メディカルサポネット 編集部からのコメント重症患者や集中治療室の患者は、院内感染からも命の危機にさらされます。日々のルールの厳守やマニュアルの見直しがルーティンにならないよう、再度意識してみてください。健常者では無害な最近だからこそ、あらためて再三の注意が必要です。アシネトバクターの感染症を把握した際は、厚生労働省への報告を速やかに行ってください。 |
アシネトバクターは、土壌や河川水などに生息する環境菌で、健康な人の皮膚などから見つかることもある。健康な人には無害で、感染症の流行の多くは院内の集中治療室や重症の患者で起こる。
また、感染症に対する抵抗力が弱くなった患者や高齢者にこの細菌が感染すると、人工呼吸器関連肺炎や血流感染症、創部感染症などを引き起こし、重症化するケースもある。治療する場合は、抗菌薬を投与するが、その選択や投与量は確立されていない。
鹿児島大病院が3日に公表した事例報告によると、16年9月以降に入院した患者の15人から薬剤耐性アシネトバクターや類似の細菌が検出され、このうち8人が死亡。その中には、菌血症や肺炎を発症した人がいた。
同院では、再発防止策として、▽抗菌薬使用例に対する抗菌薬適正使用支援チーム活動の強化▽全職員に対する病室入退室時の手指衛生厳守ルールの厳格化▽薬剤耐性アシネトバクター検出時の感染対策マニュアルの見直しとチェックリストの作成―などを行っているという。
厚労省は事務連絡で、医療機関で薬剤耐性アシネトバクターの感染症を疑う事例を把握した場合、速やかに報告するよう呼び掛けている。
出典:医療介護CBニュース