2018.09.26
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認知症の診断助成と事故救済制度を創設へ
神戸市、保険加入し最大2億円支給

メディカルサポネット 編集部からのコメント

認知症の高齢者らが起こした事故の被害賠償をめぐり、責任能力が問われています。2017年の75歳以上のドライバーによる交通死亡事故のうち 2 人に 1 人が認知症や認知機能低下が認められたそうです。監督責任を問われて、家族が巨額の被害賠償負担するケースもありますが、認知症の高齢者が駅構内の線路に立ち入ったがために死亡した事故に関して、賠償責任が認められなかった判例もあり、被害者救済制度が求められています。国が「公的な制度導入は困難」と消極的な姿勢を示す中、神戸市は家族に賠償責任がないと判断された場合、被害者に給付金を払うという公的な救済制度を構築しました。

 

 神戸市は25日までに、認知機能の検診と精密検査に関する助成制度を2019年1月に始める方針を明らかにした。認知症と診断されると、市が賠償責任保険に加入。鉄道事故などで賠償責任を負った場合、最大2億円を支給する。市によると、検診と精密検査を組み合わせた診断助成と事故救済制度の創設は全国で初めて。【新井哉】

 

神戸市が明らかにした認知機能検診などの助成制度案

 

 認知症を巡っては、認知機能検診で認知症の疑いを指摘されても精密検査を受けずに症状が進んでしまうケースが少なくない。こうした認知症の人が鉄道事故などを起こした場合、本人や家族が損害賠償を求められる可能性があるため、精密検査などへの助成や事故救済制度の創設が求められていた。

 

 市の助成・救済制度案によると、地域の医療機関で認知機能検診を受けられる体制を整える。市が発行するクーポン券を医療機関に提出する仕組みとする予定。今後、検診を担当する医療機関を選定する。

 

 認知症の疑いがある人は、認知症疾患医療センターなどの専門医療機関で精密検査を受け、病名の診断などを行う。認知症と診断された場合、市が賠償責任保険に加入し、保険料を負担する。

 

 このほか、認知症と診断された人を対象とした医療相談窓口の開設や見守りヘルパーの派遣といった「切れ目のない支援」を検討していくという。

 

 

 出典:医療介護CBニュース

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