メディカルサポネット 編集部からのコメント免疫抑制剤は妊婦への投与が禁じられていましたが、海外の疫学研究の結果や、安全対策調査会での議論を踏まえ、必要に応じて投与が可能になりました。厚労省は添付文書への注意書き追記を製薬企業に求めています。 |
厚生労働省は、免疫抑制剤のタクロリムス水和物とシクロスポリン、アザチオプリンについて、妊婦らへの投与が可能となるように添付文書の改訂の指示を日本製薬団体連合会に出した。有効性や安全性に関する情報の収集や調査、検討などを踏まえた措置で、これらの薬剤の治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合、妊婦らへの投与が可能となる。【松村秀士】
この3剤については、臓器移植における拒絶反応の抑制などに用いられるが、動物実験で胎児に奇形が生じる催奇形性の作用や胎児毒性が報告されたことを踏まえ、これまで添付文書で「妊婦、または妊娠している可能性のある婦人」への投与は禁忌とされていた。
しかし、海外の疫学研究の結果では、免疫抑制剤を投与された妊婦に胎児の先天奇形の発生率が有意に上昇したという報告がないほか、国内外のガイドラインで3剤は妊娠中でも使用可能な医薬品とされている。また、欧米など6カ国の添付文書で妊婦への投与は基本的に禁忌とされていない。
そのため、薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会「安全対策調査会」の議論などを踏まえ、厚労省は添付文書の禁忌の項から、「妊婦、または妊娠している可能性のある婦人」を削除することが妥当だと判断した。
ただし、厚労省は添付文書に「妊婦、または妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」などの追記を製薬企業に求めている。
出典:医療介護CBニュース