「ユニフォームとは何か?」から開発をスタート
どんな物事であっても、当たり前の発想から抜け出すのは難しいものです。例えば、「ユニフォームはそれを着る人のためにある」という考え方も、その一つではないでしょうか。長年ユニフォームを手がけてきたからこそ陥りがちな「思考の落とし穴」を飛び越えて、住商モンブランは新しいコンセプトのナースウェアを発表しました。
そのきっかけは、同社が参加した「マネジメント視点から看護師のユニフォームを考える研究会」にありました。佐久間あゆみ氏(東京都済生会向島病院看護部長)、藤田あけみ氏(取手北相馬保健医療センター医師会病院副病院長兼看護部長)をメンバーに迎え、住商モンブランの開発チームとともに定期的なミーティングを開催。「ユニフォームとは何なのか」という根本的なところから議論したそうです。
「ナースウェアは、デザインや着心地などを重視した『着る人の視点』から選ばれることが多いと思います。もちろん、それも大切なことではありますが、最良の医療と看護を提供するためには患者様に対する価値を高めることが重要で、その視点からあらためてユニフォームという存在を見つめ直していきました」(吉倉康二さん)
確かに、女性が大部分を占める看護の世界では、「オシャレで可愛いナースウェアを着たい」という現場サイドのニーズはかなり大きいでしょう。また、病院サイドとしても、人材採用におけるアピールポイントの一つとして、「現場の受けがいい」ナースウェアを採用することがあるという話を聞きます。
しかし、ほかにも大切な視点があるのではないか――。そうした問題意識から研究会での議論は深まり、やがて「ユニフォームに求められる3つの視点」として次のポイントが導き出されました。そして、これらの視点をもとに試作を繰り返し、ようやく完成したのが「プロ-プライド」なのです。
(1)安全を確保する
(2)患者とのコミュニケーションをサポートする
(3)良質な看護を提供する
※これら3つの視点から「患者に対する価値」を高めることを、最も重要な「マネジメント視点」と考える。

住商モンブラン株式会社商品企画室の吉倉康二さん。「マネジメント視点を取り入れた商品開発は新鮮であり、刺激的でした」
グラデーションカラーで職位を表し、”チーム感”も創出
ナースウェアに関連して持ち出される視点として「患者とのコミュニケーションをサポートする」というのは珍しいと思いますが、この点に注目して開発されたことが「プロ-プライド」の最も大きな特徴だといえます。
「従来のナースウェアを着ていると、患者様やそのご家族から見て、ある看護師さんが一般のスタッフナースなのか、あるいは師長クラス、部長クラスなのか、見た目で判断できないことがありました。『プロ-プライド』では、ピンク系とブルー系2種類をラインナップし、一般看護師はピンク/サックス、師長クラスはコーラルピンク/ターコイズ、部長クラスはバーガンディ/ネイビーというように薄い色から濃い色へグラデーションをなすようにしてあります。ぱっと見で看護師さんの職位を把握できるため、困ったときに誰に何を頼めばよいのか分かりやすくなります」(吉倉さん)
ピンク系は思いやりや優しさを感じさせ、話しかけやすい雰囲気を作る。ブルー系は誠実さを感じさせ、心を開いたコミュニケーションを促すという色彩心理学的効果も狙っているそうです。まさに患者の立場を思い、ホスピタリティを発揮するという看護の本質を体現した工夫だといえるのではないでしょうか。
もちろん、ナースウェアとして「安全を確保する」「良質な看護を提供する」ための機能性についても様々な工夫が取り入れられています。透けない生地やストレッチ生地の採用、ポケットのPHS落下やインク染みを防止する機能の付加といったこともありますが、特徴的なのは「スマートポケット」。ポケット内部に内ポケットを設けることで小物を整理して入れられ、膨らみを抑えたスマートな見た目が保たれるようになっています。
デザイン面では、ナースウェアの象徴といえる「白」をアクセントカラーに、比翼ファスナー(前開きの隠しファスナー)を採用したため、誰が着ても「きちんと見え」します。看護師としての清潔感や誠実性を存分にアピールできる一着に仕上がっているといえるでしょう。

カラーバリエーションを検討する様子。色彩心理学の知見も加味しながら、最も望ましいパターンを選び抜いていった
ユニフォームは職場の雰囲気を一変させられる
「プロ-プライド」の開発過程では、現場の看護師に試着をしてもらい、意見を吸い上げて商品に反映させることも怠りませんでした。「プロ-プライド」に取り入れられた各種工夫やカラーバリエーションは現場からも好評でしたが、「患者目線でナースウェアを考える」というコンセプトに驚き、感心した看護師さんも少なくなかったのだとか。
「医療の本質をウェアに落とし込むため、ここまで現場と密着して開発を進めたのは初めての経験でした。ユニフォームは着ている本人のためだけのものではなく、患者様をはじめとする周囲の人々や職場環境にも影響するものだということを改めて実感しました」(吉倉さん)
「プロ-プライド」は2020年1月発売予定。皆さんの施設でも、職場の雰囲気をがらりと変えてくれるかもしれません。

東京都済生会向島病院での意見交換会の様子。
看護部長などマネジメント層だけでなく、現場レベルの意見も吸い上げて商品に反映させていった
住商モンブラン株式会社
住所:大阪府大阪市中央区北浜4丁目7番28号
TEL:06-6228-8051(総務部)
URL:http://scmb.montblanc-web.jp/
1950年、白衣メーカー向け生地問屋として大阪市で創業。1970年代に現在の社名にも使われている「モンブラン」ブランドの使用を開始した。テキスタイル事業から医療業界、食品業界に対応した白衣ユニフォームへと展開を広げ、清潔さが求められる現場で“気品を感じさせる独特の白さ”が高い評価を得ている。2015年には、介護ユニフォームの展開も始めた。
(取材日:2019年10月8日)
メディカルサポネット編集部