2018.03.20
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救急搬送また最多更新も「軽症」割合は低下
消防庁集計、「♯7119」の効果?

メディカルサポネット 編集部からのコメント

救急安心センター事業(♯7119)とは、 看護師や医師などの専門家からアドバイスを受けることができる窓口で急なケガや病気のときに、救急車を呼ぶか、病院に行くか迷ったときに役立ちます。2017年4月時点では7地域で実施されており、全国へ更なる普及を推進しています。消防庁によると、救急搬送件数は過去最多を更新しましたが、搬送先で「軽症」と診断される割合は低下したそうです。これは、救急安心センター事業(♯7119)の効果なのではないかという声も一部上がっています。





総務省消防庁の集計によると、2017年に救急搬送された人は過去最多の約574万人だった。ただ、入院の必要がない「軽症」と搬送先の医療機関で診断された人の割合は近年、少しずつ低下している。救急車の適正な利用を促すため、同庁が普及を進める「救急安心センター事業(♯7119)」の効果の可能性があるが、同庁によると、この事業の実施主体はまだ11の自治体のみ。担当者は「(軽症者割合の低下の)一助になったのかもしれないが、確実にいえる話ではない」と話している。【兼松昭夫】


消防庁の集計によると、1年間に救急搬送される人は10年以降、過去最多を毎年更新している。17年は前年比約11.5万人(2.0%)増の約574万人。救急車の出動件数も前年比約13万件(2.1%)増え、過去最高の約634万件だった。

救急搬送された人の年代別の内訳は、「高齢者」(満65歳以上)が約337万人で全体の58.8%を占めた。高齢者の割合は1997年には33.9%にすぎなかったが、2002年に40.0%、07年に46.5%、12年に53.1%と急激に高まっている。

一方、重症度別の内訳は、入院の必要がない軽症が約278万人で全体の48.5%を占め、以下は、入院が必要な「中等症」が約239万人(41.6%)、3週間以上の長期入院が必要な「重症」が約48万人(8.4%)などの順だった。軽症が全体の半数近くを占めたが、07年が51.7%、12年が50.4%と近年は少しずつ低下し、代わりに中等症の割合が上昇している。

同庁では、急な病気やけがで救急車の出動を要請すべきか迷った際、医師や看護師らが電話相談に応じる「♯7119事業」の実施を全国の自治体に呼び掛けている。救急車の適切な利用を促して現場の負担を和らげるのが狙いだ。17年5月には、先行組の自治体から職員や医師、看護師らを全国に派遣して新規参入を促す「アドバイザー制度」が始まった。

軽症のウエートが下がっているのはそれによる効果の可能性もあるが、同庁によると、現時点でこの事業に着手しているのは東京都や埼玉県、札幌、横浜両市などまだ11の自治体のみ。国内の全人口に占めるカバー率は37.8%にすぎない。

担当者はむしろ、搬送後に入院することが多い高齢の搬送者の増加が、中等症の割合を相対的に高めているとみている。

出典:医療介護CBニュース

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