けたいけど、今の職場以外で働きたい」と考える人も、10人中1人以上という結果です。この調査は2011年に実施されたもので、やや古い情報であり、看護師以外も対象となります。とはいえ、現在も同様の理由で退職を考える看護師は少なくないでしょう。  

3.病院看護師が求める働きやすい職場10選

タブレットを手に持ち、ガッツポーズをする笑顔の女性看護師   

では、実際に、病院看護師が働きやすいと思うのは、どのような環境なのでしょうか。結婚・出産を経験した看護師の視点で、働きやすい環境10選を紹介します。

1.出産・育児に理解がある

出産・育児のためとする退職理由からも見えるように、多くの看護師が妊娠中や出産後も仕事を両立できる環境を求めています。育児休暇が取りやすいのはもちろん、急な休みにも対応してもらえるかという点も重視しています。

   

妊娠中は体が大きく変化し、それに伴い体調の変化もあります。出産後には、子どもの急な病気など、突発的な休みが必要なことも多いものです。そんなときの職場の対応によって、「この先もここで働きたい」と思えるかどうかの分かれ道になってきます。

   

確かに急な休みは、

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