2023.01.23
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従業員エンゲージメントとは?医療・介護業界での意味や重要性を解説

ケアサービスの質がぐんぐん上がる!

従業員エンゲージメントとは?医療・介護業界での意味や重要性を解説

 

編集部より

働き手の不足や働き方の変化による人材の流動化が進む中で、業界を問わず、従業員エンゲージメントを重視する企業・組織が増えています。従業員エンゲージメントとは、従業員が企業・組織の目指す方向性に共感し、企業・組織といっしょに二人三脚で進んでいこうとする思いのことです。従業員エンゲージメントがどのような状態なのかは、従業員の離職率や提供するサービスの質に大きな影響を及ぼします。

ここでは、従業員エンゲージメントの基礎知識について解説。さらに、それを高めることが医療・介護業界にどのようなメリットをもたらすのか、従業員エンゲージメントの効果についても紹介します。

          

編集/メディカルサポネット編集部

 

 

従業員エンゲージメントは職場のやりがい・働きがいを映す鏡/従業員エンゲージメントの基礎知識

従業員エンゲージメントとは、従業員が企業や組織の目指す方向性に共感し、自発的に企業・組織に貢献しようとする意欲や熱意のことをいいます。または、従業員がそのような企業・組織への信頼や貢献意欲をどれぐらい持っているかを示す指標のことです。

似た概念として従業員満足度がありますが、従業員満足度は「従業員から見た企業・組織の居心地の良さ」を表したものです。一方、従業員エンゲージメントは「従業員と企業・組織双方の関係、関わり合い」を重視したものになります。

   

「従業員エンゲージメントが高い」とは、従業員が所属する企業や組織の理念やビジョンを理解し、企業・組織を信頼して、企業・組織への高い貢献意欲を持っている状態を指します。

従業員エンゲージメントが高い企業や組織は、従業員が仕事に対してやりがいを感じ、誇りと熱意を持って取り組んでいるのが特徴です。その結果、離職率の低下、サービスの質の向上が見られ、業績アップにもつながるといわれています。反対に、従業員エンゲージメントが低い企業・組織では、従業員のモチベーションが低く、離職率の高さが目立ちます。優秀な人材に長く働いてもらうことを目指すには、従業員エンゲージメントを高める施策を行うことが求められているのです。

    

医療機関・介護施設・薬局などでも組織の成長のため、また優秀な人材に来てもらうために、働きやすい職場づくりが急務となっています。従業員エンゲージメントが高まれば職員の士気も高まり、自然と働きやすさにつながります。チームケアが基本である医療・介護業界では、この点からも従業員エンゲージメント向上に取り組むことが重要といえるでしょう。

   

従業員エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントを高めることで得られるメリットは、大きく分けて3つあります。 

1.離職率が低くなる

従業員エンゲージメントが高い職員は、所属する組織への信頼度が高く、仕事に対して熱意ややりがいを感じています。仕事や組織に対して不満を抱きづらいので、突発的に離職することはあまりありません。売手市場で、たとえ今の職場を辞めても転職先候補がたくさんある医療・介護業界では、優秀な職員に長く働いてもらうためには、従業員エンゲージメントを高める施策が不可欠といえます。

  

2.患者・利用者へのケアサービスの質が高まる

従業員エンゲージメントの高い職員はやる気が高く、自発的に「組織に貢献したい」と考えて積極的に行動するため、提供するサービスの質が高まります。その結果、患者・利用者の満足度が上がり、手応えを実感したことで職員のモチベーションが向上。チーム全体が良い雰囲気になっていく好循環が期待できます。

     

3.職場環境、人間関係が良くなる

従業員エンゲージメントの高い職員は、職場への信頼度が高く熱意もあるため、同じようにやる気に満ちた職員が増えれば職場全体の士気が高まります。お互いを信頼し合えるようになるため、風通しの良い働きやすい職場になるでしょう。

特に、医療・介護サービスはチームで行う仕事なので、チーム内の雰囲気やコミュニケーションがサービスの質を左右します。サービスの質を向上させるには、働きやすい職場が不可欠といえるのです。

 

  

従業員エンゲージメント向上のためにできることとは?

従業員エンゲージメントは従業員の心の中にみずから芽生えるものであり、企業や組織が外から無理に押しつけることはできません。続いては、従業員エンゲージメントを高めるために事業者ができることについて解説します。

     

企業・組織理念の浸透

従業員エンゲージメンㇳの高い職員は、事業者の下の立場ではなく、同じ方向を目指していっしょに進む対等な立場の協力者です。同じ方向を目指していっしょに進むためには、まず職員に企業・組織の理念を理解してもらい、共感を得る必要があります。

職員に企業・組織の理念が十分理解されていないと感じるようなら、まずは理念をしっかりと浸透させるところから始めましょう。具体的には、企業・組織の理念を明確化する、ミーティングや社内報、研修などで繰り返し周知するといったことが挙げられます。

  

良好な人間関係づくり

チームワークが重要な医療・介護業界では、特に良好な人間関係を作れるかどうかが、職員の職場に対する信頼度や帰属意識に大きく影響します。定期的に1on1ミーティングでチームリーダーと話し合う機会を設ける、チャットツールを活用する、職員同士が褒め合う文化を作るために「サンクスカード」などの感謝を表す制度を導入するなど、職場のコミュニケーションを活性化させる施策は、良好な人間関係づくりに役立ちます。

コミュニケーションが活発で居心地の良い職場なら、職場に対する信頼度は高まりますし、気軽に話せる人が多いだけで、組織の一員であるとの意識も生まれやすくなります。

 

小さな成功体験づくり

小さなことでも、職員が自分の裁量で決定し、実践して、結果に対する評価を受けられる環境は、職員の自己肯定感をアップさせます。自身の裁量で挑戦し、小さな成功を重ねることで自信が生まれると、職場での期待に応えたいという思いにつながります。

このような状況を生むには、職員の力や適性を見極めて、適切なポジションに配置することが重要です。適切なポジションであれば自分が持っている力を発揮しやすくなりますし、職員が「組織は自分を理解してくれている」と感じ、組織や職場への愛着が高まるでしょう。

  

人事評価制度・スキルアップ制度の整備

働きに見合った評価がなされるかどうかは、職員の仕事への意欲に直結します。「自分の働きが正当に組織に評価されている」と感じられるような、透明性が高く、誰もが納得できるような人事評価制度を整備することが大切です。

加えて、費用を負担するなどして職員のスキルアップを応援することは、職員のやる気を引き出し、職場への帰属意識を高めることにもつながります。

     

魅力ある職場づくりのために従業員エンゲージメントを意識しよう

従業員が企業や組織の目指す方向性に共感し、自発的に企業に貢献しようとする意欲「従業員エンゲージメント」は、離職率をはじめ、患者・利用者へのケアサービスの質、最終的には業績にも影響する非常に重要なものです。職員が自発的に「この職場で長く働きたい」「組織に貢献したい」と思える職場にするために、事業者側ができることはたくさんあります。

職員がやる気を持ってはつらつと働き、それによって患者や利用者の評価が上がり、組織の業績も上がり、成果が上がったことでさらに職員のやる気がさらに上がるという好循環を作るために、まずは今いる職員の従業員エンゲージメントを把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

    

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