2024.11.29
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高額療養費制度の自己負担限度額見直しの議論を開始―社保審医療保険部会

 

メディカルサポネット 編集部からのコメント

社会保障審議会医療保険部会は11月21日、高額療養費制度の自己負担限度額の引き上げなどに関する議論を開始しました。見直し自体に異議を唱える委員はいなかったものの、自己負担の増加による受診抑制が起きることのないよう、丁寧かつ慎重な議論を求める声が多くあがりました。自己負担限度額は2015年に見直されて以降、約10年間据え置かれており、この間に経済情勢は大きく変化し、賃上げによって世帯収入が増加している一方、足下では物価高騰が続く中で現役世代を中心に保険料負担の軽減を求める声が高まっています。

   

社会保障審議会医療保険部会は11月21日、高額療養費制度の自己負担限度額の引き上げなどに関する議論を開始した。見直し自体に異議を唱える委員はいなかったものの、自己負担の増加による受診抑制が起きることのないよう、丁寧かつ慎重な議論を求める声が多かった。

 

高額療養費制度の自己負担限度額は所得区分や医療費の自己負担割合に応じて段階的に設定。70歳以上の高齢者の場合、現役並み所得者(窓口負担3割)の限度額は70歳未満と概ね同水準に設定されているが、1・2割負担の対象者については所得区分がより細分化されているほか、全体の限度額に加えて外来受診における限度額が別に設けられている。

 

自己負担限度額は2015年に見直されて以降、約10年間据え置かれている。この間に経済情勢は大きく変化し、賃上げによって世帯収入が増加している一方、足下では物価高騰が続く中で現役世代を中心に保険料負担の軽減を求める声が高まっている。このため政府は、全世代型社会保障の構築に向けた改革工程表の28年度までの検討事項に、高額療養費制度の自己負担限度額の見直しなどを挙げている。

 

施行時期は早期にメリットを享受できるようにする観点から検討を

 

厚労省はこの日、セーフティネットとしての高額療養費制度の役割の維持と健康な人を含むすべての世代の保険料負担軽減の両立を目標に、①高額療養費制度の自己負担限度額の一定程度の引き上げ、②所得区分に応じたきめ細かい制度設計とするための所得区分の細分化―について検討することを部会に求めた。施行時期については、「被保険者の保険料負担の軽減というメリットをできるだけ早期に享受できるようにする観点から検討すべきではないか」との考えを示した。

 

議論で城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、高額医薬品の相次ぐ保険収載などで医療保険財政が厳しい状況にあることや自己負担限度額引き上げの必要性に一定の理解を示しつつも、「セーフティネットの意味を踏まえた上ですべての人が必要な医療を適切に受けられる機能をしっかり持たせる形での見直しとなるよう十分議論していただきたい」と注文をつけた。また、佐野雅宏委員(健康保険組合連合会会長代理)は施行時期について、「保険者のシステム改修の期間を十分考慮していただきたい」と要請した。

  

   
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出典:Web医事新報

  

  

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