2019.01.25
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日医、医師の労働時間規制の罰則導入をけん制
地域医療への影響を懸念

メディカルサポネット 編集部からのコメント

なかなか進展の見られない医師の働き方改革ですが、日本医師会の横倉義武会長は1月23日の定例記者会見で改めて見解を説明しました。「医師も人間」というスタンスの改革案に対し、「医師は特例」とする医師会は現状の激変を伴う改革案には消極的です。改革には痛みが伴うものですが、「過酷な勤務に苦しんでいる医師が希望を持てるような制度」に向け、当事者一人ひとりが「相手の意見をきちんと受け止める」ことが求められます。「コミュニケーション力」が問われています。

 

 日本医師会(日医)の横倉義武会長は23日の定例記者会見で、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が公表したとりまとめ骨子に対する見解を示した。医師の労働環境改善について「個別の医療機関ではなく、地域全体で取り組まなければ意味がない」と述べ、医師の時間外労働に対する規制を導入する際に医療機関に対する罰則を設けることに反対した。【吉木ちひろ】

 

会見に臨む横倉義武会長(23日、日医会館)

 

 「医師の働き方改革に関する検討会」では、事務局から医師の休日労働込みの時間外労働の上限を、2024年4月までに年960時間以内とする案が示された。ただし、都道府県が地域医療提供体制を確保するための必要性を認めた場合は、暫定的な特例として上限を1900-2000時間程度まで容認する方針。

 

 横倉会長は会見で、事務局案を巡って「さまざまな報道があったが、正しく伝わっていない側面があった」と述べ、「全ての医師に暫定特例水準の上限まで働くことを強いるものではない」と強調した。

 

 検討会で、医師の時間外労働上限の設定と共に、罰則規定の取り扱いが議論されていることについて、横倉会長は、救急医療の制限や撤退、小児科・産科・外科の撤退などを引き起こす懸念から反対。一律な規制ではなく、現状を踏まえた制度設計を求めた。

 

  時間外労働の上限規制適用が開始するまでの見通しとして横倉会長は、検討会によるとりまとめの内容の推進や、日医などの業界団体による勤務医の労働環境改善への働き掛けを進めていけば、人口減の影響などとも合わせて医療需給のバランスが改善し、医師の労働環境が改善していくと展望した。

 出典:医療介護CBニュース

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