2024.07.08
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介護現場を成長させる「人材育成ビジョン」を描こう 人が育つ組織がしていること=山口宰

メディカルサポネット 編集部からのコメント

介護現場での離職防止と定着率向上のため、人材育成が重要視されていますが、具体的な方法がわからないという声が多いです。そこで「人材育成ビジョン」を紹介します。これは組織が従業員のスキルや能力をどう育成するかの長期的な戦略です。ビジョンを作るためには、まず現状を把握し、必要な人材像を検討し、階層と具体的な目標を設定します。ビジョンは作って終わりではなく、共有し、評価し、環境の変化に応じて更新することが重要です。

 

《 社会福祉法人光朔会オリンピア・山口宰常務理事 》                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

 

介護現場の離職を防ぎ、定着率を上げるための手段として、人材育成に対する注目が一段と高まっています。よい人材を育成することがケアやサービスの質を高め、持続可能な介護現場の構築につながっていくということに、異論を差し挟む余地はありません。

 

しかし、人材育成にどのように取り組めばよいかわからない、という声もよく聞かれます。そこで今回は、人材育成の最初のステップとなる「人材育成ビジョン」について考えてみたいと思います。【山口宰】

  

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◆ 介護現場の人材育成の現状

 

介護現場のリーダーのみなさんとお話をしていると、「人材育成の大切さはわかるけど、どのように取り組めばよいかわからない」「毎日の業務を回すことで精一杯。人材育成まで手が回らない」という声をよく聞きます。

 

いくら法人や施設が「人材育成」の重要性を謳っても、具体的な計画を立てたり方法論を確立したりすることもなく、「現場に丸投げ」の状態になってしまっては、決してうまくいきません。

 

また、時間をかけてOJTを実施したり、定期的な面談を実施したり、施設独自の育成マニュアルを作ったりと、試行錯誤しながら取り組んではいるのだけれど、どうもうまくいかない…。といったケースも少なくありません。

 

こうした現状を打開する効果的なツールとして最近注目を集めているのが、「人材育成ビジョン」です。人材育成ビジョンとは、組織や企業が従業員のスキル・能力をどのように開発し、成長させるかという長期的な戦略・目標を示すものです。

 

組織としてビジョンを描き、共有することによって、組織のミッションやビジョンに沿った人材育成を行うことが可能になるのです。

  

◆ 人材育成ビジョンのつくり方

 

それでは、具体的な人材育成ビジョンのつくり方を3つのステップに分けてご紹介していきましょう。

 

(1)人材の現状を明らかにする

 

経営学者のK.ブランチャードは、「ビジョンとは、自分は何もので、何を目指し、何を基準に進んでいくのかを明らかにすることである」(「ザ・ビジョン[新版]」ダイヤモンド社:2020年)と定義しています。ビジョンをつくるうえでまず大切なのは、現状を正確に把握するということです。

 

みなさんの施設・事業所やユニットではいま、どのような人たちが働いているでしょうか。年齢・性別・経験年数・資格・これまでの職歴など、様々なデータを集めて分析してみましょう。

 

そうすると、「生え抜きの中堅女性スタッフが中心」「他の事業所で経験のある若手の男性スタッフが多い」といった特徴が見えてくると思います。「やる気」と「能力」の2軸を使って人材の分析を行う「Will-Skillマトリックス」などのツールを活用することも効果的です。

 

(2)組織が必要とする人材像を検討する

 

人材の現状を分析すると、みなさんの組織の中心となって活躍している人物像や、逆に不足していて補強したい人物像が見えてくることでしょう。組織のミッションやビジョンと照らし合わせて、どのような人材を育成するべきかを検討しましょう。

 

「いま必要な人材」だけでなく、法人や施設のこれからの展開を見据えたうえで、「将来必要となる人材」についても考慮することが大切です。

 

このときにポイントとなるのは、組織のトップが独断で決めてしまうのではなく、将来を担うメンバーでチームを作って検討すること。みなが人材ビジョンづくりのプロセスに参加することで、その後の人材育成にも主体的に関わることができるようになります。

 

また、必要とする人材像の検討は採用時にも大いに役立ちます。「こんな人と一緒に働きたい」というビジョンが明確なら、採用手法の選択や選考時の基準になります。

 

(3)階層と具体的な目標の設定

 

理想とする人材像に近づくように育成するためには、スモールステップで時間をかけて取り組むことが必要です。そのために、まずは組織に合った階層を設定していきましょう。

 

処遇改善加算にキャリアパス要件が導入されたことにより、介護現場に階層や職位を設定することが一般的になりました。しかし、加算を取るために形だけ導入したというケースも少なくはありません。

 

組織の規模や現状と将来像を考慮したうえで、どのような階層やポジションを置くことが求められるのか、組織図を描きながら検討します。その過程で、「ここのポジション間のコミュニケーションがうまくいっていない」「どちらの上司の指示に従えばよいかわからずスタッフが困っている」といった問題点が見えてくることもあります。

 

階層が決まれば、それぞれの階層で求められる具体的な目標設定を行います。例えば現場のケアワーカーとしては、「法人の理念の理解」「社会人としてのマナー」「コミュニケーション力」「基本的な介護技術」などがあげられます。

 

リーダーであれば、「マネジメント力」や「リーダーシップ」といった能力が求められるでしょう。

 

この目標設定をさらに詳細に作り込んでいくと、研修の組み立てやキャリアパスの構築、人事考課、給与設定などにも活用することができるようになります。

 

◆ 人材育成ビジョンを生きたものにするために

  

人材育成ビジョンは作って終わりではありません。まずはスタッフ全員と共有するとともに、このビジョンに従って人材育成に取り組み、その結果を評価するというサイクルを構築することが大切です。

  

また、介護人材を取り巻く環境や法人・施設で働くスタッフの状況は日々変化します。人材育成ビジョンも、その変化に応じてブラッシュアップしていくことが求められます。

  

行き当たりばったりで人材育成を行うと、余計な時間がかかってしまったり、逆効果になってしまったりするケースもあります。人材育成ビジョンに基づき、組織として目指すべき方向を定めたうえで取り組むことが、持続可能な組織を作るうえでも重要といえるでしょう。

  

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 出典: JOINT

 

  

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