2020.12.03
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介護・看護の現場を動かし続ける具体的な感染症対策
~看護師を取り巻く環境の今と未来~

「第3回医療と介護の総合展(東京)」セミナーレポート①

新型コロナウイルス感染症の対応にあたり、受け入れ現場である病院の状況は刻一刻と深刻さを増しています。東京都看護協会では、切迫した現場の状況を受けて「新型コロナウイルス感染症プロジェクトチーム」を立ち上げ、「感染対策」「医療安全」「業務管理」という3つの視点から、特に、緊急事態に対応できる人材が不足している300床以下の中小規模の病院に対して重点的なサポートを行いました。現在も続くこのプロジェクトについて、立ち上げから具体的な介入事例まで、東京都看護協会長である山元恵子氏が詳細に語りました。

取材・文/河村 武志(ナレッジリング)
写真/穴沢 拓也(株式会社BrightEN photo)
編集・構成/メディカルサポネット編集部

2020年10月14日(水)~16日(金)の3日間にわたり、幕張メッセにて「第3回医療と介護の総合展(東京)」(主催:リード エグジビジョン ジャパン株式会社)が開催されました。医療・介護分野におけるB to B商談展として日本有数の催しですが、併せて数多くのセミナーが企画され、コロナ禍の状況にあっても多数の参加者でにぎわいました。

 

  

ここでは、16日(金)のセッション「看護師を取り巻く環境の今と未来~感染症対策から2040年にむけた働き方改革まで~」から、東京都看護協会会長、山元恵子氏によるセミナーの模様をレポートします。

 

山元 恵子

東京都看護協会 会長

神奈川県立衛生短期大学(看護学科)卒業。千葉科学大学危機管理研究科博士課程(危機管理学専攻)修了。1976年より国立国府台病院・国立療養所中野病院、1992年より国立小児病院看護師長、2002年より国立成育医療センター医療安全管理者、2004年より東京北社会保険病院副看護部長・GRM、2008年より春日部市立病院副院長・看護部長、2010年より富山福祉短期大学教授を経て、2016年6月より現職。

  

東京都看護協会は、東京都に在住・在勤する看護職(保健師、助産師、看護師、准看護師)が自主的に加入する看護職能団体で、現在約5万人の看護職が加入しています。私は会長として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が急拡大する状況下で、都内病院で働く看護職を支援するためにはどうすればいいか、悩みながら動いてきました。その様子を報告させていただきます。

 

■中小規模病院に重点「新型コロナウイルス感染症プロジェクトチーム」

 

私どもの調査では、都内に約650施設ほどある病院のうち、約12%でCOVID-19のクラスターが発生したり、看護師の感染が起こったりしていることが分かりました。世界では、COVID-19の感染者の約10%が医療従事者だといわれており、それで亡くなった看護師も1000人ぐらいいるそうです。日本では、大変残念ながら看護師が1人、COVID-19でお亡くなりになったことが分かっています。

 

状況が切迫する中、東京都看護協会は「新型コロナウイルス感染症プロジェクトチーム」を立ち上げ、「感染対策」「医療安全」「業務管理」という3つの視点から医療現場のサポートを開始。特に、緊急事態に対応できる人材が不足している300床以下の中小規模の病院に対して重点的なサポートを行いました。

 

看護師1人が陽性判定になると、その周囲の10~20人くらいが濃厚接触者と認定されることになるため、次の日から病棟で働ける人がいなくなってしまいます。これは本当に悲惨でした。代替要員を手配するため、ナースバンクの登録者に声をかけるなどの対応はしましたが、即座に十分な確保をすることは難しい。潜在看護師を活用するにしても、混乱を極める現場にいきなり入ってもらうことは不可能でした。そのため、例えば海外留学や海外への医療支援に赴く予定の看護師にお願いし、ナースバングを通して手配したというのが実情でした。

 

  

  

■病院の垣根を超えたサポートを実現

 

都内では主に3つの病院で大規模なクラスターが発生し、事態は長期化の様相を呈していましたが、東京都看護協会が各病院と密に連携することで、効果的な現場介入につながったケースもありました。

  

具体的には、A病院の支援に入った看護師に、事態が落ち着いた後、B病院の支援に入ってもらうという橋渡しを行いました。また、C病院の所属で自分の職場のCOVID-19対応に当たった看護師に、B病院の応援に入ってもらうお願いもしました。自分の職場も大変な状況でありながら、管理者などの理解もあってヘルプが実現したことは、危機的な状況の中で大変ありがたいことでした。こうした病院の垣根を越えたサポートは、個々の病院が孤立していては難しいことですから、東京都看護協会が貢献できた部分ではないかと思います。

 

 

 

■現場ニーズに沿ったサポートの継続へ

 

そのほかにも、高度な感染制御が必要となった病院に感染症看護専門看護師を派遣したり、院内の調整や各種機関への連絡などで忙殺された管理者を手助けしたりといったこともしてきました。特に300床以下の病院に対しては私自身が頻繁に電話でやり取りし、できるだけ現場ニーズをくみ取ろうとしてきたつもりです。COVID-19の脅威がいまだ去っていない中で、これからも東京都看護協会は徹底した現場サポートを続けていきます。病院関係者、特に現場の看護師の皆さんに心強いと感じてもらえるようなら何よりです。

  

<参考ページ>

新型コロナウイルス感染症に関連した施設支援について(東京都看護協会ホーページ)

https://www.tna.or.jp/nurse/others/coronavirus/facility_support/

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