2018.09.03
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「急性期医療に全く該当なし」なら報告不可
厚労省、マニュアルに明記へ

メディカルサポネット 編集部からのコメント

地域の医療機関が担っている医療機能の病床機能報告制度ですが、記載内容と現状がマッチしていないケースが見受けられるようです。現状把握、分析を行う必要からも、実際の稼働状況をご記入ください。病床機能報告制度についての詳細、マニュアル等については、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。

  

 2018年度の病床機能報告が10月から始まるのに先立ち、厚生労働省は31日、急性期医療を全く提供していない病棟(診療所は施設)は、「高度急性期」や「急性期」と原則報告できないことを、近く公表する報告マニュアルに明記する方針を示した。各医療機関が報告する「具体的な医療の内容に関する項目」のうち、「幅広い手術の実施状況」など高度急性期や急性期関連とされる項目の全てに該当しない病棟を想定している。【兼松昭夫】

 

 東京都内で同日開かれた都道府県担当者向けの医療政策研修会で、同省の担当者は、「(それぞれの項目に該当する医療の実施件数などが)全てゼロ件という病棟の報告に関しては原則、急性期・高度急性期以外でお願いすることを、各医療機関にマニュアルで明確にお伝えする」と話した。

 

 また、全項目に該当しないのに高度急性期・急性期機能と報告した場合は理由の記載を求め、地域の医療提供者らの「地域医療構想調整会議」で確認する。

 

 高度急性期や急性期に関連するとされているのは、各医療機関が報告する「具体的な医療の内容に関する項目」のうち、「幅広い手術の実施状況」「がん・脳卒中・心筋梗塞等への治療状況」「重症患者への対応状況」など5項目。例えば「重症患者への対応」に該当するかは、40歳以上の初産などの際に算定する「ハイリスク分娩管理加算」の算定状況などで判断する。

 

 17年度の病床機能報告では、「高度急性期」か「急性期」と報告された全国の2万1265病棟のうち約14%に当たる3014病棟が、「全項目に該当なし」(1076病棟)か「未報告」(1938病棟)だった(4月時点)。

 

■地域ごとに異なる「定量的な基準」も可

 厚労省はまた、各都道府県に年度内の導入を求めている「定量的な基準」について、都道府県全域に共通のものだけでなく、「構想区域」ごとに異なるケースもあり得るとの認識を示した。都道府県の中心部とそれ以外の地域とで、医療へのニーズや提供体制などの状況が大きく異なるケースもあるため。

 

 同省は、これまでの「定性的な基準」に代わり、具体的な数値などを設定する地域の実情に見合った「定量的な基準」を年度内に導入するよう各都道府県に8月16日付で通知した。医療機関の役割分担を巡る地域医療構想調整会議での議論を活性化させる狙い。

 

 同省の担当者は、「(定量的な基準は)病床機能報告で使うのではなく、地域医療構想調整会議で使っていただく」などと説明した。

 

 

 出典:医療介護CBニュース

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