2018.07.27
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医療分野でのIDの仕組み、被保険者番号履歴を活用へ 厚労省検討会がおおむね了承

メディカルサポネット 編集部からのコメント

個人の医療情報の共有や収集、連結を行うため、識別子(ID)は、医療機関の間での患者の健診や診療、投薬に関する情報の共有に関して、被保険者番号の履歴を活用する仕組みの活用が検討されています。

 

厚生労働省の「医療等分野情報連携基盤検討会」は26日の会合で、個人の医療情報の共有や収集、連結を効率的に行うための識別子(ID)の仕組みの導入に向け、医療保険の被保険者番号の履歴を活用する方針をおおむね了承した。【松村秀士】

 

 

医療分野などの情報の共有や収集、連結を正確・効率的に行うための識別子の仕組みの導入が求められている。

 

2018年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」には、医療などの分野での識別子の在り方について、「個人単位化される被保険者番号も含めた基盤を活用する方向で検討し、本年夏、早急に結論を得て、医療等分野におけるデータ利活用を推進する」と記載されている。

 

こうした状況を踏まえ、同検討会やその下部組織のワーキンググループ(WG)で、医療などの分野での識別子の仕組みの在り方を議論してきた。

 

26日の会合で厚労省は、WGがまとめた議論の整理を提示した。それによると、WGでは地域の医療情報連携や研究開発といった目的別に新たな識別子を発行する仕組みの「A案」と、個人単位化された被保険者番号の履歴を活用する仕組みの「B案」のどちらを導入するか、セキュリティーの確保やコスト、医療機関の負担の観点で検討した。

 

 

その結果、A案には識別子を発行・管理するためのシステム構築に掛かるコスト負担で課題があることが判明。これに対して、B案では既存のシステムやインフラが活用できる上、医療機関でのシステム改修が抑えられることも分かった。そのため、ガイドラインの策定といった一定の措置を講じることを前提に、B案を導入することが「現実的」と結論付けた。

 

また、B案を採用した場合、医療情報などの共有・収集・連結を行う人が、必要に応じて「履歴管理提供主体」から被保険者番号履歴の提供を受けられる仕組みの整備を目指すと強調。想定される被保険者番号履歴の利用場面としては、医療機関の間での患者の健診や診療、投薬に関する情報の共有などを挙げた。

 

被保険者番号の取り扱いについては、個人単位化された場合でも民間による利用を一律に排除するのは現実的ではないとした。

 

さらに、複数のデータベースの情報を連結する場合は、原則として被保険者番号履歴など個人を識別できる情報を簡単に書き取りできない共通の連結符号を作成し、それを使ってデータを連結する仕組みづくりの必要性を強調した。

 

議論の整理に対して特に強い反対意見は出なかった。ただ、一部の委員は「民間による利用を推奨していると解釈されかねない」として、「民間による利用を一律に排除するのは現実的ではない」との文言の削除を求めた。

 

 出典:医療介護CBニュース

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