2021.10.29
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コロナ接触確認アプリ保守管理、厚労相に改善要求
会計検査院、不具合解消「緊急度高い」

メディカルサポネット 編集部からのコメント

厚生労働省が、パーソルプロセス&テクノロジーと契約を結び運用している新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」の開発・保守について、会計検査院は27日、「計6回の変更契約を締結し、同契約の最終的な契約金額は17億0642万余円」が発生していると発表しました。
その上で、パーソルプロセス&テクノロジーが適切なテスト実施や不具合解消を行っていない可能性を指摘し、厚労省について「仕様書にテストの実施に係る事項を適切に定めたり、テストの実施状況を十分に把握したりする必要性についての認識が欠けている」と問題提起しました。

 

 会計検査院は27日、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」の開発・保守について、会計検査院法第34条の規定による是正改善の処置などを厚生労働相に要求した。【新井哉】

 

 会計検査院によると、厚労省は、パーソルプロセス&テクノロジー株式会社と締結した新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)の開発・保守などに関する契約を2020年5月に変更して、新たにCOCOA業務を追加することとした。変更前の契約金額については「1億9988万余円」、変更後は「2億9448万余円」と説明。その後、契約期間を延長したり、COCOAに実装する機能を追加したりするなどして、「計6回の変更契約を締結し、同契約の最終的な契約金額は17億0642万余円となっている(このうち、COCOA業務に係る分3億8088万余円)」と指摘している。

 

 また、20年9月のCOCOAの不具合発生から21年2月の不具合を解消したバージョンの配布までに「不具合を解消することができなかった」と指摘。合規性などの観点から、「仕様書に業務の実施に係る事項は適切に定められているか」「受注者側における業務の実施状況を十分に把握しているか」「不具合が発生した際の対応は適切に行われているか」などに着眼して、「主としてCOCOA業務に係る分3億8088万余円を対象として検査した」としている。

 

 検査の結果、パーソルプロセス&テクノロジーがバージョンアップの際に接触確認機能についてのテストを実施していなかったり、厚労省においてテストの実施状況を十分に把握していなかったりして、「COCOAの主要な機能である接触確認機能について、テストが適切に実施されていなかったと認められる」と説明。また、不具合があると「接触確認者に通知が行われず、当該接触確認者が無症状の陽性者だった場合等には無自覚のうちに自身の行動により他人を感染させてしまうおそれが高くなる」と指摘。接触確認機能の不具合の存在を認識し解消することは「緊急度が高い」とした。

 

 会計検査院は、厚労省について「仕様書にテストの実施に係る事項を適切に定めたり、テストの実施状況を十分に把握したりする必要性についての認識が欠けている」と指摘。今後のシステムの開発・保守などに係る業務の契約内容に反映できるよう、マニュアルの作成などにより関係職員に周知徹底するよう求めている。

 

 

出典:医療介護CBニュース

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