2019.02.28
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時間外労働上限の特例要件、「根拠がなく怒り感じる」
日病・相澤会長

メディカルサポネット 編集部からのコメント

医師の働き方を改革するには、もはや大改革は避けて通れません。改革にはリスクが伴います。さまざまな意見が飛び交うことでしょう。その中で、強引に改革を推し進めたのでは、たとえ素晴らしい改革だとしても、支持してくれる人は現れないでしょう。提案の際にはデータの根拠を示すこと、また、考えうる限りのリスクに対して対策を立てることが求められます。反対意見はリスク対策にとって有益なものです。

 

 日本病院会(日病)の相澤孝夫会長は26日の記者会見で、医師の時間外労働の上限規制の特例が適用される医療機関の要件として「救急車の受け入れが年1000台以上」などとする厚生労働省の提案について、「根拠がないまま数値が出てきて、怒りすら感じる」と厳しく非難した。【松村秀士】

  

 

時間外労働の上限特例に関する厚労省案について非難した相澤会長(26日、東京都内)

  

 医師の時間外労働の上限については、厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」で議論されている。同省はこれまで、2024年度からの適用水準として、▽原則、年960時間以内(A)▽救急医療など地域医療を確保するための暫定特例として年1860時間以内(B)―などを提案。また、将来的に暫定特例の水準などを年960時間以内に抑える方向性も示している。

 

 さらに、それぞれの適用水準について整理しており、例えば「B」に特定される医療機関の要件として、「三次・二次救急医療機関、かつ年間救急車受け入れ台数1000台以上」などとしている。

 

 これについて、相澤会長は会見で、救急車の受け入れは日中と夜間、平日と祝祭日とでその方法や負担などが異なるため、一律に判断すべきではないと主張。厚労省が「1000台以上」と基準を定めていることに関しても、「根拠がないまま数値が出てきて、ここ(1000台以上)で区切るのは乱暴な話だ」と述べた。また、日病など医療関係団体を交えた議論を経ずに、厚労省がこうした要件を提示したことも問題があると指摘した。

 

 相澤会長はまた、各医療機関で医師の時間外労働の上限を「年960時間以内」に抑えるには、「大なたを振るって抜本的な改革をするしか方法はない」と説明した。仮に医療機関が抜本的な改革をして、医療が継続して提供できなくなったり、地域医療が崩壊したりした場合の対応や支援の方策が厚労省から示されていないことも問題視。「不十分としか言いようがない」と強く訴えた。

  

 出典:医療介護CBニュース

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