メディカルサポネット 編集部からのコメント医師の偏在解消策に向けた様々な施策が検討されています。医師少数区域での勤務経験が「地域医療支援病院等」の管理者の要件にする、「医師少数区域」で医師が勤務しやすい環境を整備するために新しい認定制度が設ける、等です。まずは、地域ごとの医師数の比較のため、医師偏在指標を導入することで、偏在状況を「見える化」されることになりました。医師確保計画は各都道府県が19年度に作ります。 |
厚生労働省は、医師が少ない地域(医師少数区域)での勤務経験を、地域医療支援病院以外の管理者の要件にも組み込むべきかを検討する。医師の偏在解消策の一環で、省内の「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会で話し合い、2018年度中に結論を出す。【兼松昭夫】
7月に成立した改正医療法・医師法に伴い、各都道府県が指定できる「医師少数区域」で一定期間勤務した医師を厚労相が認定する新たな制度が20年4月にスタート。この制度による認定が「地域医療支援病院等」の管理者の要件になる。
この認定を管理者の要件にする病院として、厚労省は17年11月、臨床研修病院や公的医療機関などを例示していた。また、16年6月に公表された分科会の中間取りまとめでは、「特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所等の管理者の要件とすることを検討する」とされていたが、まず「地域医療支援病院等」を対象に始めることになった。
分科会の24日の会合で、山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)が「どういう範囲に拡大するのかをぜひ議論したい」と述べ、厚労省側は「次回以降にご相談させていただきたい」と答えた。同省の担当者によると、18年度中に結論を出す。
新たな認定制度を作るのは、各都道府県が指定できる「医師少数区域」で医師が勤務しやすい環境を整備するため。
厚労省が16年12月、全国の医師約10万人を対象に実施した調査では、東京都23区や県庁所在地など以外の「地方」で勤務する意思が「ある」と全体の44%が回答しており、厚労省では、特に若手の医師が「潜在的には地方勤務に魅力を感じている」とみている。
厚労省では、認定を受けた医師を「経済的インセンティブ」の対象にしたり、認定を受けたことの広告を認めたりする方針。分科会では、医師偏在対策を19年3月ごろまでに取りまとめる。
■医師偏在指標、5つの要素を反映へ
厚労省は24日、各都道府県が19年度に作る「医師確保計画」に基づく偏在解消策のイメージを示した。医師の偏在状況を客観的に示すための新たな指標(医師偏在指標)の導入や、大学医学部での「地域枠」と「地元出身者枠」による定員調整が柱。厚労省は、医師の偏在を36年までに解消させたい考え。
厚労省のイメージによると、医師偏在指標には、▽地域の医療需要(ニーズ)や将来の人口・人口構成の変化▽医師の性別・年齢分布▽地域間の患者の流出入▽へき地など地理的な条件▽区域や診療科など医師偏在の種類―の5つの要素を反映させる。
地域ごとの医師数を比較する際にはこれまで、人口10万対医師数が使われてきたが、この指標には5つの要素は反映されていない。そこで、医師偏在指標を新たに設定することで、全国に335ある二次医療圏ごとの偏在状況を「見える化」し、実効性のある対策を促す。
都道府県はこの指標を基に、医師をどれだけ確保するかの目標(医師確保目標)を、医師確保計画の中で三次・二次医療圏ごとに設定する。さらに、医師が多い「医師多数区域」と少ない「医師少数区域」も指定できる。これらの区域の基準は国が示す。
医師確保計画は各都道府県が19年度に作り、それに沿った偏在解消策を翌20年度にスタートさせる。計画は原則3年ごとに見直す。
出典:医療介護CBニュース