2019.01.31
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ゾフルーザ耐性株が検出、A/H3亜型の9.5%に変異―国立感染研

メディカルサポネット 編集部からのコメント

2018年3月14日に発売された塩野義製薬のゾフルーザ錠は、1回の経口服用でウィルスの増殖が抑制できる抗インフルエンザ薬として注目を集め、インフルエンザの流行とともに需要に生産が間に合わない状況が続いています。その一方で、国立感染症研究所は2019年1月24日に、ゾフルーザの感受性が低くなる「I38アミノ酸変異株」が検出されたと発表、塩野義製薬も詳細について調査を進めています。現時点では目立った副作用の報告はありませんが、薬の処方については、医師の判断に委ねられいます。

 

国立感染症研究所は1月24日、新機序の抗インフルエンザ薬(キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬)のバロキサビル マルボキシル(販売名:ゾフルーザ)について、同薬への感受性が低下したアミノ酸変異ウイルス(耐性株)が昨年12月に検出されたことを公表した。21日現在、A/H3亜型においては、遺伝子解析を実施した21株中2株(9.5%)に変異が認められている。A/H1N1pdm2009とBからは検出されていない。2018/19シーズンにおけるノイラミニダーゼ(NA)阻害薬耐性株の検出は、21日時点では報告されていない。

 

バロキサビルの臨床試験では、薬剤投与によりI38T/M/Fというアミノ酸変異を持つ耐性株が検出され、これらの変異が薬剤感受性の低下に関与することが判明。第Ⅲ相試験のデータによると耐性株の検出率は12歳以上で9.7%、12歳未満で23.4%となっており、日本感染症学会は昨年10月に耐性株の出現を「高頻度」とする見解を示した。耐性株が検出された患者では、罹病期間の延長やウイルス力価の再上昇も報告されている。

 

今回公表された耐性株(I38T変異)は、昨年12月に横浜市で、6歳と7歳の小児から分離されたもの。横浜市地方衛生研究所などのチームがEurosurveillance誌へ報告したところによると、両人は検体採取時にバロキサビルの投与を受けていた。人から人への感染伝播ではなく、バロキサビル投与後に患者の体内で増殖した可能性が高いという。バロキサビルへの感受性は変異のない株に比べ76~120倍低下していたが、NA阻害薬4剤に対しては感受性を示した。

 

 出典:Web医事新報

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