2024.05.28
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抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」、世界初のSFTS治療薬として承認へ

メディカルサポネット 編集部からのコメント

富士フイルム富山化学が開発した「アビガン錠200㎎」が、マダニ媒介感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の治療薬として、薬事審議会医薬品第二部会により承認される見込みです。これにより、アビガンはSFTSに対する世界初の治療薬となります。アビガンは元々2014年に新型・再興型インフルエンザ治療薬として承認されており、新型コロナ治療薬としての開発は断念されました。正式承認後、SFTS治療においてアビガンは十分な知識・経験を持つ医師によって処方され、患者発生後に迅速に供給される仕組みが整います

     

マダニ媒介感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染症」の治療薬として富士フイルム富山化学が申請している「アビガン錠200㎎」(一般名:ファビピラビル)について、薬事審議会医薬品第二部会は5月24日、承認して差し支えないとの結論をまとめた。厚労省が正式承認すれば、SFTSに対する世界初の治療薬となる。

 

アビガンは、2014年に新型・再興型インフルエンザを適応症として国内で製造販売承認を取得。通常のインフルエンザには使用できず、国が要請した場合にのみ使用できる抗インフルエンザウイルス薬と位置づけられている。一時、新型コロナ(COVID-19)治療薬としても期待されたが、国内治験のデータで有効性を明確に示すことができず、富士フイルム富山化学は2022年10月にCOVID-19治療薬としての開発を断念した。

 

SFTSへの適応拡大は2023年8月に申請。承認の可否について審議した5月9日の医薬品第二部会では「国内第3相試験の結果からは有効性が示されているとは明確に言えない」との理由で継続審議となったが、24日の部会では、メーカー側が全症例を対象とした使用実績調査に加え、ウイルスのゲノム量などを評価する製造販売後臨床試験を実施する計画を示したことも踏まえ、承認を了承することとなった。 

 

■治験での致死率、閾値の12.5%を下回れず

 

SFTS患者を対象とした国内第3相試験は、主要評価項目の「投与開始から28日目までの累積致死率」15.8%(19例中3例)という結果で、事前に設定された閾値12.5%を下回ることができなかった。部会の審議では、これをどう見るかが大きな論点となったが、感染症発生動向調査に基づいて設定された閾値自体が低めに見積もられた可能性があり、実際の致死率は15.8%よりも高いとの見解でまとまった。

 

厚労省によると、メーカー側は既存の論文などの情報を合わせてメタアナリシスを行った結果として、実際の致死率は「概ね21~25%程度」というデータを示しているという。

 

■処方できる医師を限定、患者発生後に供給

 

正式承認は3週間以内に行われる見通し。SFTSにアビガンを使用する場合は、国の要請のプロセスは不要だが、処方できる医師はSFTSへの使用について「十分な知識・経験を持つ医師」に限られ、患者発生後に医療機関に迅速に供給する仕組みとなる。

 

抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」

 

抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」

 

SFTSに「アビガン」を使用する場合の用法・用量

1日目は1回1800mgを1日2回、2~10日目は1回800mgを1日2回経口投与(総投与期間は10日間)

 

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出典:Web医事新報

 

 

 

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