2018.08.21
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結果報告~介護労働者の就業実態と就業意識調査~

【平成29年度 介護労働実態調査】

公益財団法人 介護労働安定センターは2017年(平成29年)10月1~31日にかけて、全国の介護保険サービス事業を実施する17,638事業所(無作為抽出)にアンケートを依頼、8,782件を回収しました。その中から、一事業所あたり介護にかかわる労働者3名を上限に、無作為に選出した52,914人に対しアンケート調査を実施しています。有効回答があったのは21,250人でした。メディカルサポネット編集部では、アンケート結果を元にまとめてみました。

▼目次

 

I.仕事についての考え方

1.現在の仕事を選んだ理由(複数回答)

「働きがいのある仕事だと思ったから」が50.1%(前年度52.4%)で最多で、「資格・技能が活かせるから」の35.5%(前年度38.3%)が続きます。正規職員は「今後もニーズが高まる仕事だから」を選択する方が多いのに対し、非正規職員は「自分や家族の都合のよい時間(日)に働けるから」を選ぶ方が多く、雇用形態によって仕事を選ぶ基準が異なることが見えてくる結果になりました。柔軟な働き方ができる職場が増え、非正規職員の活躍の場が増えていることが考えられます。

 

 

2.現在の仕事の満足度(満足+やや満足)

「仕事の内容・やりがい」を選ぶ方が53.3%(前年度52.1%)と最多、「職場の人間関係、コミュニケーション」を選ぶ方が47.4%(46.7%)と続きます。なお、正規職員は「福利厚生」「勤務体制」「キャリアアップの機会」を選ばれる方が多いのに対し、非正規職員は「労働時間・休日等の労働条件」を選ばれる方が多いなど、仕事の満足度についても、雇用形態によって違う傾向が見られました。

仕事の満足度は雇用形態によっても異なり、いうならば個々によっても異なります。また、求めるものも個々の背景によって変動していきます。全てを網羅することは難しいことですが、一人ひとりの求めることを把握していくことが満足度を高めるための第一歩です。

 

3.仕事(職種)に関する希望・目指す職種

(1)仕事(職種)に関する希望

今後も「今の仕事を続けたい」方は53.8%(前年度53.7%)と過半数を超えています。また、「今の仕事以外で問1(1)に記載されている仕事をしたい」が23.6%(前年度22.5%)の結果となりました。

 

※問1(1)の職種:訪問介護員、サービス提供責任者、看護職員、介護職員、生活談員、介護支援専門員(ケアマネージャー)、PT・OT・ST等

※その他:わからない、働きたくない、無回答

 

訪問介護員と介護職員の2職種別で見た場合、訪問介護員は「今の勤務先で働き続けたい」が、介護職員の52.0%に対し、65.7%と多く、介護職員は「今の仕事以外で問1(1)に記載されている仕事をしたい」が訪問介護員の12.7%に対し、22.8%でした。

(2)目指す職種

仕事(職種)に関する希望が「今の仕事以外で問1(1)に記載されている仕事をしたい」と回答した方のうち「目指す職種」では、訪問介護員が47.4%(前年度43.1%)で最も高く、次いで、介護職員の13.0%(前年度11.4%)でした。介護専門員は前年に比べて半数以下と減っています。

 

 

4.勤務先に関する希望

勤務先に関する希望は、年度による違いはほとんど見られず、「今の勤務先で働き続けたい」が56.9%(前年度56.5%)でした。

 

 

雇用形態での内訳を見てみると、「今の勤務先で働き続けたい」のは、正規職員が56.3%(前年度54.9%)、非正規職員が58.6%(前年度60.4%)と、前年度に比べて開きが小さくなる傾向が見られました

 

 

II.働く上での悩み、不安、不満等について

施設系(入所型)は、他と比べて「労働条件・仕事の負担について特に悩み、不安・不満等は感じていない」「その他」「正規職員になれない」以外は最も高い結果でした。中でも「夜間や深夜時間帯に何か起きるのではないかと不安がある」「身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)」「人手が足りない」は他と比べて14ポイント以上の差がありました。身体的負担と夜間・深夜帯の精神的負担から不安をいだく方が多いことがわかります。

 

 

III.労働者自身の状況について

1.現在の法人に就職した理由(複数回答)

「通勤が便利だから」が37.6%(前年度38.0%)で最多です。前年度、同率最多だった「資格・技能が活かせるから」は36.8%でした。正規職員は「やりたい職種・仕事内容だから」、「法人の方針や理念に共感したから」、「経営が健全で将来的に安定しているから」、「福利厚生が充実しているから」など、落ち着いて仕事に取り組めるか、安心感や将来性を重視する人が多いのに対し、非正規職員の場合は「通勤が便利だから」、「労働日、労働時間が希望とあっているから」など、差し迫った労働条件を重視している方が多いことがわかります。 

 

2.前職の有無、前職の勤務先の業種と仕事内容

前職の勤務先の業種が「介護関係の業種」だった方は32.9%(前年度27.9%)です。前職で「介護・福祉・医療関係の仕事」以外で働いていた方が多いことがわかります。前職の仕事を5年以上勤続されている方は正規職員が48.7%、非正規職員が54.6%で、約半数の方が4年程度で転職をされています。前職の勤続年数は3年程度までは正規職員>非正規職員ですが4年程度以上になると正規職員<非正規職員と逆転傾向が見られます。

 

3.(1)介護関係の仕事を辞めた理由(複数回答)

介護関係の仕事を辞めた理由は「職場の人間関係に問題があったため」が20.0%(前年度23.9%)です。次いで「結婚・出産・出産・育児のため」の18.3%(前年度20.5%)、「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」の17.8%(前年度18.6%)と続きます。職場環境や経営理念に対する理由が上位を占めていることがわかります。

一方、各項目のポイントは前年度に比べて、全項目で若干ながら減少しています。

特徴的なのは、非正規職員は正規職員よりも「結婚・出産・出産・育児のため」に大きな差があり、家庭の事情を理由とする傾向があります。正規職員は非正規職員よりも「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」「自分の将来の見込みが立たなかったため」「収入が少なかったため」が多く、経営理念と将来性、年収を理由に介護関係の仕事から離れる傾向があります。

 

 

3.介護職の介護問題

(1)家族の介護の状況

「当面ない」が52.7%で、40歳未満と60歳以上で60%以上でした。一方「ここ数年のうちに、可能性がある」の31.8%は、20代から50歳前後にかけて増加し、収縮方向に向かいます。「現在、介護している」の12.3%ですが、40代以降で急増していることが見て取れます。

 

 

(2)仕事の介護の両立

将来、介護に直面した場合、「続けることができると思う」が26.1%、「続けられないと思う」が26.4%と若干ながら、ポジティブな傾向が見られました。なお、「わからない」や「無回答」についてはほぼ前年度と同じです。

 

 

(3)「介護休業制度等の認知や労働環境」と仕事と介護の両立の関係

介護に直面しても仕事を「続けることができると思う」回答した方は「両立を可能とする柔軟な働き方」が可能な勤務先であることが分かります。制度の整備と精度の周知の両方の重要性が浮かび上がる結果となりました。

 

 

【出典】

公益財団法人介護労働安定センター ―平成29年度 介護労働実態調査結果について―

公益財団法人介護労働安定センター ―平成28年度 介護労働実態調査結果について―

 

 

メディカルサポネット編集部

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